ヨハネ福音書の受難記事をラテン語で歌い上げてゆくカトリック教会の伝統に従った受難曲です。聖書以外は短いアリアが3曲はいるだけなのでの、たとえ日本語の歌詞がなくても英語訳をたよりに日本語の聖書と照らし合わせれば、何が歌われているか分かります。福音史家は本来はカウンターテナーでこのCDでは女声が担当しています。カトリック教会では受難の期間にオーケストラを加えるような「派手な」音楽の演奏は慎むべきとされていたので、伴奏楽器付きの受難曲は少なく、この曲の前にはFeo の30年くらい先輩にあたる A. Scarlattiのヨハネ受難曲くらいしかないようです。(この曲では通奏低音の他、弦楽四重奏が使われています。)実際この曲は時代遅れになったScarlattiの曲に置き換える意図で作曲されたようです。Scarlattiの曲に比べるとずいぶん技巧的な曲のように思います。
Feo は Pergolisi と親交のあった作曲家だそうです。Pergolesi のStabat Materも古くなった A. Scarlattiの曲に置き換えるため作曲されたそうす。
CDは美しいブックレットに収まっています。歌詞の他に受難に関連する彫刻、絵画がふんだんに印刷されています。2003年に世界遺産に登録されたSacro monte di Varese (スイス国境に近いイタリア、コモ湖の近くにファレーゼの町がある)のもののようです。
受難曲に興味を持っている私にとって、耳に出来るだけでも価値のあるCDです。