ピアノ曲全集 第61集〜オペラ・トランスクリプション集　マーティン・カズン

リスト：ピアノ曲全集 第61集〜オペラ・トランスクリプション集

このアルバムには、若い頃のリストが得意としていたオペラの旋律のトランスクリプション5作が収録されています。
　冒頭に置かれたマイアベーアの『ユグノー教徒』の旋律を用いた幻想曲は1836年の作曲。リストはこの曲を3回改訂していますが、改訂ごとに曲が整理されたため、この初稿が一番長いものとなっています。2曲目のメルカダンテの旋律による『スカラ座の回想』にはメルカダンテのほか、誰のものかは特定できない旋律も使われています。『幻想的ロンド』はスペインの作曲家マヌエル・ガルシアのサルスエラ『密輸人』の旋律に基づく作品。スペイン風の情熱的なリズムに支えられた技巧的な手の跳躍が使われた「ラ・カンパネラ」を思わせる曲です。『ローエングリン』のトランスクリプションは、比較的原曲に忠実なアレンジが施されています。最後の『マンドラゴラ』はリスト晩年の作品。37小節のみの断片ですが、当時リストが試みていた無調の使用など実験的な要素が見られます。
　演奏はイギリスのピアニスト、マーティン・カズン。オスカー獲得の映画「シャイン」でピアニストの手を演じたことでも知られています。（輸入元情報）

【収録情報】
リスト：
1. マイアベーアの歌劇『ユグノー教徒』の主題による大幻想曲 S412/R211（1836、初稿）
2. イタリア・オペラのメロディとメルカダンテの歌劇『誓い』による幻想曲『スカラ座の回想』 S458/ R294（1838-39）
3. スペインの主題による幻想的ロンド『マヌエル・ガルシアの密輸人』 S252（1836）
4. ワーグナー：『ローエングリン』〜祝典と婚礼の歌 S446/1/R279/1（1854、初稿）
5. ドリーブの歌劇『ニヴェルのジャン』によるバラード『マンドラゴラ』 S698/R666（1881、断章）

　マーティン・カズン（ピアノ）

　録音時期：2023年2月13-15日
　録音場所：イギリス、クロイドン、Trinity Concert Hall, Trinity School
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）