フィリップ・ジュジアーノ&ハワード・シェリー。ドブジンスキのピアノ協奏曲!
近年、亡命した天才ショパンの影で厳しい環境に逆らいながらも創作活動を続け、祖国に音楽文化の礎を築いたポーランドの作曲家たちに注目が集まっています。本アルバムは、ショパンの師エルスネルによって「並外れた才能」と評されたポーランド初期ロマン派の作曲家、イグナツィ・フェリクス・ドブジンスキの創作に光を当てた1枚です。若き日の『ピアノ協奏曲』はドブジンスキの野心と作曲の才能を証明する力作で、ショパンのコンチェルト同様、先輩にあたるフンメルやモシェレスの影響が認められます。作曲家の生前に演奏された記録はなく、複数の版が存在していますが、ここではハワード・シェリーの編集した版をもとにしています。ショパンの作品2と同じテーマで、同じくピアノと管弦楽のために書かれた『モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』の主題による幻想曲』にも注目。ちなみにエルスネルは管弦楽、合唱、室内楽の分野における和声と対位法の扱いについては、ショパンよりドブジンスキの方に才能を見出していたそうです。
フィリップ・ジュジアーノは1990年の第12回ショパン国際ピアノ・コンクールに初出場で入賞を果たし、次の1995年第13回大会で見事最高位を受賞した1973年マルセイユ生まれのピアニストで、ピアノをピエール・バルビゼやジャック・ルヴィエに師事。NIFCレーベルではショパンの初期ポロネーズ、ピアノ・ソナタ第1番、『お手をどうぞ』の主題による変奏曲を、モダンとピリオドの両方で録音しています。また指揮を務めるハワード・シェリーはピアニスト(弾き振り)としてドブジンスキのピアノ協奏曲をモダンとピリオドで2度録音しており、ロマン派ピアノ協奏曲の録音も数多いため、本作品のエキスパートといって差し支えないでしょう。(photo by Wojciech Surdziel)(輸入元情報)
【収録情報】
ドブジンスキ:
1. ピアノ協奏曲変イ長調 Op.2(1824)
2. 創作主題による変奏曲 変ロ長調 Op.22(1833-1835)
3. 2つのマズルカ(c.1846)
4. リコルダンツァ ト長調 Op.49(1846)
5. モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』の主題による幻想曲(モーツァルトへのオマージュ)Op.59(1847)
フィリップ・ジュジアーノ(ピアノ/スタインウェイ D, 578221)
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ハワード・シェリー(指揮)
録音時期:2016年6月15日、2017年4月23,25日、8月18,19日
録音場所:ワルシャワ、ヴィトルト・ルトスワフスキ・ポーランド放送コンサート・スタジオ
録音方式:ステレオ(デジタル)