このCDはアメリカの作曲家、ロバート・ウォードの管弦楽作品を集めたCDです。
本CDは1999年発売のアルバムを今年に再リリースされたものです。
収録曲で最初に登場するのは、ウィリアム・ストリックランド指揮、日本フィルハーモニー管弦楽団によって録音された『交響曲第2番』です。
これは1960年に録音され、米CRIレコードに日本フィルが録音した音源の1つだそうです。
指揮者ストリックランドは、当時日本に頻繁に来日し、アメリカの同時代の音楽を紹介したほか、CRIに日本フィルとアメリカの作品の吹き込みや、EMIには芥川の作品をインペリアル・フィルハーモニーと録音するなど活躍していました。
この交響曲第2番は中々に良い演奏をしており、当時の日フィルの演奏能力の高さと、ストリックランドのオケのコントロール能力、更に作曲者への共感が感じられる。
次に登場するのはアラン・バルター指揮、チェコ・フィルハーモニー室内管弦楽団で、『思い出の道を通って』『5×5(5部の主題による4つの変奏)』が収録されています。
この音源は新しく録音された物で1998年4月にチェコで録音されたもの。
オケは言わずとも知れたチェコ・フィルのメンバーによるもので、指揮のバルターはアメリカの指揮者。
録音も他に数えるぐらいしかなく、アメリカを中心に活躍したため日本では知られていないが、意外な所で日本と繋がりがあり1976年の民音コンクールで1位をとっているようだ。
本録音の4ヶ月後、1998年8月に亡くなっており、本録音は最晩年の恐らく最後の録音であると思われる。
両曲とも世界初録音との事であるが、オケの合奏力は高く整えられた演奏であり、作品を知るには十分。
特に弦楽の美しさが聴きどころ。
次に登場するのは、1曲目に登場したウィリアム・ストリックランドの指揮、シュトゥットガルト放送交響楽団の演奏で録音された『ピアノ協奏曲』で、ソリストはマージョリー・ミッチェル。
1968年録音で元は米CRIに録音された音源。
ミッチェルはCRIに入れた録音ではストリックランドと組んだ録音が多く、本録音でもストリックランドとシュトゥットガルト放送交響楽団のしっかりと支えた伴奏に、クリアなピアノを聴かせてくれます。
音質は1998年にデジタル録音されたものは良いのはわかりますが、他の1960年代のモノラル音源も時期を考えると良い方だと思います。