ハインリヒ・シフ/チェルハ:チェロ協奏曲、他
名手ハインリヒ・シフによるフリードリヒ・チェルハのチェロ協奏曲[1926-]と、近年ますます評価が高まるフランツ・シュレーカー[1878-1934]の室内交響曲という、いかにもECMらしい選曲が光る1枚です。
チェルハと言えば、あのベルクの『ルル』を補筆した作曲家として知られています。1926年生まれの彼はシェーンベルクの12音技法に影響を受けつつも、1958年に「ディ・ライエ」というアンサンブルを結成し、独自の作風の音楽を作り上げました。彼のチェロ協奏曲は、ベルリン芸術祭の委嘱作品で、ソプラノ・サックスやボンゴなどの打楽器も駆使した極めてエネルギッシュな音楽。もちろんチェロ・パートも極めて機能的に書かれた見事なものです。
シュレーカーの室内交響曲は、1916年に作曲された彼唯一の交響曲で、7つの管楽器、11の弦楽器、ティンパニ、ハープ、チェレスタ、ハーモニウムという編成からなる魅惑的な音色を持った音楽です。
指揮者のエトヴェシュは、改めて語るまでもなく現在、現代音楽の指揮者として最も有名な人の一人。IRCAMやアンサンブル・アンテルコンタンポランとも素晴らしい業績を残しています。ECMレーベルにも数多くの録音があり、それはカシュカシアンとの共演であったり、彼自身の作品の録音であったりと、そのどれもが高い評価を受けています。(ユニバーサルIMS)
・チェルハ:チェロ協奏曲 (1989/1996)
・シュレーカー:1楽章の室内交響曲
ハインリヒ・シフ(チェロ)
オランダ放送室内管弦楽団
ペーター・エトヴェシュ(指揮)
録音:2003年9月 ヒルヴァースシュム、オランダ