ノルウェーの民俗音楽から着想を得た
ラッセ・トゥーレセンのフルート作品集
ラッセ・トゥーレセンはオスロ生まれ。グリーグの『抒情小曲集』を練習していた15歳の時、ノルウェーの民俗音楽の編曲を試みたことから作曲を始め、作曲法を学ぶうちに出会ったファッテイン・ヴァーレンの無調ポリフォニーに強く惹かれるようになりました。ノルウェー国立音楽アカデミーに進みフィン・モッテンセンの下で十二音技法を学び、ユトレヒトで教えていたスイスのヴェルナー・ケーギの下で電子音楽と作曲法を修めました。トゥーレセンは、さまざまな国とジャンルの音楽を研究、ミュライルやグリゼーのスペクトラルミュージックとノルウェー民俗音楽の調性の間にかなり似通った点のあることにも気づいたといいます。1988年から国立音楽アカデミーの教授。2010年、ノルディック・ヴォイセズのために作曲した『Opus 42 - 六重唱曲』で北欧音楽委員会(NOMUS)賞を受けています。
王立ノルウェー海軍音楽隊のフルーティスト、マイケン・マティセン・スカウ[1970-]と、フリーランスのピアニスト、トロン・スカウ[1970-]によるトゥーレセンの作品集。アルバム名にとられた『名前の海』は、スカウ夫妻の委嘱により作曲されたフルートとピアノのための作品です。すべての創造物がそうであるように、魂も最後はその生まれたところに戻るという考えに基づいて曲名がつけられ、ヴァーレンのヴァイオリン協奏曲のカデンツァを素材に選び、親しい家族の死を悼む瞑想の音楽として書かれました。『相互作用』では、それぞれ自由に演奏していたフルートとピアノが、互いに触発され、クライマックを築いていきます。『手のひらを広げるか、拳を握るか?』は、フルート・ソロの曲。フルートの音域と技巧をフルに活かし、人間関係に表れるさまざまな態度が音楽に表現されます。中間部には、ノルウェーの民俗音楽から着想を得たという、フルーティストが足でリズムをとる音が織り込まれました。ピアノ・ソロのための『太陽の戯れ』は、リレハンメルに近いサクスムスダーレンに住んでいた1983年、近所に住む自然写真家トーレ・スヴェッレの作品をスライド上映する背景音楽として作曲された、民俗音楽を思わせる簡素なメロディに基づく変奏曲。『内なる対話の段階』では、個人的な問題が起きた時の「自分の内面」とのコミュニケーションが描かれます。『澄みきった水の祈り』は、2011年、第13回エドヴァルド・グリーグ国際コンペティションのピアノ部門課題曲として作曲されました。グリーグが愛した、川、小川、滝、湖、深いフィヨルド、海の「澄みきった水」を「内面浄化」の象徴としてとらえたという作品です。(輸入元情報)
【収録情報】
トゥーレセン:
● 名前の海 Op.47 (2012-13)〜フルートとピアノのための
● 内なる対話の段階 Op.9 (1981)〜ピアノのための
● 手のひらを広げるか、拳を握るか? Op.6 (1976)〜フルート・ソロのための
● 太陽の戯れ Op.13 (1983 rev.1986)〜ピアノのための
● 澄みきった水の祈り Op.52-2 (2011)〜ピアノのための
● 相互作用 Op.11 (1981/83)〜フルートとピアノのための
マイケン・マティセン・スカウ(フルート)
トロン・スカウ(ピアノ)
録音時期:2015年9月
録音場所:オスロ、ソフィエンベルグ教会
録音方式:ステレオ(DXD 24bit 352.8kHz/セッション)
制作・録音:モッテン・リンドベルグ
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.1 SURROUND