エッセンシャル・マイケル・ナイマン・バンド
ピーター・グリーナウェイ監督との一連の共同作業や、《ピアン・レッスン》などのヒット作で知られる英国の作曲家、マイケル・ナイマンの代表作を、演奏会用のアレンジで集めたアルバム。
レコーディングは、1992年、ナイマンとナイマン・バンド来日の折りにビクター・スタジオでおこなわれており、オリジナルのサントラ・ヴァージョンに較べ、アレンジがコンサート向けの力強いものに変わっているのが特徴。
音質も大幅に良くなり、ナイマン・バンドの演奏技術の向上ぶりと併せて、全体の印象はまさにビビッドでカラフルかつ刺激的。
楽しく賑やかな作品の数々が、悲劇的、あるいは牧歌的な作品と並んで連続して登場するサマが実に心地よい仕上がりです。
特にトラック[10]「メモリアル」は、ナイマンの最高傑作とさえ称えたくなる強烈な迫力と美しさの並存する傑作で、実際の映像が、作品のクライマックスを形成する衝撃的な場面だったことを十分に裏付けます。
なお、この曲のほか計3曲で印象的な声を聴かせているソプラノ、サラ・レナードは、ヘルムート・ラッヘンマンの傑作オペラ《マッチ売りの少女》世界初演で主演していた人物で、2000年3月にサントリーホールでおこなわれた同オペラの日本初演(演奏会形式)でも話題になっていました。
また、最後のトラック《プロスペローの本》からの「ミランダ」で、サラと共にクレジットされているメゾ・ソプラノ、リンダ・ハーストは、英国現代音楽界のヴェテランであり、これまでにも数多くの公演やレコーディングに参加してその名を知られています。
収録曲目(67分19秒)
[1]《英国式庭園殺人事件》〜羊飼いにまかせとけ
[2]《英国式庭園殺人事件》〜光学理論の眼識
[3]《英国式庭園殺人事件》〜ザ・ガーデン・イズ・ビカミング・ア・ローブ・ルーム
[4]《ZOO》〜えびの観察
[5]《ZOO》〜時の流れ
[6]《数に溺れて》〜フィッシュ・ビーチ
[7]《数に溺れて》〜ホィールバロウ・ウォーク
[8]《数に溺れて》〜真相究明
[9]《コックと泥棒,その妻と愛人》〜欲のパラフレーズ
[10]《コックと泥棒,その妻と愛人》〜メモリアル
[11]《ウォーター・ダンス(メイキング・ア・スプラッシュ)》〜ストローキング
[12]《ウォーター・ダンス(メイキング・ア・スプラッシュ)》〜シンクロナイジング
[13]《プロスペローの本》〜ミランダ
演奏
マイケル・ナイマン指揮マイケル・ナイマン・バンド
[9][10][13]サラ・レナード(S)、[13]リンダ・ハースト(Ms)