編曲もオリジナルも引用もコラージュも一緒くたに
他に類を見ない作曲ぶりが顕になる強烈な3CD!
これこそB.A.ツィンマーマンの音楽、指揮はすべてホリガー!
戦後最も重要で、最も個性的な作曲家といえるベルント・アロイス・ツィンマーマンの、多くの初録音作品を含む3枚組アルバムが登場。もともとはB.A.ツィンマーマン生誕100周年記念として企画されたもので、すべてハインツ・ホリガー指揮、WDR製作という望みうる最高レベルの演奏・録音。ここまで包括的にまとまっているのが嬉しい、大注目のセットです。
B.A.ツィンマーマンは同時代の前衛の旗手シュトックハウゼンとは対極にある作曲家で、既存の素材を新たな文脈で再構成するという、コラージュ的、ポストモダン的手法を作風の要としました。これは若い頃から様々な既存の歌曲やピアノ曲を管弦楽に編曲していくなかで培った技術や色彩感覚によって達成されたもので、『アラゴアナ』『管弦楽のための協奏曲』『1楽章の交響曲』といったオリジナルの名作たちと数々の編曲作品は、不可分の存在と言えます。それらを組み合わせ、一見雑多で、しかしこれぞ、という収録内容に仕立てたこのアルバムは、多くの引用と再構成によって成り立っているB.A.ツィンマーマンの目くるめく音楽世界を見事に体現しています。
独自の道を突き進んだB.A.ツィンマーマンは、1970年に『静止と反転』を完成させた直後、自らの命を絶ちます。彼の音楽はもしかすると、戦後に前衛の熱風が吹き荒れた20世紀よりも、21世紀の現代にこそふさわしく響くのかもしれません。(輸入元情報)
【収録情報】
Disc1
1. B.A.ツィンマーマン:ブラジル奇想曲『アラゴアナ』〜管弦楽のためのバレエ(1951/1955)
2. ヴィラ=ロボス:ピアノのための『カボクロの伝説』(1920)
B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版 1953*
3. ミヨー:ピアノのための舞踊組曲『ブラジルへの郷愁』 Op.67(1920-1921)より
第3曲『レーメ』(B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版 1951*
第1曲『ソロカーバ』(B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版 1951*
4. カゼッラ:子供のための11の小品 Op.35(1920)より
第4曲『ボレロ』(B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1951)*
第9曲『カリヨン』(B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1952)*
5. B.A.ツィンマーマン:ピアノのための『エクステンポラーレ』より『ボレロ・モデラート』(1943)
B.A.ツィンマーマン自身による管弦楽版 1950*
6. B.A.ツィンマーマン:管弦楽のための『Chunchitos』(1956)*/『 Laquitas』(1956)* /『Pjusi-Phias』(1957)*
ハンス・ヘルフリッツ[1902-1995]:ピアノのためのボリビアのアイマラ族とケチュア族の民謡に基づく舞曲とアリア『アル・アムニャス』(1943)第4曲、第10曲、第3曲に基づく
7. ジャン・バティスト・ヴェッカーラン:ピアノのための『18世紀のフランスの歌』(1894)より
『ベルジェール・レジェール』 B.A.ツィンマーマンによるソプラノと管弦楽版 1950*
『ママ、教えて』 B.A.ツィンマーマンによるソプラノと管弦楽版 1950*
『若い女の子』 B.A.ツィンマーマンによる声楽と管弦楽版 1950*
8. B.A.ツィンマーマン:小管弦楽のための『ほんの少しの無』〜マルセル・エイメの『月の鳥』にちなんだ、光と月と鳥の音楽(1964)
9. B.A.ツィンマーマン:13管楽器のための『ライン・キルメス舞曲』(1962)
Disc2
10. B.A.ツィンマーマン:フレッド・シュネッケンブルガーのアイデアによる架空のバレエ音楽『コントラスト』 〜小管弦楽のための(1953)
11. ムソルグスキー:ピアノのための『クリミア南岸にて』(1879-80)
B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版 1949*
12. ムソルグスキー:ピアノのための即興曲『村にて』(1880)
B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版 1950*
13. リスト:ピアノと声楽のための『3人のジプシー』(1860)
B.A.ツィンマーマンによる声楽と管弦楽版 1953*
14. B.A.ツィンマーマン:管弦楽のためのインテルメッツォ(悲しきワルツ)(1949)*
15. リスト:ピアノと声楽のための『ああ、私が眠るとき』(1849)
B.A.ツィンマーマンによる声楽と管弦楽版 1954*
16. ラフマニノフ:サロン小品集 Op.10(1894)より 第6曲『ロマンス』
B.A.ツィンマーマンによるサックスと管弦楽版 1950*
17. B.A.ツィンマーマン:ピアノと管弦楽のためのコンチェルティーノ(1950)*
〜ラフマニノフ:サロン小品集 Op.10(1894)より 第5曲『ユモレスク』に基づく
18. B.A.ツィンマーマン:管弦楽のための協奏曲(第3版)(1946/49)*
Disc3
19. B.A.ツィンマーマン:大管弦楽のための1楽章の交響曲(第2版)(1953)
20. ブゾーニ:2つの舞曲 Op.30a(1889)より『バレエの情景 第3番』
B.A.ツィンマーマンによる声楽と管弦楽版 1949*
21. スメタナ:管弦楽のためのポルカ『田舎娘』(1879)
スメタナ自身によるピアノ版(1880)に基づくB.A.ツィンマーマンによる新たな管弦楽版 1953*
22. スメタナ:ピアノのためのチェコ舞曲集 第2集より第3曲『オヴェス』(1879)
B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版 1950*
23. ドヴォルザーク:ピアノのための詩的な音画 Op.85(1889)より第11曲『おしゃべり』
B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版 1953*
24. ワルター・ニーマン[1876-1953]:ピアノのための『日本』 Op.89(1923)より第1 曲『茶室』
B.A.ツィンマーマンによる2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ハープ、ピアノのための編曲版(第1版) c.1951*
25. コダーイ:7つのピアノ小品 Op.11(1910-18)より第3曲『巷に雨の降るごとく』
B.A.ツィンマーマンによる2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノのための編曲版(1949)*
26. シリル・スコット:2つのピアノ小品 Op.47より 第1曲『蓮の国』(1905年出版)
B.A.ツィンマーマンによるフルート、ハープ、2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのための編曲版 1952*
27. B.A.ツィンマーマン:2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノのための『古きバレエの思い出』(1950)
ヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャー[1656-1746]:9つのチェンバロ組曲『音楽のパルナッソス』(1738)より 組曲第2番『カリオペ』〜第2曲『バレエ』に基づく
28. パウル・ハレツキ[1911-2000]:インテルメッツォ・スケルツォーゾ『父と子』(1938年出版)
ベルナルド・パッツィ(B.A.ツィンマーマンの仮名)による小管弦楽版 1963*
29. エドムンド・ニック[1891-1974]:ブルース(1929)
B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版 1954*
30. B.A.ツィンマーマン:管弦楽のための素描『静止と反転』(1970)
サラ・ウェゲナー(ソプラノ:7,13,15)
マルクス・ヴァイス(サックス:16)
ウエリ・ヴィゲット(ピアノ:17)
ケルンWDR交響楽団
ハインツ・ホリガー(指揮)
録音:2000年、2002年、2012年、2017年、2018年
*=世界初録音