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0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2021/04/11
2、3年前に新人作家のデビュー作として海外で話題になった作品。 推理あり、アクションあり恋愛ありで展開もテンポ良く、そのまま映像化できそうな快作! 翻訳も不自然な表現がなくストレスなく読めるところも良い。 冤罪を証明するのではなく、冤罪に気付いて証明するという流れだったら作品としてさらに面白い展開になったかも... ストーリー的には是非、映像化に期待したい作品だ!
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こちらの小説の主人公である最上義光は伊達政宗の叔父にあたるが甥である伊達政宗との抗争が絶えなかったため、伊達政宗を中心に描かれる小説などでは常にヒールとなってしまう損な役回りであるが、著者は主人公を定番の伊達政宗ではなく、あえてヒール最上義光に設定している点がユニークと云える。 読み進むとわかるが上杉、伊達といった強豪に挟まれ生き残るために国主として謀略の限りを尽くさなくてはならないのは当然のことで、現代社会で「生き抜く」ためには非常に参考となる現実的な生き方のエッセンスが満載である。 ストーリー展開が歴史教科書的でやや物足りないと感じるところもあつた点が残念なところだが最上義光を主人公にした歴史小説がほとんどないことから最上義光という人物をまず知るには最適な一冊と云える。
こちらの作品は著者である萱野茂さんがアイヌの村落として有名な「二風谷」近隣の語り部のおばあさんたちからアイヌの昔話を聴取し、標準語に訳し、わかりやすく編集した「昔話集」である。 読んでいただくとわかると思うが、アイヌの「神」は人間の「上」に位置するものではなくて人間のより近くにいる存在とされている点は興味深い。アイヌは自然信仰・アニミズムなので自然に存在するあらゆるものに感謝や畏敬の念を示し、時には「悪い神」に対しては強く抗議することさえある。自然あっての人間であり、人間あっての「神」なのだ。 更に驚くべきは、アイヌの神の在り方がギリシア神話や北欧神話と共通する点が多いことだ。もし、神話に興味がおありなら世界の神話と比較してみると面白い。 いづれにせよ、自然を支配したつもりになっている人間の驕った考えを正し、自然と正しく向き合うには非常に有意義な一冊だと思う。
こちらの作品は原田マハの絵画四部作の一角を占める一冊でモネ、マティス、ドガ、セザンヌという4人の印象派の巨匠の作品の成り立ちを「ノンフィクション」形式の小説としてまとめたものである。 予め断っておくが上にも書いたようにあくまでも史実をベースにした「ノンフィクション」形式であって実話とは異なる点も多いので要注意! タイトルの「ジヴェルニーの食卓」はモネが移り住んだジヴェルニーの地 から取られている。 パソコンやスマホで実際に登場する有名絵画の画像を見ながらコーヒーでも飲みながら「プチ美術館」の気分を味わうには最高の一冊。 原田マハの作品は史実と違うやら批判的も多いようだが、「小説」として 読みながら有名絵画に親しむことも大切なのではないだろうか・・・
こちらの小説は原田マハの絵画シリーズの中心となる一冊でルソーの「夢」をめぐるアートミステリーです。 個人的には絵画シリーズの頂点となるもので最も完成度の高いフィクションドラマであると思う。 絵画に馴染みのない門外漢の私でもPCで実際の絵の画像を見ながら「プチ美術館」感覚で楽しむことができました。 念のため断っておきますがこちらの作品は上にも書いたようにあくまでも「フィクション」なので「小説」として楽しみましょう! 絵画に特に興味のなかった私のような門外漢がこの本をきっかけに絵画に興味を持つようになり世界が広がったことも個人的には貴重な収穫でした。
原田マハさんの絵画四部作の一角。個人的には三部作の中で最もオススメ! 原田マハさんの絵画四部作は「楽園のカンヴァス」「ジヴェルニーの食卓」「暗幕のゲルニカ」とこちらの「たゆたえども沈まず」となるが、こちらの作品は当時まだ無名の画家だったゴッホとゴッホの弟で画商のテオ そして実在の日本人画商・林忠正の人間模様を描いた「フィクション」ドラマである。読み進むと感じるのだが、テオと林忠正の献身的なバックアップがなかったら果たしてゴッホの絵はこれほど有名になっただろうか?ということである。ゴッホの才能を信じた二人の役割の大きさに感動すら覚える。但し、誤解があるといけないので繰り返すがこちらの小説は上にも書いたがゴッホの絵を題材にした「フィクション」であり「ノンフィクション」ではない点は要注意!あくまで「小説」として楽しんで下さい!
