アーンのチェンバロ作品は優れた佳品の宝庫でありながら、名盤に恵まれなかった。かつてホグウッド全曲盤、ピノックの抜粋盤(若い頃のオムニバスに収録)等があったが、他に余り思い当たらない。本盤は久々に登場した優秀録音である。隠れた作品を美しく演奏するデマイヤーの技術は確かで、ここでも大変優雅。アレグロ楽章の繰り返しでは即興的な装飾もしていおり、爽快感も滲ませる。アーンの鍵盤作品を聴くなら現時点では本盤ということになろう。