空想旅行の修辞学 『ガリヴァー旅行記』論

四方田犬彦

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784879440006
ISBN 10 : 4879440000
フォーマット
出版社
発行年月
1996年06月
日本
追加情報
:
22cm,445,8p

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読書メーターレビュー

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  • misui さん

    四方田犬彦の修士論文。『ガリヴァー旅行記』を古代ローマから現代に続くメニッペア(諷刺劇)の伝統に連なるものと捉え、それがどのように表れているかを精査する。メニッペアとは諷刺による相対化の運動であって、そのトリックスター的な伝統は、スウィフトを経過してサドやドストエフスキーに継承され、ディストピア小説の母体になった。絶え間ない諷刺はカーニバル的対話を生み出し、笑うものすら無事では済まされない異常事態へと進む。あまりに射程の広い論であって、これを二十代で物したとは驚嘆する。ある意味、文学を見切っているのでは。

  • あかふく さん

    『ガリヴァー旅行記』というテクストは著者スウィフトのキャラクター、時代背景などの魅力もあり、その「影響」に関する研究が解釈にあたっては幅をきかせていた。本書はそうではなく、ある文学ジャンルの流れに属する一つの部分として『旅行記』を解釈し、価値を見る。そのジャンルは「メニッペア」と呼ばれるのだが、この時点で本書が「影響」によって『旅行記』を一つの型に収めようとしないアプローチを取ることの正当性が了解される。メニッペアの大テーマの一つは「諷刺された諷刺家」なのだ。一つのものを確固として諷刺するのではないのだ。

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人物・団体紹介

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四方田犬彦

1953年、大阪箕面生。詩論集『詩の約束』(作品社、2018)で鮎川信夫賞を受けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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