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Review List of ワーさん 

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     2023/05/10

    まず耳が惹かれるのはクラウスのマントヴァ公爵。ステファーノの声は素晴らしいものの付点音符の扱いが不正確な公爵と比較すると、音楽的に非のうちようがない歌い口と、いまだ若々しい声の魅力には抗しがたいものがある。メリルのリゴレットも十分に歌い込んだ練れた表現に魅了される。敢えて異を唱えるとすれば、モッフォのジルダ。声自体は最高音も含めて出ているとはいえ、少し迫力不足。要所でピンと突き抜ける威力がほしかった。ショルティの指揮も楽譜の指示を基本的に忠実に守っており、迫力も十分で素晴らしい。世評高いセラフィン盤が慣習的なカットをかなり加えているのが残念なのと対比すると、本盤はヴェルディの書いた音をすべて演奏している点でも大いに評価すべき決して忘れてはならない名盤といえよう。

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     2023/01/14

    フリッチャイが再起第一作となるレコーディングにこの作品を選んだ理由が納得できる素晴らしい演奏。53年録音がベルリンフィルとのものだったので、フリッチャイとしては、気心の通じた手兵を相手に、得意曲でかつ病み上がりの当時の感情に寄り添うこの曲に対する自己の解釈を是非ともレコードに刻んでおきたかったのだろう。前録音と解釈の根本が変わっていないのは当然としても、明らかに気持ちの込め方が違う。弱音や時折浮かび上がるソロを丁寧に扱いながら、弦楽器にはただ音をなぞるのではない、音価いっぱいに緩みのない演奏を求めているのが手に取るように分かる。フォルテの部分では、「単に強く弾くのがフォルテではない、気持ちを込めろ」というフリッチャイのオーケストラに対する叱正が聞こえてくるような気さえする。
    第1楽章では、弱音部のティンパニーに2か所ほど間違いがあり、終結部に編集ミスとも思われる音色、テンポのつながりの悪い部分が残ってしまったのが残念だが、これだけの演奏をなし遂げた後、フリッチャイにはもはや録音の細部をチェックする体力が残されていなかったのだろうと想像すると、歴史的意義が増す思いすらしてくる感動的な演奏といえよう(53年録音と比較すると、ティンパニーの間違いは、フリッチャイが通常と異なる楽譜を用いていたのではなく気持ちを込めた余りの奏者のミスと思われる)。

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     2016/10/14

    この盤の評価は難しい。ドミンゴのラメレスは文句なく素晴らしい。力感あふれる高音はもとより(アリアの後の盛大な拍手も宜なるかな)、抒情的表現にも優れており、圧倒される。しかし、そのドミンゴの声すらも、大半が遠方の井戸の底から響くように聞こえてしまうのは、オペラ・ライブ特有の録音作業への困難性があったのだろう。セッション録音盤であれば、歌手の声がもっとリアリティをもって眼前に迫ってくる迫力の録音ができたはずである。ザンビエーリとポンスに至っては、素材としては良い歌手であろうとは思うものの、それをこの録音で証明することは到底できない。マゼール率いるスカラ座のオケも、細かい部分の音が聞き取れず、折角の熱演をとらえ切れていない。スピーカーに向かって2時間過ごすのには忍耐が要り、その場に居合わせた幸せな聴衆のスーベニールにとどまる1枚といえようか。

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