マリス・ヤンソンス/モスクワでのラスト・コンサート
2016年3月29日にチャイコフスキー・コンサート・ホールで開催されたマリス・ヤンソンスとモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団とのコンサート。このコンサートの模様は、すでに前半の2曲のみ2017年7月にリリースされ大きな注目を集めましたが、結果的にこれがヤンソンスのモスクワでの最後のコンサートになってしまいました。今回は後半の3曲も加えた新装版としてのリリースとなります。
この日の演目はボリス・チャイコフスキーの甥である作曲家アレクサンドル・チャイコフスキー(有名なピョートル・イリイチ・チャイコフスキーとは血縁関係なし)の生誕70周年を祝すもので、プログラムは全て彼の作品です。作曲家と音楽的信頼関係を築いてきたユーリ・バシュメットを迎えたこの演奏会は、ながらくアレクサンドル・チャイコフスキー作品を愛奏してきたヤンソンスにとっても、とりわけ記念すべきものであったことでしょう。
1993年に初演された『シンプル・トーンによるエチュード』はバシュメットに献呈された作品で、ロマン派、印象主義、ジャズ、ミニマリズム、ロックンロールに至るまでの様々な時代のイディオムが使われています。『2台のピアノと管弦楽のための協奏曲』はネイガウス門下のアレクサンドル・スロボジャニクと彼の息子のために書かれた作品。最初は独奏ピアノの協奏曲でしたが、初演の終了後に第2ピアノのパートが付け加えられたもので、このヴァージョンでの初演では作曲家自身がこの第2パートを演奏したということです。
今回登場する交響曲第4番は、ヤンソンスが得意とするレパートリー。2009年にバイエルン放送交響楽団と行った演奏もリリースされており、作品への深い愛着が感じられます。第二次世界大戦の終戦60年を記念しバシュメットの依頼により作曲されたこの曲は、大編成のオーケストラと合唱を要する大作。時折登場するヴィオラ・ソロがひときわ印象的です。全体的に激しい曲調ですが、最後に置かれた瞑想的な祈りの旋律が耳に残ります。アンコールとして演奏された『ティホン・フレンニコフの思い出のためのエレジー』とワルツも貴重な記録です。(輸入元情報)
【収録情報】
Disc1
A.チャイコフスキー:
1. ヴィオラ、独奏ピアノと管弦楽のための協奏曲第2番『シンプル・トーンによるエチュード』(ユーリ・バシュメットに捧げる)
2. 2台ピアノと管弦楽のための協奏曲 Op.70
ユーリ・バシュメット(ヴィオラ:1)
クセニア・バシュメット(ピアノ:1)
ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ:2)
ダリア・チャイコフスカヤ(ピアノ:2)
Disc2
1. 交響曲第4番 - オーケストラ、合唱と独奏ヴィオラのために
2. ティホン・フレンニコフの思い出のためのエレジー
3. ワルツ
ユーリ・バシュメット(ヴィオラ:1)
ユルロフ・カペラ合唱団(1)
モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
マリス・ヤンソンス(指揮)
録音時期:2016年3月29日
録音場所:モスクワ、チャイコフスキー・コンサート・ホール
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
Sound engineer: Pavel Lavrenenkov
Recording engineer: Victor Osadchev