小澤征爾が体調を崩して一時休止になっている状態は何となく寂しいものがあります、彼の創り出す音楽がどうこうと言ったことでなく存在感というのでしょう。彼の2002年ニューイヤー・コンサートでVPOを振ったライブ中継がもう懐かしいと思うようになってしまったのです。さて、そのニューイヤー・コンサートで1939〜1954年(途中数回は別の指揮者)指揮したクラウス(1954年ニューイヤー・コンサート録音盤も最古?のニューイヤー・コンサート録音分としてあるようです)はその容貌からして如何にもウィーン界の申し子体で戦前録音にもウィンナ・ワルツが聴けますが1951〜1953年セッション録音のものを私などはLPで一部聴いておりました。CDになってからは(1)「美しく青きドナウ」、(2)「ウィーンの森の物語」、(3)「オーストリアの村つばめ」という夫々のタイトルで計三枚モノラルながら良好な音で(私はそんなに専門的ではないので国産盤)約30曲を聴いておりました。演奏自体後年のボスコフスキー/VPOetcより音の性格もあるのか骨太なイメージがあるものの独特の拍子の取り方・間の取り具合は1950年初頭まで受け継がれて来たウィーン伝統が偲ばれ「やはり本物だなぁ」との感慨に耽る始末であります。ヨハン・シュトラウスTの「天体の音楽」(タイム8’40)や「わが人生は愛と喜び」(同7’08)、ヨハン・シュトラウスUの有名な「美しく青きドナウ」(同10’45)、「ウィーンの森の物語」(同11’55)など比較的演奏時間の長いもので「時代」を経験出来る感じがしております。いろいろ技術の向上でより聴き易い盤も出ているようでいずれにしても残しておきたい音楽音源の一つと申せましょう・・・懐古趣味ではあっても・・・。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)