リャトシンスキー、ボリス(1895-1968)

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CD

交響曲全集、『グラジーナ』 テオドレ・クチャル&ウクライナ国立交響楽団(3CD)(日本語解説付)

リャトシンスキー、ボリス(1895-1968)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
NYCX10314
組み枚数
:
3
レーベル
:
:
日本
フォーマット
:
CD

商品説明


日本語解説付き
ウクライナ国立交響楽団と桂冠指揮者クチャルによる
リャトシンスキーの交響曲全集のボックス化!


20世紀、ウクライナの交響楽の発展に大きく寄与した作曲家ボリス・リャトシンスキー。幼い頃からピアノとヴァイオリンに習熟し、10代の半ばで最初の作曲を行ったとされています。やがてキーウ(キエフ)音楽院でレインゴリト・グリエールに作曲を師事、グリエールの没後には遺作となった『ヴァイオリン協奏曲』の補筆を手がけています。1920年から母校で作曲と管弦楽法を教え、その後一時期はモスクワ音楽院でも教鞭を執り、1956年からは「ソ連作曲家同盟」の指導的地位について音楽界の発展に尽力しました。キーウ音楽院の門下にシルヴェストロフがいます。
 作曲家としては、5つの交響曲をはじめ、交響詩や室内楽曲、2作の歌劇、声楽曲、合唱曲、ピアノ曲、舞台作品や映画音楽にに至る幅広いジャンルの作品を書き上げています。初期の作品はグリエールの影響を受けたロマンティックなものでしたが、1920年代半ばには西欧の無調に感化された作品を書くようになります。1929年以後はウクライナに伝わる音楽に関心を向け、19世紀後半に活動した音楽民族学者ミコラ・リセンコの研究から得られた民俗音楽の旋律と当時最新の和声及び形式を結び付けた作品に傾注しました。5曲の交響曲はウクライナの交響楽史上の記念碑的存在とされています。バルトークやショスタコーヴィチの音楽に関心のある人ならばすぐに楽しむことができるでしょう。

この3枚組ボックスには、リャトシンスキーの全交響曲を収録。1919年に完成された交響曲第1番は学生時代の作品『抒情詩』を改訂したものを第2楽章とし、前後の楽章を加えて1923年に初演されました。抒情的なメロディにあふれ、金管群が活躍する高揚感に満ちた終楽章も聴きごたえがあります。
 1935年から36年に書かれた交響曲第2番は、西欧の前衛的な音楽の影響と当時の政治的状況を反映した不穏な暗さを感じさせる音楽。ソ連政府の推進する社会主義リアリズムに沿わないと見なされたのか演奏が禁じられ、初演は1964年まで待たねばなりませんでした。
 交響曲第3番は第2番の苦い経験を踏まえて政府の意向を反映したのか、モダンで闘争的な作品。要所に正教会の聖歌を思わせる旋律が現れ、最後は輝かしい高揚で結ばれます。当初は「平和が戦争に勝利する」という言葉が終楽章に付されていました(後に検閲で削除)。1955年にムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルが初演すると評判となり、すぐにモスクワ、キーウをはじめソ連の主要都市で演奏されました。クチャルはこの曲を「ウクライナの交響楽の精華であり、20世紀の交響曲の中でも最も重要なもののひとつ」としています。
 1963年に完成した第4番は現代音楽の語法を用いつつも調性を捨てることなく、ウクライナの民俗音楽も採り入れた作品。1965年にリャトシンスキーが70歳の誕生日を記念して自ら指揮した演奏は批評家と聴衆から絶賛され、「バルトーク、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ、オネゲル、シマノフスキらの傑作に匹敵する」「ウクライナ音楽への大きな貢献」と称賛されました。
 彼の民俗音楽への思いは『スラビャンスカヤ(スラヴの意味)』の副題を持つ交響曲第5番に結晶します。第1楽章は伝説の戦士「イリヤ・ムローメツ」を歌ったロシアの古い民謡に基づく荘厳な旋律で始まり、第2楽章にはブルガリアや古代スラヴの民謡が登場。終楽章では冒頭でムローメツの歌が高らかに奏でられた後ドラマティックな展開となり、最後はムローメツの歌が再帰した後で教会の鐘を思わせる響きが鳴り渡り、曲が結ばれます。
 1955年に書かれた交響的バラード『グラジーナ』は、ポーランドの偉大な詩人アダム・ミツキェヴィチの没後100周年を記念して書かれたもの。リトアニアの神話に登場する女性騎士を主人公としたミツキェヴィチの詩がスコアの冒頭に付され、戦いに身を投じ悲劇的な死を迎える彼女の姿が劇的に描かれています。

