『カヴァレリア・ルスティカーナ』全曲　レヴァイン＆ナショナル・フィル、スコット、ドミンゴ、他（１９７８　ステレオ）

マスカーニ：『カヴァレリア・ルスティカーナ』
スコット、ドミンゴ、レヴァイン

ヴェリズモ・オペラを代表する傑作『カヴァレリア・ルスティカーナ』のもっともヴェリズモ的な演奏。
　『カヴァレリア・ルスティカーナ』の魅力といえば、なんといっても冒頭からふんだんに示される美しい旋律と、随所に築かれるドラマティックな盛り上がりでしょう。
　ここでは若きレヴァインのダイナミックな指揮のもと、ドミンゴとスコットが情熱を爆発させるエネルギッシュな歌唱を聴かせています。
　ここでスコットが描くサントゥッツァ像は内在する感情を徹底的に顕在化させたすごいもので、教会での信心深い歌唱から次第に女の本性をむき出しにしていき、夫トゥリッドゥの浮気相手の主人アルフィオに告げ口して結果として夫の死を招いてしまうという恐ろしさを実感させてくれます。
　そのトゥリッドゥを演じるドミンゴも、浮気のために妻を侮辱するという欲望むきだしの男のあさましさ、いざ決闘のだんになってようやく後悔し、悲嘆にくれる小心者ぶりが非常に人間くさく描かれており、レヴァインのパワフルなオーケストラ・パートに負けないスタミナもさすがです。
　レヴァインの指揮は当時マーラー・シリーズで気を吐いていた時期のものだけあって、随所で怒涛の迫力を示しながらも、全体は揺るぎのない構築の中に収めら、鮮やかで克明なドラマの起伏を感じさせるものとなっています。
　ブックレットには英語、フランス語、ドイツ語でのあらすじ説明及びキャストと曲目詳細が掲載されております。歌詞・対訳は付いておりません。（ＨＭＶ）

【収録情報】
・マスカーニ：歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』（全曲）
　レナータ・スコット
　プラシド・ドミンゴ
　パブロ・エルヴィラ
　イソラ・ジョーンズ
　ジーン・クラフト、他
　ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
　ジェイムズ・レヴァイン（指揮）

　録音時期：1978年
　録音方式：ステレオ（セッション）