ソ連の伝統からキテレツな猟奇作風まで
グバイドゥーリナの七変化の世界
日本でもおなじみの旧ソ連出身作曲家ソフィア・グバイドゥーリナ。彼女の全弦楽四重奏曲作品をはじめ、弦楽器のための重要作品を集めた好企画。
グバイドゥーリナは今日までに弦楽四重奏のための作品を5篇残していますが、いずれも単一楽章形式で、それぞれに奇抜なアイディアが盛り込まれています。第1番はソ連時代の作ながら、奏者が演奏中に椅子を持って舞台を移動することが指示され、さらに最後の6ページは演奏者が即興するというキテレツな作。第2番はシベリウスSQ、第3番はアルディッティSQの委嘱作ですが、後者はピチカートに偏執した猟奇的作風に驚かされます。クロノスSQの委嘱による第4番は十二音技法、テープ付きの前衛作。そして第5番にあたる『BACH主題による反映』は『フーガの技法』の主題をグバイドゥーリナ風に処理しています。グバイドゥーリナ学生時代の作『ピアノ五重奏曲』は、ショスタコーヴィチかヴァインベルグを思わせる典型的なソヴィエト音楽。後年の作風はほとんど感じさせませんが、精力的なアレグロ楽章など魅力的です。
1997年に結成されたモリナーリ四重奏団。カナダを代表する団体で、現代音楽をレパートリーの中心としています。完璧な技術と鋭敏な感性で、やはり現代音楽を得意とするカナダのピアニスト、ルイーズ・ベセットとともに輝くような演奏を繰り広げています。(キングインターナショナル)
【収録情報】
Disc1
グバイドゥーリナ:
● 弦楽四重奏曲第1番 (1971)
● 弦楽四重奏曲第2番 (1987)
● 弦楽四重奏曲第3番 (1987)
● 弦楽四重奏曲第4番 (1993)
● BACH主題による反映 (2002)
Disc2
● ピアノ五重奏曲 (1957)
● 弦楽三重奏曲 (1987)
● リジョイス(ヴァイオリンとチェロのためのソナタ) (1981)
モリナーリ四重奏団
ルイーズ・ベセット(ピアノ)
録音時期:2013年9月、10月
録音場所:ケベック州ミラベル、聖オーギュスタン教会 ケベック州モントリオール、サル・ピエール・メルキュール
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)