ピアノ小品集 福原彰美
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ヨハネス | 東京都 | 不明 | 2018年04月21日
ブラームスのピアノ作品には、名盤とされる録音も少なくない。代表格はW. ケンプ、W. バックハウスか。しかしそれらを含め、多くの録音には、共通する欠点がある。低音域と中音域が混濁し、さらに低音域が減衰し耳に届かないのだ。ピアノの構造、そして音撮りの方法から来る現象だろう。ブラームスの音楽は、オーケストラ作品のように、低音から音を積み上げて行くので、その低音が聞こえないのは、作品を理解し楽しむ上で、決定的に不利となる。 このCDを聴いて最初に驚くのは、ブラームスの音楽の情報量の多さ---いや、凄さだ。最低音、中音、高音まで全て分離して聞こえ、一切濁らない。ピアニストの椅子に座っているような感覚。ピアノ小品集 作品76, 118, 119の重厚かつ繊細なスコアを、生まれて初めて体感し、深く感動した。 聴き込めば、演奏の凄さも分かってくる。昨今の「全ての音をテヌートし、フレーズ終わりでさらにリタルダンドを掛ける」パターンと正反対、まるで語るがごとく歩んでゆく---何と素晴らしい低音の進行、和声、そして旋律! ブラームスが、作品118と119の初演を任せたイローナ・アイベンシュッツの演奏が数曲SPに残っている。きわめて即興的。1900年代初頭の録音だ。福原の演奏は、アイベンシュッツと一脈相通ずるところがある。このCDを、現代のブラームス:ピアノ作品録音の最高峰と称したい。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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