異才集団ファエンツァ、コレッリ登場前夜のローマで出版された注目曲集に迫る
17世紀前半にはフレスコバルディやベネヴォリ、世紀後半にはコレッリやA.スカルラッティが活躍したことで知られる「永遠の都」ローマ。その両時代の間にこの芸術都市で活躍したベルナベイは、ルネサンス末期に一世を風靡したマドリガーレという曲種を17世紀半ばになお探求した注目すべき作曲家のひとり。パスクィーニやストラデッラなど多くの重要な音楽家たちを擁護した貴族フラヴィオ・オルシーニのもとで活躍を続けた末、1669年に発表された曲集には、多声音楽全盛の時代に流行ったこの曲種を用いながら、独唱芸術に重きを置く17世紀ならではのコンチェルト様式が存分に生かされた興味深い音作りが見られます。少し上の世代のマッツォッキやM.ロッシらのマドリガーレより後期バロックのカンタータに近く、官能的な詩句に品のある艶やかさをまとわせる旋律美は何とも魅力的。
演奏は異才歌手=撥弦奏者マルコ・オルヴァを中心に結成されたファエンツァ。初期の「ALPHA」レーベルにも録音がある才人集団で、「Hortus」からほぼ同時に発売される彼らのフランス・バロック曲集『動物寓話』とともに注目したいリリースと言えるでしょう。(輸入元情報)
【収録情報】
ベルナベイ:さまざまな組み合わせの3声と通奏低音のためのマドリガーレ風コンチェルト集(1669年ローマ刊)
● 愛の力:よく見て驚きなさい、美しい両眼よ
● 今や脅かされているのです、恋の神に
● この苦しみの果実だけでいい
● プレリュード(アンジェロ・ミケーレ・バルトロッティ[c.1615-c.1681]作曲)…テオルボ独奏
● もう矢を射ないでください、愛しい人よ
● 惑わされた我が両眼よ
● トッカータ(ジャコモ・シモネッリ(生歿年不詳、1668〜1684年頃活躍)作曲)…チェンバロ独奏
● 遠く離れたところに来てしまったので
● 情けは何の役にも立たない
● 悲しい別れ:我が魂にも等しい君から離れるのだ
● 私は黙々と恋心を募らせ、灼けるようです
● あなたを愛していないか、ですって?
● パッサカリア(ベルナルド・パスクィーニ[1637-1710]作曲)…チェンバロ独奏
● 残酷な美しさ:愛する人が両眼で射かけてくる
● 時折、その美しい顔に見入ってしまい
● 私はこの身を焦がしながら、痛みについては黙して語らず
● 麗しき唇よ、あなたにお願いすることはない
● プレリュード(バルトロッティ作曲)…バロックギター独奏
● 離れ離れでいること:あなたにはわかるまい
ファエンツァ(声楽&古楽器アンサンブル)
ミリアム・アルブー(ソプラノ)
マリーヌ・フリブール(メゾ・ソプラノ)
アンドレア・ガヴァニン(カウンターテナー)
フランシスコ・マニャリク(テノール)
ヤン・イェルン・ブレーデヴォルト(バス)
アンヌ=ソフィー・エスレ(ディスカント&バス・ガンバ、リローネ)
エリアズ・エルスラン(バス・ガンバ)
マルコ・オルヴァ(テオルボ、アーチリュート、リローネ、バロックギター)
カロリーヌ・リエビ(バロックハープ)
中川亜由美(チェンバロ、オルガン)
録音時期:2022年8月31日〜9月4日
録音場所:フランス、ブルターニュ、トレドエ=ロケモー聖母教会
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)