鍵のかかる部屋 新潮文庫 改版

三島由紀夫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101050287
ISBN 10 : 4101050287
フォーマット
出版社
発行年月
2003年09月
日本
追加情報
:
16cm,383p

商品説明

財務省に勤務するエリート官吏と少女の密室の中での遊戯。敗戦後の混乱期における一青年の内面と行動を描く表題作など短編12編。

<三島由紀夫>(1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威。1947年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。

ユーザーレビュー

総合評価

★
★
★
★
★

5.0

★
★
★
★
★
 
1
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
三島由紀夫をまだ読んだことない人に、とっ...

投稿日:2021/03/21 (日)

三島由紀夫をまだ読んだことない人に、とっつきやすいものを勧めるとしたら、まあ『三島由紀夫レター教室』や『命売ります』などになりがちですが、 エンタメではなくてもう少し三島の本流っぽい作品で何かないか、と言われたら、私は自信を持って『鍵のかかる部屋』を読んでみて!と言います。 短い話です。三島にしては簡潔な文体が使われていながら、三島ならではの巧みな比喩表現も楽しめます。 気だるげでデカダンなストーリーも、今の人が読んでも全く古くないと思います。 終戦直後、まだ世情が混沌としていた時代。主人公の一雄は東大を出て財務省に入ったばかりのエリート官吏です。ダンスを習いに行って出会った人妻の家へ定期的に密会に出かけます。 しばらくしてその女は急病で亡くなり、一雄がその家に行くこともなくなるのですが、ある日ふと思いついて、また訪ねていく。すると家にはその女の娘・九つの房子がいた。 房子はませた娘で、一雄が好きらしく…というのがあらすじです。 あやしい雰囲気はあるものの嫌悪感をいただかせるような作品には決してなっていないところがさすが三島。そこらの作家では同じ話を書いたとしてもこうはならないでしょう。一流の作家でなければ書けない作品です。 表題作以外にも、『訃音』など、皮肉の効いた、エンタメではないのに読みやすい作品が複数収められています。 是非手に取ってみてください。

苺 さん | 不明 | 不明

0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • ヴェネツィア さん

    自選短篇集などには入らなかった、ややマイナーな作品の集積。三島の19歳から44歳までと幅は広い。10代で書かれたという「祈りの日記」などは、きわめて古典的で風雅な趣きを持ち、言葉の豊饒さからも、とても10代の作とは思えない。また、巻末に置かれた「蘭陵王」は、三島の最後の短編作品であり、ここには楯の会での横笛奏楽が描かれていて、これもまた典雅で静謐な作品である。そうしてみると、平岡公威は10代から44歳、すなわち自死の直前に至るまで、一貫して三島由紀夫を演じ続けたということなのだろう。これは実に凄いことだ。

  • 青蓮 さん

    少年期から晩年にかけて書かれた短編12編収録。本書を読むと改めて三島の多才ぶりに驚かされます。悪行に取り憑かれた没落貴族を描く「怪物」、赤ん坊を望むレズビアンを描いた「果実」、人を次々騙して世を渡る「江口初女覚書」、エリート官吏の青年が、9歳の少女に欲情を覚える「鍵のかかる部屋」などがお気に入り。特に表題作のラスト「もうおかえりになるんですか。それはいけません」と迫る女中にぞっとする。これから彼がどうなるのか気になる。どれも面白く読みましたがやはり三島作品は短編よりもずっしりとくる長編の方が私は好きかな。

  • 優希 さん

    面白かったです。三島15歳から44歳までの30年間に書かれた作品の中から選りすぐった12編。美と静と淫靡の世界観に体が震えました。美的感覚が凝縮されている作品たちはどれも濃いとしか言えません。だからこそ三島らしさを感じさせるのですね。若い頃から晩年まで、一貫した美学があるのを見たようでした。絢爛多彩な短編集ですが、貫かれているものは昔から変わらないのだと思わされます。

  • 優希 さん

    再読です。三島の15歳から44歳に至るまでの30年間に書かれた短編がおさめられています。美と清と淫靡の世界に体が熱くなる感覚になりました。美的感覚が凝縮された作品の数々はどれも名作と思います。だからこそ三島らしさがあるのですね。若い頃から晩年までの一貫した美学を見たようでした。絢爛多彩な短編集ですが、貫いているものは昔から変わらないのだと感じられます。

  • 安南 さん

    最晩年の短編『蘭陵王』再読。富士の裾野で行われた戦闘訓練の際の一挿話。静謐で清廉。粛として心が洗われるよう。でありながら、不穏な雫を一滴垂らしたような禍事の予感。龍笛の音は泡沫の美を現前させ『松風』の一句を口吟む三島に清経の姿を見、戦慄する。まるで黄泉比良坂に設えられた幽寂閑雅な能舞台のようだ。仮面の告白で幕を開けた作家の物語は、やはり仮面の物語で幕を閉じることに。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

人物・団体紹介

人物・団体ページへ

三島由紀夫

1925年、東京生まれ。本名、平岡公威(きみたけ)。16歳で「花ざかり」を発表し、天稟を注目される。1947年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務した後、執筆生活に入る。1949年、『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文

プロフィール詳細へ

三島由紀夫に関連するトピックス

  • KADOKAWAとっておきBlu-rayセレクション 「追悼・京マチ子... 全作品「等倍解像処理」などを施した高画質!1年間で約30タイトルをリリース予定。 大映作品は業界初シークレットDV... HMV&BOOKS online|2019年06月14日 (金) 00:00
    KADOKAWAとっておきBlu-rayセレクション 「追悼・京マチ子...
  • 三島由紀夫の隠れた名作 没後45年を経て、新たに注目を集める三島由紀夫のユニークかつ哲学的な傑作『命売ります』。自殺に失敗し、「命売ります。... HMV&BOOKS online|2015年11月04日 (水) 09:52
    三島由紀夫の隠れた名作

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品

HMV&BOOKS onlineレコメンド