La Traviata: Villazon Heras-casado / Balthasar Neumann Ensemble Peretyatko Ayan
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 31/March/2017
肺病で死期の迫った女性が見た幻想という演出の基本構想は少しも新鮮味がないが、ここでヒロインが同一化するのはサーカスの空中ブランコ乗り。幾らなんでもそりゃ無理だろうと思ったが、エラス=カサドの振るピリオド楽器アンサンブルの俊敏かつ生命力みなぎる演奏で聴くと、何と第1幕などはサーカスの音楽としか聞こえないではないか。最近では昔のように幕の間に休憩が入ることの少ない『椿姫』だが、これは全幕休憩なしの通し演奏。ヒロインの分身=黙役(当然ながら空中ブランコのできる女性で、同じバーデン・バーデンでの上演だったヒンメルマン演出/ヘンゲルブロック指揮の『ドン・ジョヴァンニ』でエルヴィーラのメイドを演じていた人だ)を最後まで徹底的に活用すること、父ジェルモンが完全に「石像の男」、つまり生身の人間ではなく家父長制の化身として扱われることなど実に面白い。ここでは全く歌わず演出に専念しているビリャソンの演出家としての才能、侮りがたし。ペレチャツコはもちろん細身の声の持ち主だが、みずみずしい情感にあふれた素晴らしい歌。元気はつらつで肺病で死にそうには見えない(その点ではネトレプコも同じだった)が、実に好ましいヴィオレッタだ。アヤンのお坊ちゃんらしい若さもいい。そしてこの上演の最大の立役者はエラス=カサドのシャープでしなやかな指揮。大歌劇場では今や「博物館入り」の演目と化している『椿姫』を鮮やかにリニューアルしてみせた。3 people agree with this review
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