グリマル&ゴランによるプーランク、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ
指揮者を置かないオーケストラ「レ・ディソナンス」を設立し、フランスを中心に信念のある活動を展開しているヴァイオリン奏者、グリマルの新録音は、戦時中に書かれたプーランクとプロコフィエフによるソナタと、ストラヴィンスキーの『ディヴェルティメント』というプログラムの1枚。同世代の世界的ピアニストで室内楽、とりわけヴァイオリン奏者との共演でも知られるイタマール・ゴランとの共演です。
プーランク[1899-1963]のソナタは、1942年にスペインの詩人ガルシア・ロルカを偲んで書かれました。必ずしもヴァイオリンが鳴りやすいように書かれてはいない部分もあり、むしろピアノとヴァイオリンの「せめぎ合い」のような緊張感すら感じられる作品を、グリマルとゴランが見事なアンサンブルで展開しています。
1938〜1946年にかけてプロコフィエフ[1891-1953]が書いたソナタ第1番は、陰鬱な雰囲気に包まれています。自身「墓場を抜ける風」と描写しております。第3楽章では凍てつく冬、束の間あたたかな暖炉の前でほっとするような瞬間もありますが、全体として憂鬱で険しく、絶望すら漂う非常に重い作品です。
ストラヴィンスキー[1882-1971]の『ディヴェルティメント』は祝祭的で踊りだしたくなるような作品ですが、バレエ音楽『妖精の口づけ』に基づいています。ヴァイオリン奏者サミュエル・ドゥシュキンとの演奏旅行のためにストラヴィンスキー自身が管弦楽版から編曲しました。高度なヴィルトゥオジティが求められると同時に、もともとはチャイコフスキーの様々な作品がモティーフとなっているため、非常に濃厚な歌を感じる部分もある傑作です。(輸入元情報)
【収録情報】
● プーランク:ヴァイオリン・ソナタ
● ストラヴィンスキー:ヴァイオリンとピアノのためのディヴェルティメント
● プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番ヘ短調 Op.80
ダヴィド・グリマル(ヴァイオリン/1710年製ストラディヴァリウス)
イタマール・ゴラン(ピアノ)
録音時期:2022年6月28日〜7月2日
録音場所:ベルギー、リエージュ・フィルハーモニー・ホール
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)