メルカダンテの希少なオペラが、セッション録音で世界初録音!
このメルカダンテの歌劇『追放された男』は、1839年に初演された19世紀のグルノーブルのお話の戯曲「Le Proscrit」によるもので、当時パリで大変評判をよび、G.ロッシが15世紀のばら戦争時に置き換えた台本によってオットー・ニコライが歌劇化し、1841年にミラノ・スカラ座で世界初演しています。さらにそれをドイツ語版に書き直した歌劇「亡命者の帰郷(Die Heimkehr des Verbannten)」として作曲し、1844年にウィーンで初演を行っています。メルカダンテは台本作者サルヴァトーレ・カンマラーノによる17世紀半ばのエディンバラ近郊の舞台として、1842年1月4日にナポリのサン・カルロ劇場にて初演されました。
イングランド共和国初代護国卿オリバー クロムウェルの統治下で失われた愛と政治的裏切りの悲劇的な物語を織り成しており、ヒロインのMalvina Douglasの前の夫が死んだと思っていたら生きており、ヒロインが別の男と結婚式をあげるその前日に前の夫が戻ってくる。前の夫Giorgio Argyllは王党派、別の男で新しい夫になるはずのArturo Murrayはクロムウェルの支持者(議会派)ということで、王党派のジョルジョは、現体制の議会派から追われる身でもあるという悲劇です。
世界初録音となるこのオペラは、メルカダンテがベルカントの叙情詩に戻ったことを示していますが、彼の「改革」オペラに見られるハーモニーとオーケストラの豊かさを保持しています。
Giorgio Argyll役には、メキシコ生まれで、一流オペラ・ハウスで目覚しい活躍を続け国際的に大きな注目と高い評価を得ているテノール歌手、ラモン・ヴァルガスのロマンチストな甘い声で。そしてArturo Murray役には2021年のオペラリア・コンペティションの優勝者であるペルー出身のテノール、イヴァン・アヨン・リヴァスのドミンゴを彷彿させる情熱的な歌唱にも驚かされます。そしてヒロインのMalvina Douglas役には、新鋭メゾ・ソプラノ歌手のアイリーン・ロバーツ(2023年新国立歌劇場での『アイーダ』でアムネリス役で来日予定)が、見事なコロラトゥーラを聴かせてくれます。
この演奏は、2022年6月28日にバービカン・センターにて演奏会形式での公演の直前に、ヘンリー・ウッド・ホールにてセッション録音されたものですが、公演の批評でも「素晴らしいキャストと指揮者のカルロ・リッツィの燃えるような正確さにより、初演から180年経った今、この希少性が現代にもたらされた」「カルロ・リッツィは、メルカダンテの魅惑的なオーケストラの色を引き出し、音楽がその腹の中で決して火を絶やさないようにした。さらに優れたキャストは高水準の歌唱で圧倒した」と高い評価を得ています。
140ページブックレットには、あらすじ(英・仏・独・伊)と、歌詞(伊・英)を掲載。(輸入元情報)
【収録情報】
● メルカダンテ:歌劇『追放された男』全曲(イタリア語歌唱)
ラモン・ヴァルガス(Giorgio Argyll)
イヴァン・アヨン・リヴァス (Arturo Murray)
アイリーン・ロバーツ (Malvina Douglas)
エリザベス・ドゥショング (Odoardo Douglas)
サリー・マシューズ (Anna Ruthven)
ゴデルジ・ジャネリーゼ (Guglielmo Ruthven)
スザナ・ガスパール (Clara)
アレッサンドロ・フィッシャー (Osvald)
ニアル・アンダーソン (An official of Cromwell)
オペラ・ララ・コーラス
ブリテン・シンフォニア
カルロ・リッツィ(指揮)
録音時期:2022年6月
録音場所:ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)