ニューヨークでウクライナ系の家庭に生まれたテオドレ・クチャルは、クリーヴランド音楽院でヴィオラを学び、オーケストラでも演奏。後にボストン交響楽団の奨学金を得てタングルウッドで指揮を学び、アメリカ、オーストラリア、チェコ、ベネズエラのオーケストラで首席指揮者や音楽監督を務めています。1992年にはウクライナ国立交響楽団の首席客演指揮者、94年から2000年まで音楽監督権首席指揮者を務め、退任に際しては桂冠指揮者の称号を贈られました。クチャルとウクライナ国立響の録音は数多くありますが、リャトシンスキーの交響曲は代表作のひとつで国際的にも高い評価を得ています。

※国内仕様盤には増田良介氏よる日本語の解説が付属します。(輸入元情報)


【収録情報】
リャトシンスキー:交響曲全集、『グラジーナ』


Disc1(8555578)
● 交響曲第1番イ長調 Op.2(1917-19)
● 交響的バラード『グラジーナ』 Op.58(1955)

Disc2(8555579)
● 交響曲第2番 Op.26(1935-36 rev.1940)
● 交響曲第3番ロ短調 Op.50(1951 rev.1954)

Disc3(8555580)
● 交響曲第4番変ロ短調 Op.63(1963)
● 交響曲第5番ハ長調 Op.67『スラビャンスカヤ』(1965-66)

 ウクライナ国立交響楽団
 テオドレ・クチャル(指揮)

 録音時期:1994年5月8,13-15日(Disc1)、1993年6月4-9日(Disc2)、1993年12月27-30日(Disc3)
 録音場所:ウクライナ、Studio of the State Broadcasting Company of Ukraine, Kiev
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

 輸入盤国内仕様(日本語解説付き)



内容詳細

ウクライナの交響曲発展に寄与したリャトシンスキー(1895-1968)の交響曲全集。ロマン派仕様から無調、民族音楽の導入と、音楽の変遷が一望できる。ウクライナ系アメリカ人クチャル指揮の格調高い演奏が聴きものだ。(CDジャーナル データベースより)

収録曲   

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投稿日:2022/05/15 (日)

交響曲第3番は現在「カラビッツ&ボーンマス響盤(初版)」とこの「クチャル&ウクライナ響盤(改訂版)」を聴くことができます。カラビッツもクチャルもウクライナゆかりの方。どちらの盤もとても良い音質と演奏力でリャトシンスキーの曲を存分に楽しませてくれます。私はソ連時代の旧メロディアからでていた「トルチャック&ウクライナ響盤(改訂版)」を愛聴していました。今回のクチャル盤はトルチャック盤と同じくリャトシンスキー馴染みのウクライナ国立交響楽団。さすがに節回しなど細かなニュアンス、バランスはお国ものだけにしっかり受け継がれているようです。主に4楽章ですが、検閲後の変更で初版と趣がすっかり変わっています。初めてリャトシンスキーの音楽を楽しむ方にはわかりやすいこちらの改訂版をおすすめいたします。フィナーレまでの流れがわかりやすくストレートに感動することでしょう。そしてウクライナの歴史と現在のロシアのウクライナ侵略とを頭に入れて初版カラビッツ盤を聴くとリャトシンスキーが「戦争を打ち負かし平和になる」と終楽章に込めた意味・曲想が理解できることと思います。「打ち負かす」だけでなく「平和になる」という願いが込められていることに気付かされます。とはいえ改訂版もリャトシンスキーの力量で全く芸術性は落ちていません。両版(盤)ともに多くの方に是非聴いていただきたいものです。

TIKHON さん | 奈良県 | 不明

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