日本語解説付き
ニコラス・コロン&フィンランド放送響の録音第2弾はトマス・アデス作品集
「トマス・アデスは前世紀と今世紀における偉大な表現者で、私にとって指揮したくなる作曲家のひとりです」〜ニコラス・コロン
フィンランド放送交響楽団(FRSO)の歴史上初めて国外から首席指揮者に迎えれらたニコラス・コロン。正統的な解釈、音色への繊細な配慮、オケの卓抜なコントロールが称賛されたFRSOとの第1作シベリウス:交響曲第7番ほかに続く注目の第2作はトマス・アデス!
コロンがFRSOに就任して最初のシーズンである2021年秋の「第3回フィンランド放送音楽祭」で、コロンがメインに据えたのはイギリスを代表する作曲家のひとり、トマス・アデスでした。特に注目されたのが、ペッカ・クーシストが演奏した『Marchentanze(おとぎ話の踊り)』の管弦楽版世界初演。この曲はルイ・ヴィトン財団と東京オペラシティ文化財団の共同委嘱を受けてヴァイオリンとピアノのために書かれ、東京オペラシティのコンポージアム2020においてアデス自身のピアノとリーラ・ジョセフォウィッツにより初演される予定でしたが、新型コロナ感染症の拡大によりアデスの訪日が中止となり、翌2021年10月にパリで、アデスとペッカ・クーシストにより初演されました。ここに収録されたのはフィンランド放送(Yle)の委嘱による管弦楽版。作品はイギリス民謡を基調とした4つの楽章で構成され、アデスらしい冴えたオーケストレーションと超絶技巧に加えて親しみやすい雰囲気をもっており、ひばりが飛ぶさまを描いた第3楽章はヴォーン・ウィリアムズの『揚げひばり』を彷彿させます。
『ホテル組曲』はアデス24歳の作品で彼の出世作となった歌劇『彼女に化粧を(パウダー・ハー・フェイス)』の素材による管弦楽組曲。この歌劇は実際にあった貴族階級のスキャンダルに基づくストーリーを持ち、アルバン・ベルク、ブリテン、ヴァイル、ピアソラなどの影響が感じさせる音楽が付けられています。アデスはこの音楽を気に入り、これまで3つの管弦楽組曲を作っており、『ホテル組曲』は最新のもの。
『見出された場所』はスティーヴン・イッサーリスのために書かれた実質的なチェロ協奏曲。水を描いた第1楽章、山(登山家)を描いた第2楽章に続き、瞑想的な第3楽章を経て、オッフェンバックのカンカンを引用した技巧的なフィナーレで幕を閉じます。
『夜明け』は2020年のBBCプロムスの委嘱作。「Chacony for orchestra at any distance(任意の間隔で配置されたオーケストラのためのシャコニー)」という副題は、作曲時の経緯を物語っています。当時、新型コロナウイルスの感染を防ぐためには舞台上で演奏者同士の距離をどれだけとれば安全かという議論があり、アデスはこの作品を「どんな配置でも演奏できるように」書きました。2020年8月、サイモン・ラトル指揮、ロンドン交響楽団が初演。
国内仕様盤には原盤解説の日本語訳が付属します。(輸入元情報)
【収録情報】
アデス:
1. 歌劇『彼女に化粧を(パウダー・ハー・フェイス)』〜ホテル組曲(2018)
I. Overture
II. Scene with Song
III. Wedding March
IV. Waltz
V. Finale
2. 見出された場所(管弦楽版)(2016)
I. Les eaux
II. La montagne
III. Les champs
IV. La ville ? cancan macabre
3. おとぎ話の踊り(管弦楽版)(2021)
I.
II.
III. A Skylark for Jane
IV.
4. 夜明け〜任意の間隔で配置されたオーケストラのためのシャコニー(2020)
ペッカ・クーシスト(ヴァイオリン:3)
トマス・ヌニェス(チェロ:2)
フィンランド放送交響楽団
ニコラス・コロン(指揮)
録音時期:2021年10月(1,2)、2022年4月(3)、5月(4)
録音場所:フィンランド、ヘルシンキ・ミュージック・センター
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
全て世界初録音
輸入盤国内仕様(解説日本語訳付き)
フィンランド放響が初めて国外から迎えた首席指揮者コロンとの第2弾は、現代イギリスを代表する作曲家アデスの作品集。「おとぎ話の踊り」の管弦楽版は世界初録音。相変わらず響きの精妙さに魅了される。(CDジャーナル データベースより)