岩田規久男

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プロフィール

1942年生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院単位取得満期退学。学習院大学経済学部教授などを経て、2013年4月から5年間、日本銀行副総裁を務める。上智大学名誉教授・学習院大学名誉教授。専門は、金融論・都市経済学。深く確かな理論に裏づけられた幅ひろく鋭い現状分析と政策提言は、つねに各界の注目を集めている。著書に『土地と住宅の経済学』(日本経済新聞社、第18回エコノミスト賞受賞)、『昭和恐慌の研究...
経済とイデオロギーが引き起こす戦争』より

商品ユーザーレビュー

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  • 日銀副総裁を5年間務めた著者による日本における格差...

    投稿日:2021/07/28

    日銀副総裁を5年間務めた著者による日本における格差社会の現状とその解決策を提案する一冊。 日本の格差が拡大した理由として、まずは失われた20年の話から始まる。ここの話は著者の兼ねてからの主張どおり、バブル崩壊後に金利を引き下げる必要があったのになぜか金利引き上げをしてしまって以降、ディスインフレ政策をひたすら継続し続けた20年。この間に就職氷河期を迎え、世期非正規雇用という身分制が出来上がった上、非正規雇用であるがゆえに所得が明らかに少なく、貧困世帯の増加と婚姻率の減少という現在の日本社会の難点の一因となっている。 ここまでの議論を踏まえ、ここ数年で話題となっている日本の労働生産性が他の先進国と比べて低いことに関する原因分析を行う。ここでは政府の成長戦略会議の委員であるアトキンソンの主張に批判を加えていく。労働生産性自体の算定があまりにいい加減であること、為替レートで変わってしまうこと、さらに景気≒インフレ率で大幅にプラスとなることから、アトキンソンの主張は容易に論破できる。ラーメン一杯の価格を比較すれば簡単に分かることだが、アメリカでラーメン一杯食べると、日本に2倍はするが、日本とアメリカの接客含めて2倍の価値があるかというとない。このような指標をもってして、中小企業の淘汰を進めるのは論拠が弱い。 労働生産性の議論に続くは、日本型格差の打開策を提案する。インフレ目標の維持、緊縮財政の否定、社会保障の充実、過度の中小企業有利な制度の廃止、年金制度の見直し、その他所得に対する累進税率の導入等想像以上に範囲が広い。90年代後半からインフレ目標を訴え続けた著者の主張であるため、いつかは実現してほしいとは思う。 本書で惜しいのは、アベノミクスの第1の矢、金融政策は完全雇用を達成できたものの、インフレ目標2%にはほど遠い結果となっている。これを消費税率の引き上げとしているが、日銀サイドでももっと何かできなかったのかという点について触れてほしかった。また、第2の矢、積極財政の点についてももう少し触れてほしい。他のリフレ派の論者が各媒体で主張しているのでそちらの参照でもいいのだが、財務省を中心とする緊縮財政に関する積極的な否定も必要である。 ということで、新書にして読み応えたっぷりの一冊なので、万人にお勧めです。

    DJもちお さん

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