チャイコフスキー(1840-1893)

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CD 輸入盤

交響曲第5番 チェリビダッケ&ミュンヘン・フィル

チャイコフスキー(1840-1893)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
5565222
組み枚数
:
1
レーベル
:
Emi
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
限定盤,輸入盤

商品説明

チェリビダッケ/チャイコフスキー:交響曲第5番

1991年ステレオ・ライヴ。交響曲第5番はトータル55分を超えるという、晩年のチェリビダッケならではの遅いテンポが選ばれています。
 冒頭で示される循環主題のブロック(序奏部)だけで3分かかるのですから、これはもう尋常な時間感覚では捉えられないものですが、その後、幾度も変容し再現されることと、主部のテンポ設定を考えれば、十分に理解できるものでもあります。
 第1楽章主部はアレグロ・コン・アニマの指定で始められますが、ここではどう聴いてもアンダンテ以下の設定であり、チェリビダッケ一流のデフォルメとしか言いようがありませんが、3つの主題の描き分けの巧みさはさすが。
 第1主題の確保部分で、トランペットを強調するあたりなど実に刺激的で、優美な第2主題とのコントラストも極めて明瞭。前半動機リズムの繊細なデフォルメと、後半動機の憧れに満ちた情感表出が絶妙なバランスをみせる第3主題(結尾主題)も実に見事です。
 続く第2楽章の美しさも予想にたがわぬ素晴らしいもので、無用な感傷に流されない表現は立派。14分付近の危険個所(クサクなりやすい)でも、絶妙な管弦のバランスとザードロのティンパニによる引き締めによって、安手の陶酔に堕さない高揚をみせ、次の循環主題部と終結部の強烈なコントラスト形成を際立たせることに成功しています。
 第3楽章もハイ・グレード。大交響曲にふさわしい表情豊かで立体的なワルツであり、主部を支配するメランコリーの美しく淡い色彩と、抑制された動感が、音楽にえもいわれぬ気品を付与することに成功し、同様に美しい中間部と共に抜群の聴きごたえが嬉しいところ。
 第4楽章は、冒頭循環主題のマエストーソの指示を無視した純粋な美しさがまず深い印象を与えます。3分半ほどの序奏部全体に漂うロシア聖教のコラールのような雰囲気は、遅いテンポでグロテスクに描かれる主部第1主題の関連部分と、循環主題の変形でもある主部第2主題の関連部分との対比効果にも強く影響し、荒ぶる大波が実は周期を持った運動体であることにも似て、巨大で揺るぎのない構造物を打ち立てることに成功しているのです。

収録曲   

クラシック曲目

  • Peter Ilyich Tchaikovsky (1840 - 1893)
    Symphony no 5 in E minor, Op. 64
    演奏者 :

    指揮者 :
    Celibidache, Sergiu
    楽団  :
    Munich Philharmonic Orchestra
    • 時代 : Romantic
    • 形式 : Symphony
    • 作曲/編集場所 : 1888, Russia
    • 言語 :
    • 時間 : :
    • 録音場所 : , [Studio]

総合評価

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チェリ・ミュンヘンPOのCDにほぼ共通してい...

投稿日:2021/07/16 (金)

チェリ・ミュンヘンPOのCDにほぼ共通しているのは、テンポは別として、録音の良さではないだろうか。その多くはライブ盤だと思うが、下手なセッション録音を凌駕するCDが多数ある。さてチャイコフスキーの5番だが、1〜3楽章は一般的なタイムより遅く、4楽章は通常のテンポにやや近い。総じてテンポは遅いわけだが、チェリの演奏では「これでいいんだ」という風に聴こえてしまう。ただこの演奏を聴いているとテンポがどうのこうのを通り超えて、聴く者を強く惹きつける、ある種のパワーのようなものを感じる。録音の良さにより、ライブならではの緊張感や迫力が伝わるのだろうか。

snk さん | 北海道 | 不明

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久々に聴き直しまして、いろいろと思うとこ...

投稿日:2013/02/09 (土)

久々に聴き直しまして、いろいろと思うところありました。楽譜に対して徹底的な読みを行い、そしてその完璧無類なる音化(音響化)を試みた、恐るべき実験のようでもある演奏でしょうか。オーケストラ演奏の極致であると言うべきで、特に楽器間のバランスの整え方の絶妙さは恐るべきもので、こんな凄い統率は他の演奏では到底聴くことができません。暗い「運命」動機の提示からフィナーレの凱歌のような行進まで、ドラマティックに突っ走る演奏や、感情豊富に興に任せた心揺さぶる演奏もありますが、チェリビダッケはそうしたものに完全に背を向けた(はっきり言えば否定した)スタイルかと思われます。こういうスタイルを容認できるか否か、これで感動できるか否か、評価の分かれ目はそこでしょうかね。プロ中のプロの究極の仕事であることには疑いなく、その持つ意味は甚だ巨大であります。但し、個人的な感想を言えば、凄いなあとは思いつつも感動はしませんでしたし、さらにいい曲を聴いたとも思えなかったなあ。皮肉なものです。料理に例えれば、最高の材料を揃えて熟練の技で見事に拵えた究極のメニューなのですが、その材料や技の「能書き」をいちいち横から解説されて鼻白んでしまってちっともおいしいと思わなかった、というところかな。

ほんず内閣総理大臣 さん | 北海道 | 不明

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はっきり言って、チェリビダッケは『音楽』...

投稿日:2008/07/29 (火)

はっきり言って、チェリビダッケは『音楽』を理解していない。その意味で、「偉大なる素人」だった。それを証明する良い例が、このCD。この人が、ベルリンフィルの常任指揮者にならなくて良かった。それは、芸術のためにも、彼自身のためにも。芸術という常に進歩を必要とする領域に、この古びた素人は、結局は無用だった。クライバーを批判したことは、実はクライバーの様な現代的疾走感への憧憬への逆説であったのかもしれない。その意味でも哀れな素人だった。

ピアノの巨神 さん | ロンドン | 不明

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チャイコフスキー(1840-1893)

1840年:ロシアのウラル地方ヴォトキンスクで鉱山技師の次男として誕生。 1859年:法務省に勤務。 1861年:アントン・ルービンシュタインが設立した音楽教室(1962年にペテルブルク音楽院となる)に入学。 1863年:法務省を退職。 1866年:交響曲第1番『冬の日の幻想』初演。初のオペラ「地方長官」を完成。 1875年:ピア

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