原田マハさんの美術シリーズの一角。 ストーリー展開は美術中心の話というよりも「ゲルニカ」をめぐるサスペンスドラマとなっているのでサスペンス小説として読む分には非常に楽しめる。 小説そのものも面白いが巻末で池上彰さんが解説を書いておられますが、視点もユニークで小説の理解をより深めるという意味では最高の解説だと 思いますので是非、解説まで読んでみて下さい。
タイムスリップの話を盛り込んだファンタスティックなストーリー展開なので映画化したら面白いかも・・・ 内容的には非常に面白く、いつもながら2つの場面の切り替えがまるで映画を観ているようにスムーズなのだが、この点が禍して、小説を読んでいるというよりも映画のシナリオを読んでいるような感覚になってしまうところが「いい話し」なだけに少し残念・・・
一言で云えば、戦国時代、甲斐の武田と越後の上杉に挟まれ、武田信玄の信濃侵攻によって上杉に助力を求めた信濃の豪族・須田満親の視点からいわゆる「川中島の戦い」の一進一退の攻防を描いた歴史小説。 主人公を須田満親に設定したところまではユニークであったが、やはり攻防の当事者である武田信玄か上杉謙信が主人公でないとどうしてもドラマ自体が客観的になってしまいストーリー展開が難しいのかもしれない。 しかし、ピンクフロイドの曲からまんまタイトルをパクってしまう安易な姿勢はいかがなものか・・・
真田信繁(幸村)の父、昌幸の兄にあたる猛将・真田信綱の半生が史実に基づいて書かれた時代小説であるが、内容を広げ過ぎて焦点がボケている。ひたすら史実を追いかけて主人公の人物、心情描写が希薄なので歴史教科書的な展開で平板に感じた。
ストーリー展開がスリリングかつ構成が緻密でまるで映画館で映画を観ているように話が展開する。 スピッチャルな世界と現実、生と死等ステージの移行が絶妙でスピード感がある。 個人的には藤岡陽子さんの作品の中では最高傑作だと思う。
こちらの作品も村上の独自の世界観=パラレルワールドの展開を軸に描かれており、話の展開がスリリングで予定調和」的でないので音楽で云えばセロニアス・モンクの作品を聴いているような「予測不能な不安定な面白さ」がある。 村上作品は現実の世界を表現する際に俗なセックス描写を多用することで 「もう1つの世界」により非日常性を持たせインパクトを強調する手法を用いるが、ノーベル文学賞という視点から捉えると「もう1つの世界」の描写と比較するとセックス描写の踏み込みが浅すぎてややもすると手抜き感さえ感じてしまう。 ノーベル文学賞が文学のひとつの到達点であるとするならば、セックスの生物学的・動物学的な側面だけではなく快楽・スピッチュアルな側面にも踏み込んで描いてほしいところだ。 個人的にはノーベル文学賞を受賞したものが全てがすべて素晴らしい作品だとは思わないが村上氏の作品がノーベル文学賞に選ばれない理由がなんとなくわかるような気がする。・・・
あまりメジャーではない戦国武将が主人公だが内容は秀逸!一読に値する一冊! 内容的には、豊臣政権の全国平定の総仕上げとなった東北の「九戸政実の乱」を石田三成と九戸政実の戦闘・心理戦・謀略戦あらゆる角度から描いたものでストーリーもテンポよく展開するので緊張感を持ったまま一気に読了できる。しっかりした歴史考証をベースにストーリー展開しているので流れが自然な点も非常に好感が持てる。個人的には安部龍太郎氏の傑作の一つとして位置付けてもよい一冊だと思う。
生き抜くことの意味や大切さを再確認できる超オススメ感動の一冊です。 今から約230年前、江戸・天明年間、に実際にあった海難事故をドキメンタリータッチで描いた感動の物語である。 普通ならば諦めてしまうような絶体絶命の状況で自然の驚異と時に戦い、時に味方にして生き抜く描写は壮絶の一言に尽きる。 必要のない主観を交えず情景描写を中心にドラマを描き切る吉村文学の真骨頂とも云える傑作!
自然との向き合い方を考えさせる最高の一冊。内容も非常に面白いので是非ご一読を!超オススメです! 最近、全国でクマとの接触事故が後を絶たないが、こちらの本を読むと偶発的な事故はあるにせよ、少なからず人間の驕りが招いた人災的要素もあることを痛感させられる。 内容的にはアイヌのクマ撃ち(猟師)から著者が聴きとりをおこなったものを纏めたものなので非常にわかりやすく、自然を敬うアイヌの視点でヒグマだけではなく自然との正しい接し方や考え方を教えられるとともに科学的合理性を持ったアイヌの知恵には本当に驚かされる。 また、クマの話だけではなく、雪山で過ごすサバイバルの方法など知的好奇心も充たされる。
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