ブラームス:交響曲全集(3CD)
シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
一連のブルックナー・アルバムで見事な成果を披露したシモーネ・ヤング&ハンブルク・フィルのコンビによるもうひとつの注目シリーズ、ブラームスの交響曲録音がお買得ボックスになりました。
ヴァイオリン両翼配置と、ギュンター・ヴァントの信頼も篤かったクリスティアン・フェルトゲンによる優秀録音を背景に、鬱蒼と響きがちなブラームスのテクスチュアを克明に解析、旋律・リズム・和声のこまかな変化すべてを生き生きとあらわし、盛り上がる部分は強力に雄渾に盛り上げながらも、全体のたたずまいは重厚という実に魅力的な演奏を実現しています。
指揮者、楽員ともども途切れることのない集中力で力強く音楽を構築するさまはブルックナーのときとまったく同じ素晴らしいもの。相変わらず、いったいどれだけさらったのかと思わせるほど細かい部分にまで気持ちが入った演奏は、指揮者との良好な人間関係が継続的に維持されていることの証明でもあります。
Disc1は、交響曲第1番。第1楽章呈示部反復実施で演奏時間50分近いというじっくりとしたテンポによるスケール雄大な演奏。
Disc2は、伸びやかでリズミカルな美しさ抒情的な美感の表現が素晴らしい交響曲第2番と、対照的に峻烈な音楽が作品にふさわしい『悲劇的序曲』という好対照な内容の2作品を収録。
Disc3は、交響曲第3番と第4番という、ブラームスらしい目の詰んだオーケストレーションと書法が充実した作品の組み合わせ。ヴァイオリン両翼配置も効果的な活気のある演奏を楽しめます。
【プロフィール】
シモーネ(シモーン)・ヤングは、1961年3月2日、オーストラリアのシドニーに生まれ、そこでピアノと作曲を学びました。貝殻を形どった外観で名高いシドニー・オペラ(ハウス)でアシスタントを務めていた1985年、急病の指揮者に変わり、わずか数時間という予告で見事に代役を務め、センセーショナルなデビューを果たしました。
その後奨学金を得てヨーロッパに留学、ケルン市歌劇場でコレペティ、アシスタント、専属指揮者を務め、パリではダニエル・バレンボイムのアシスタントとしてパトリス・シェローの演出による伝説的なベルク『ヴォツェック』の上演にも携わり、バイロイト音楽祭の『ニーベルングの指環』のアシスタントなどもこなしてその実力を蓄えていきます。
1993年から1995年まで、ベルリン州立歌劇場の専属指揮者を務めるとともに、その間に世界各地の名門歌劇場に客演して短期間のうちに名声を築き上げました。それには1993年、ウィーン国立歌劇場での『ラ・ボエーム』公演で、女性として初めて歌劇場管弦楽団を指揮したこと、パリ・バスティーユ・オペラ、コヴェントガーデン・ロイヤル・オペラ、フィレンツェ五月祭、バイエルンとハンブルクの州立歌劇場が含まれます。
また、コンサート指揮者としてもシュターツカペレ・ベルリン、ミュンヘン・フィル、ハンブルク・フィル、ニューヨーク・フィルなどの指揮台に招かれていますが、1997年には、ウィーン・フィルを2005年11月、ウィーン楽友協会で156年の歴史上はじめて振ったことでも世界的な話題になりました。1999年から2002年までベルゲン・フィルの首席指揮者、2001年から2003年までシドニーとメルボルンのオーストラリア・オペラの首席指揮者兼芸術監督を務め、2005年からハンブルク州立歌劇場のインテンダント兼フィルハーモニーの音楽総監督(GMD)に就任し、精力的な活動を繰り広げています。
わが国でも1997年と2003年にNHK交響楽団に客演指揮して、好評を博しています。また2006年にはハンブルク高等音楽演劇院の教授に就任し、後進の指導にもあたっています。(HMV)
【収録情報】
ブラームス:交響曲全集
Disc1 (OC675)
● 交響曲第1番ハ短調 Op.68 (1876)
第1楽章: Un poco sostenuto. Allegro
第2楽章: Andante sostenuto
第3楽章: Un poco allegretto e grazioso
第4楽章: Adagio. Piu andante. Allegro non troppo, ma con brio
Disc2 (OC676)
● 交響曲第2番ニ長調 Op.73 (1877)
第1楽章: Allegro non troppo
第2楽章: Adagio non troppo
第3楽章: Allegretto grazioso, quasi andantino.
第4楽章: Allegro con spirito
● 悲劇的序曲 ニ短調 Op.81 (1880)
Disc3 (OC677)
● 交響曲第3番ヘ長調 Op.90 (1883)
第1楽章: Allegro con brio
第2楽章: Andante
第3楽章: Poco allegretto
第4楽章: Allegro
● 交響曲第4番ホ短調 Op.98 (1884/1885)
第1楽章: Allegro non troppo
第2楽章: Andante moderato
第3楽章: Allegro giocoso-Poco meno presto-Tempo I
第4楽章: Allegro energico e passionato-Piu allegro
ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
シモーネ・ヤング(指揮)
録音時期:2007年3月11,12日(第1番)、2008年3月(第2番)、2010年1月(序曲)、2009年10月8-10日(第3,4番)
録音場所:ハンブルク、ライスハレ
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)