シューマン、ロベルト(1810-1856)

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CD

シューマン:クライスレリアーナ、ほか 寺田まり(ピアノ)

シューマン、ロベルト(1810-1856)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
AUCD00010
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
日本
フォーマット
:
CD

ユーザーレビュー

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寺田まりの演奏は初めて聴くものだが、これ...

投稿日:2011/08/02 (火)

寺田まりの演奏は初めて聴くものだが、これは作曲家への強い共感もしくは同情(独語:Mitleid)を感じさせるシューマンアルバムだ。いうまでもなくシューマンは名だたるピアニスト達が手がけてきた重要レパートリーであり、そこに「敢えてなにを聴かせるか?」は寺田はじめ、今日の中堅、そして今後の新進ピアニストにとって非常に大きな挑戦課題であるはず。寺田は幼少より母国はもとより、アメリカ、ドイツの三文化圏でアイデンティティ形成をしてきた国際派であるようだが、そういった自らのアイデンティティ発掘の道程における心の葛藤や悩みというもが、シューマンという作曲家自身が抱えていた魂の混乱と平安に重ね合わせるような、いたわり、慰め、共に喜ぶといったアプローチが感じられる。シューマンの心のひだ一つ一つに入り込むことを厭わない、実に繊細な音楽が繰り広げられる。 『クライスレリアーナ』は、急→緩→急のサイクルで極めて内向的そして私的な8つのエピソードが書き綴られるが、どれにおいてもシューマンがクララとの結婚を夢見つつも彼女の父親ヴィークの反対という障壁に対峙する葛藤が高度な音楽イディオムで織り込まれている。寺田はそれらをシューマンの善きセラピストであるかのような立ち位置で表現している。3曲目のSehr Aufgeregt(ト短調)にその具体例がある。これほどまで、立ちはだかるヴィークという障壁への苛立ち、そしてその壁を乗り越えたあとに約束されているであろうクララとの安らぎと愛に包まれた人生への憧憬という具象性を感じさせる演奏は未だ聴いたことがない。3部形式の様な構成は、冒頭と最後の苛立つ様な3蓮音符+付点音符の強いリズムの短調テーマは、結婚に猛反対するヴィークの辛らつな口調もしくはその言葉を降り注ぐ槍のように寡黙に受け止めながら堪えようとするシューマンの内面が克明に描写される。そしてそこから長調に転じレガートで奏でられる中間部。そこにクララの姿を認めないわけに行かない!この優美ながらも同情に満ちたクララの存在がはっきりと描かれている演奏は寺田のCDが初めてだ。この冒頭の短調のテーマとの切り替わりの瞬間は、ワーグナー『ワルキューレ』第1幕のジークリンデが悲壮に満ちたジークムントの前に”春の訪れ”として現れる時のコントラストを思い起こさせる。 ピアニズム的には、「シューマンは同時代のショパンやリストとはあきらかに使うべき絵の具のパレットが違う」というこだわりが見える。それはアルゲリッチの様な打楽器的なマルカートを誇張したメリハリあるリズムや、ポリーニのような縦のラインのエネルギーを意識した音響構築という”可視的(可聴?)”方向性ではない。音価を一杯に取った(つまり寸詰まりのない)細かいアーティキュレーションへの配慮や、必要以上に時間を歪めない節度あるアゴーギクが、シューマンたるシューマンという正統的な書法はこれだと思わんばかりの主張がそこにはある。また、寺田は複雑に隠しこまれた声部を丹念にバランスを考慮して弾き鳴らすことに腐心し、分離よく見通しのあるものにしつつ全体としてはふくよかな音響を獲得することに成功している。 『子供の情景』は誰もが親しんでいるシューマン代表作。ホロヴィッツ代表される様に、中央に位置する「トロイメライ」に表現の頂点を持っていき、反対に後半の楽曲では徐々に引潮的に沈静化しいくピラミッド的構築の演奏が多いのに対し、寺田は(当然「トロイメライ」への強い感情集中はあるが)「詩人は語る」に見事な頂点を持っていっている。つまりこの組曲全体を一つのものとして構築したい意志が強く感じ取れる。 お勧めの一枚だ! <★一つは今後のさらなる進化に期待して敢えて減らしてます>

Der Rosenkavalier さん | 東京都 | 不明

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シューマン、ロベルト(1810-1856)

ロベルト・シューマン(Robert Alexander Schumann)は、 1810年6月8日にドイツのツヴィッカウに生まれました。5人兄弟の末っ子で、出版業者で著作もあったという父親のもとで早くから音楽や文学に親しみ、作曲や詩作に豊かな才能を示したといいます。  ロベルト16才の年にその父親が亡くなり、安定した生活を願う母親の希望で法学を選択、1828年にライプツィヒ大学に入学しますが、音

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