アルプス交響曲、ホルン協奏曲第１番　ケンペ＆ロイヤル・フィル、シヴィル（日本語解説付）

ケンペ＆ロイヤル・フィル／アルプス交響曲

ケンペが手塩にかけたロイヤル・フィルとの録音集。
楽団員はもとより、多くの指揮者と反目しあったというシヴィルからも感じ取れる、
指揮者に対する尊敬と敬愛が清々しい至高のR.シュトラウス！

1961年、他界した創設者サー・トーマス・ビーチャムの遺志によりロイヤル・フィル（ＲＰＯ）の首席指揮者となったルドルフ・ケンペ。すでに大御所であったケンペは、ヨーロッパ中のオーケストラや歌劇場への客演など多忙の中も、創設者を失ったＲＰＯとの共同作業に労力を惜しまなかったといいます。
　ですが、楽団のオーナーでもあったビーチャムの死による経営危機、さらに「ロイヤル」の名称使用権を巡る問題など、ＲＰＯはこの時期さまざまなトラブルに見舞われ、巻き込まれたケンペは1963年に主席指揮者を辞任してしまいます。
　問題が解決したのはその３年後。エリザベス女王から正式に「ロイヤル」の名称を許可されたＲＰＯは、再起を期して、改めてケンぺを主席指揮者に迎えたのでした。
　この『アルプス交響曲』はまさにその年、1966年にレコーディングされたもので、これが世界ではじめての同曲ステレオ録音でした。この大成功により、『アルプス交響曲』は第一級の有名曲ともなったのです。
　さらに、デニス・ブレインと双璧の名ホルン奏者アラン・シヴィルとのホルン協奏曲をカップリング。これは、ＲＣＡが当時のリーダーズ・ダイジェストのために録音した音源です。アラン・シヴィルといえば、多くの指揮者と反目しあったことで有名ですが、誰にでもたてついたというこではなく、勉強不足の指揮者に馴れ合うことなど決してできなかったというだけ。もちろん、音楽に対する真摯な姿勢も類をみないルドルフ・ケンペのことは敬愛しており、1976年のケンペの死に際しては深く哀しんだとのエピソードも残っています。
　ブックレットには、当時のＲＰＯ団員たちの貴重なエピソードが満載されており、指揮者に対しては辛口批評と相場が決まっている楽団員たちの絶賛ぶりを知ることができます。楽団員、共演者、そして多くの聴衆にこんなにまで敬愛される指揮者は、他にいないのではないでしょうか？　そんな、畏敬の念に満ち溢れた至高のシュトラウス作品集です。

【お知らせ】
テスタメントが遂に日本語解説付き日本プレス盤の製作を開始します。原材料費の値上げの影響か、ここのところ少々荒さが目立つこともあったといういつもの工場でのプレスを避け、さらには興味深いエピソード満載で好評の解説書には、英語に加え日本語訳が掲載されます。（ユニバーサルＩＭＳ）

R.シュトラウス：
・ホルン協奏曲第1番変ホ長調 Op.11
・アルプス交響曲 Op.64
　アラン・シヴィル（ホルン）
　ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
　ルドルフ・ケンペ（指揮）

　ステレオ録音
　ホルン協奏曲：1967年4月13日（RCAによるリーダーズ・ダイジェスト用の録音）
　アルプス交響曲：1966年4月27日（RCA Victor音源）
　録音場所：キングズウェイ・ホール、ロンドン