日本語解説付き
コパチンスカヤが親密な共感で作り上げた「音楽の悪童」へのトリビュート・アルバム
鬼才パトリツィア・コパチンスカヤがジョージ・アンタイル[1900-1959]を取り巻く世界を描きあげたアルバム。「未来派ピアニスト」を自称していたアンタイルはベートーヴェンを崇拝しており、リサイタルの際自らの作品の前に好んでその曲を演奏していたということで、ここにはベートーヴェンの個性が色濃く出始めた時期のヴァイオリン・ソナタ第7番を収録。はじけるような個性的な解釈はコパチンスカヤならではです。
アルバムの核となっているもうひとつの作品は、アンタイル自身のヴァイオリン・ソナタ第1番。ヨーロッパに渡り、「狂乱の時代」のパリでピカソやストラヴィンスキーらと交流を持った彼は、詩人エズラ・パウンドに恋人でヴァイオリニストのオルガ・ラッジを紹介され、彼女のためにこの作品を書きました。当時のパリの雰囲気をよく反映した、サティやミヨーなどにも通じる洒脱で躍動感のある作品です。
その後生まれ故郷のアメリカに戻って親交を深めたのがモートン・フェルドマン[1926-1987]やジョン・ケージ[1912-1992]で、彼らによる実験性あふれる作品も収録しています。
ここでコパチンスカヤと共演するのは、彼女が自分の「ドッペルゲンガー」と呼ぶフィンランドのピアニスト、ヨーナス・アホネン。2人の息の合った切れ味鋭い演奏が、それぞれの曲の魅力を引き立てています。(輸入元情報)
【収録情報】
1. フェルドマン:小品〜ヴァイオリンとピアノのための (1950)
2. ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調 Op.30-2 (1802)
3. ケージ:夜想曲 〜ヴァイオリンとピアノのための (1947)
4. アンタイル:ヴァイオリン・ソナタ第1番 (1923)
5. フェルドマン:エクステンション 1〜ヴァイオリンとピアノのための (1951)
パトリツィア・コパチンスカヤ(ヴァイオリン)
ヨーナス・アホネン(ピアノ)
録音時期:2020年12月
録音場所:スイス、ラジオ・スタジオ・チューリッヒ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
輸入盤国内仕様
解説日本語訳:伊東信宏