スヴェトラーノフ/ペトルーシュカ&春の祭典(2CD)
強烈な演奏内容でスヴェトラ・マニアをも驚かせた『ペトルーシュカ』が、音質の良さで定評あるヴェネツィア・レーベルから待望の復活。
この『ペトルーシュカ』は、巨匠スヴェトラーノフの巨大な音楽性をモロに反映して想像を絶する肥大化を遂げた大変な演奏です。トータルで39分を越える演奏時間からして、通常35分足らずの同曲としてはもはや型破り。軽快なはずの「ロシアの踊り」における一歩一歩と踏み締めるかのように重くねばるリズムには仰天。ここではドラム・ロールでさえ「ズドドドド」といった調子で、さらに強弱を付けて陰影さえも施されており、徹底した重量志向を示します。
こうした傾向の演奏だけに、第3場「ムーア人の部屋」での不気味な暗さも印象的ですが、続く第4場「謝肉祭の市場」こそ当演奏の白眉と言えます。普通はリズムの切れ味を誇示すべきこの場面で、スヴェトラーノフのテンポはほとんどスロー・モーション。ソヴィエト国立交響楽団のパワフル金管軍団がバリバリと鳴りまくり、まさに阿鼻叫喚のとてつもない状況を呈します。
以前に他社から発売されたときには、その驚愕の演奏内容はもちろん、収録年未掲載ながら非常に良好な音質のステレオ・ライヴであることも評判となりましたが、今回は、メロディア音源の良質なCD復刻で知られるヴェネツィア・レーベルからのリリースということで大いに期待させます。
しかもカップリングは、これまた凶暴演奏と名高い『春の祭典』と万全です。
CD-2には『カルタ遊び』と『妖精の口づけ』を収録。
CD-1:
ストラヴィンスキー:
・『春の祭典』[1966年ステレオ]
・『ペトルーシュカ』[収録年未掲載ステレオ・ライヴ]
CD-2:
ストラヴィンスキー:
・『かるた遊び』[1970年ステレオ]
・『妖精の口づけ』[1998年ステレオ・ライヴ]
ソヴィエト国立交響楽団
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮)