シュトラウス、リヒャルト(1864-1949)

人物・団体ページへ

DVD 輸入盤

『影のない女』全曲 ゲッツ・フリードリヒ(演出)、ショルティ&ウィーン・フィル(1992 ステレオ)(DVD)

シュトラウス、リヒャルト(1864-1949)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
0714259
組み枚数
:
2
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
DVD

商品説明

R.シュトラウス:楽劇『影の無い女』全曲/ショルティ&ウィーン・フィル

『バラの騎士』が『フィガロの結婚』に範をとったと言われるのと同じく、『影のない女』は、やはりモーツァルトの『魔笛』から多大な影響を受けたとされています。
 それはたとえば『魔笛』と同じく現実離れしたメルヘンの世界を題材としていることや、「象徴」の手法が多用されている点にもみてとれますが、このオペラは、ホーフマンスタールの台本がたいへんな力作ということもあって(彼は1915年に完成された台本版のほか、4年後には小説版まで書きあげ、作品への深い愛着を示しています)、より複雑で繊細な味わいに富みながらも、全体のスケールはきわめて大きなものとなっているのが特徴。
 作曲時期は1914年から1917年、第一次世界大戦中ということもあってか、この作品に集中的に取り組むことが出来たようで、ホーフマンスタールとの数多い書簡のやりとりからもそのことはよく伝わってきます。
 数多い登場人物の描き分けの巧みさ、オーケストレーションのみごとさもまさにシュトラウスの絶頂期を示すものと言え、その作曲技法の熟達ぶりは、ホーフマンスタールとの一連の共同作業から生まれた傑作群(『エレクトラ』『バラの騎士』『ナクソス島のアリアドネ』『影のない女』『エジプトのヘレナ』『アラベラ』の6作品)の中にあってもまさに最高クラスの水準を示すものと言えるでしょう。
 舞台設定は、架空の時代の東方のある国、というもので、体裁はまさにおとぎ話。カルロ・ゴッツィの諸作やゲーテのほか、世界各地の民話や伝説、『千夜一夜物語』などに取材しています。
 台本作者のホーフマンスタール自身が述べているように、モーツァルトの『魔笛』を意識して書かれたため、ウィーンの民衆劇が定型としていた「皇帝&皇后」のペアに対し、コメディア・デラルテのペアが置かれる予定でしたが、実際にはそれはアラビアの影響を感じさせるキャラクターでもある「染物師バラク夫妻」に変更され、猥雑さや滑稽さよりも家族愛・人類愛の表現にシフトしたものとなっています。もちろん、本来のコメディア・デラルテのペアが持っていた騒々しさが無くなったわけではなく、その役割はここでは、バラクの兄弟たちによって実現されているのです。
 このオペラの数多い登場人物中で、唯一名前があるのがこのバラクというのも何やら象徴的ですが(カイコバートは実際には登場しませんので)、これに女性版メフィストフェレスともいうべき魔法使いの「乳母」が絡んで、女性版ファウストのような「皇后」と「バラクの妻」の価値観の変質を描いてゆきます。

 当DVDは、ショルティがウィーン・フィルを核につくりあげたみごとな音響と、ゲッツ・フリードリヒの象徴的な美しさにあふれた演出が結びついた名舞台を収録したもので、ザルツブルク音楽祭ならではの豪華なキャスティングが魅力です。
 この公演、元々はカラヤンが指揮する予定だったものですが、1989年のザルツブルク復活祭音楽祭にショルティがベルリン・フィルを指揮しに訪れた際、カラヤン指揮する『トスカ』の終演後に楽屋を訪問したショルティに対して、カラヤン自身が出演依頼をしたというもの。
 おそらく自らの死を予感していたのでしょう。それから数ヵ月後の7月16日にカラヤンは亡くなりますが、ショルティによる公演は、3年後に予定通りおこなわれました。
 コスト・パフォーマンスも抜群です。国内LD初発売時には税込み12000円もしていたことを考えると、日本語字幕が無いとはいえ、CDよりもずっと安いこの価格はかなりのお買い得と思われます。また、DVDヴァージョンは、LDやVHSと異なってドルビー5.1チャンネル・サラウンドにも対応しており、特殊楽器や舞台上の楽器まで使用したスペクタクルなサウンドを雰囲気豊かに再現できるのが大きなポイントとなっています。

【収録情報】
R.シュトラウス作曲、ホーフマンスタール台本
・楽劇『影のない女』 完全全曲版
 皇帝:トーマス・モーザー(T)
 皇后:チェリル・ステューダー(S)
 バラク:ロバート・ヘイル(Br)
 バラクの妻:エヴァ・マルトン(S)
 乳母:マルヤーナ・リポヴシェク(Ms)
 伝令使:ブリン・ターフェル(Br)
 鷹の声:アンドレア・ロスト(S)
 若い男の霊:ヘルベルト・リッパート(T)
 天上の声:エルズビエータ・アルダム(A)
 宮殿の門衛:エリーザベト・ノルベルク=シュルツ(S)
 バラクの片目の兄弟:マンフレート・ヘム(Bs)
 バラクの片腕の兄弟:ハンス・フランツェン(Br)
 バラクのせむしの兄弟:ヴィルフリート・ガームリヒ(T)
 生まれざる子供達:ザルツブルク少年少女合唱団
 侍女たち:ウィーン国立歌劇場合唱団
 夜警たち:ウィーン国立歌劇場合唱団

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:ゲオルグ・ショルティ
 演出:ゲッツ・フリードリヒ

 収録:1992年8月、ザルツブルク音楽祭、ザルツブルク祝祭大劇場
 収録時間:203分 (第1幕:66:55 第2幕:65:23 第3幕:70:29 ちなみに少し前に収録されたCDは、65:28-64:21-65:39)
 ドルビー5.1チャンネル・サラウンド&ステレオ

収録曲   

ディスク   1

  • 01. Die Frau Ohne Schatten, Op.65
  • 02. Strauss, Richard - Titles (original Version)
  • 03. Die Frau Ohne Schatten, Op.65 (original Version)
  • 04. Strauss, Richard - Licht Ueber'm See (act 1)
  • 05. Strauss, Richard - Amme, Wachst Du? (act 1)
  • 06. Strauss, Richard - Wie Soll Ich Denn Nicht Weinen?
  • 07. Strauss, Richard - Amme, Um Alles, Wo Find' Ich De
  • 08. Strauss, Richard - Erdenflug (act 1)
  • 09. Strauss, Richard - Dieb! Da Nimm! (act 1)
  • 10. Strauss, Richard - Sie Aus Dem Hause (act 1)
  • 11. Strauss, Richard - Dritthalb Jahr Bin Ich Dein Wei
  • 12. Strauss, Richard - Was Wollt' Ich Hier? (act 1)
  • 13. Strauss, Richard - Ach, Herrin, Suesse Herrin! (ac
  • 14. Strauss, Richard - Mutter, Mutter, Lass Uns Nach H
  • 15. Strauss, Richard - Trag Ich Die Ware Selber Zu Mar
  • 16. Strauss, Richard - Komm Bald Wieder Nach Haus, Mei
  • 17. Strauss, Richard - Was Ist Nun Deine Rede (act 2)
  • 18. Strauss, Richard - Falke, Falke, Du Wiedergefunden
  • 19. Strauss, Richard - Stille, O Weh, Falke, O Weh! (a
  • 20. Strauss, Richard - Es Gibt Derer, Die Haben Immer
  • 21. Strauss, Richard - Schlange, Was Hab Ich (act 2)
  • 22. Strauss, Richard - Ein Handwerk Verstehst Du Siche
  • 23. Strauss, Richard - Wer Da? (act 2)
  • 24. Strauss, Richard - Sieh - Amme - Sieh (act 2)
  • 25. Strauss, Richard - Wehe, Mein Mann! (act 2)
  • 26. Strauss, Richard - Das Weib Ist Irre (act 2)
  • 27. Strauss, Richard - Das Weib Ist Irre (act 2)

ディスク   2

  • 01. Die Frau Ohne Schatten, Op.65 (original Version)
  • 02. Strauss, Richard - Schweigt Doch, Ihr Stimmen! (ac
  • 03. Strauss, Richard - Mir Anvertraut (act 3)
  • 04. Strauss, Richard - Auf, Geh Nach Oben, Mann (act 3
  • 05. Strauss, Richard - Fort Von Hier! (act 3)
  • 06. Strauss, Richard - Fort Mit Uns! (act 3)
  • 07. Strauss, Richard - Aus Unsern Taten Steigt Ein Ger
  • 08. Strauss, Richard - Was Menschen Beduerfen (act 3)
  • 09. Strauss, Richard - Vater, Bist Du's? (act 3)
  • 10. Strauss, Richard - Goldenen Trank (act 3)
  • 11. Strauss, Richard - Ach! Weh Mir! Mein Liebster Sta
  • 12. Strauss, Richard - Wenn Das Herz Aus Kristall (a
  • 13. Strauss, Richard - Trifft Mich Sein Lieben Nicht (
  • 14. Strauss, Richard - Nun Will Ich Jubeln (act 3)

総合評価

★
★
★
★
★

5.0

★
★
★
★
★
 
6
★
★
★
★
☆
 
1
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
このディスクで特筆すべきは、フリードリヒ...

投稿日:2010/01/03 (日)

このディスクで特筆すべきは、フリードリヒの演出だ。冒頭の流星が落ちるシーンに始まって、最後まで息もつかせない。ただし、エンディングはやや冗長だろう。次いでは、ショルティ&ウイーン・フィルの演奏だ。何と言っても音が美しく、抒情に溢れている。歌手では、(たしかに容姿は別として)マルトンが他を圧している。

烏 さん | 広島県 | 不明

0
★
★
★
★
☆
ゲッツフリードリヒの演出はこの難解な物語...

投稿日:2007/11/24 (土)

ゲッツフリードリヒの演出はこの難解な物語を噛み砕いてリアリズムと曖昧とを取り混ぜて非常に良くできている。音楽の方はちょっと不満が残る。スチューダーは低域が聞こえない。モーザーも相当不調か。相変わらず上手いヘイルとそれから視覚的要素は別にすればモルトンは標準以上だが。ショルティの指揮も納得が行かない。バラクの『人一倍働こう』から最後までは一連のコラールだと思うが音が弛緩気味で流れもブツ切れでサヴァリッシュやベーム或いはカイルベルトの演奏に比べると盛り上がりに欠けるのは意外。

稲荷屋茶助 さん | 東京 | 不明

0
★
★
★
★
★
歌手、演奏共に非常に素晴らしいの一言。

投稿日:2007/03/22 (木)

歌手、演奏共に非常に素晴らしいの一言。

Nilson さん | 高知 | 不明

0

シュトラウス、リヒャルト(1864-1949)に関連するトピックス

オペラ に関連する商品情報

おすすめの商品