ショスタコーヴィチ(1906-1975)

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SACD 輸入盤

交響曲第4番 ゲルギエフ&キーロフ歌劇場管弦楽団(ハイブリッドSACD)

ショスタコーヴィチ(1906-1975)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
4756190
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
SACD
その他
:
ハイブリッド,輸入盤

商品説明

ショスタコーヴィチ:交響曲第4番
ゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管弦楽団

2001年11月20-22日、サンクト・ペテルブルグ、マリインスキー劇場でのデジタル録音。
 第8番第7番第5番&第9番に続くゲルギエフによるショスタコーヴィチ・シリーズ第4弾。
曲は、ゲルギエフ自身が“戦争交響曲”と位置づける『交響曲第4番』。通常、ショスタコーヴィチの“戦争交響曲”というと、第7番から第9番の3曲を指しますが、ゲルギエフによれば「第二次大戦開戦前の不穏な時代に書かれた第4番から第6番もそれらに含めるべき」とのこと。

 確かに、この問題作から感じられる異様なまでの激しさ、力強さ、残虐さは比類のないものであり、それらに戦争や圧政の影を結びつけて考えるのも自然なことかもしれませんし、また、並存する諧謔的な表現についても、アイロニーの発露と考えれば納得も行きます。

 とはいえ、そうした時代背景への認識を抜きにしても、マーラーの7番や1番、マイスタージンガーの引用(パロディ)を経た大音響地獄の果てに、最後は美しく静かなコーダに収斂されてゆくという構図は、交響曲好きにはたまらないものがあるといえるでしょう。

 この第4番はショスタコーヴィチの交響曲の中でも特異な経緯を持ついわく付きの作品で、30歳の時に完成、画期的な大作交響曲でありゲネプロまで終了していたにもかかわらず、政治的判断により作曲者みずから発表を中止。そして実に25年後の1961年、〈雪解け〉といわれる状況の中、コンドラシンの指揮でようやく記念碑的初演が行なわれるのです。確かにその後の成功予定作(?)の第5番と較べると、この第4番は余りにも斬新かつ凶暴であり、ショスタコーヴィチが当局を恐れたのも無理からぬことだったのかもしれません。

 ゲルギエフの演奏は、これまで通り、破壊的なダイナミズムと細部まで入念な表現の両立した見事なものであり、その鮮やかなくまどりがもたらすショッキングなまでに強烈な印象は、作品の複雑な性格を極限まで追求した結果とも考えられます。

 ゲルギエフの濃密な語り口は、高い抽象性と深い含蓄を持つこの交響曲を、現代に見事に着地させた解釈といえるでしょう。とりわけ2組のティンパニの予告に始まる圧倒的なクライマックスは全曲の白眉。金管のコラールから全強奏で叩き込まれる壮絶なカタストロフを、ゲルギエフは容赦なく開示しています。そして不穏な気配をはらみつつ、緊張感を伴った透明な静寂のうちに作品は閉じられます。聴き返すほどに新しい発見を聴き手にもたらしてくれるこのゲルギエフ盤、これまでの歴史的名盤に比すべき現代の名演として、今後長く君臨し続けることでしょう。


■ショスタコーヴィチ:交響曲第4番
ゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管弦楽団

2001年11月20-22日、サンクト・ペテルブルグ、マリインスキー劇場でのデジタル録音

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収録曲   

  • 01. Symphony no 4 in C minor, Op. 43
  • 02. Symphony no 4 in C minor, Op. 43
  • 03. Symphony no 4 in C minor, Op. 43
  • 04. Symphony no 4 in C minor, Op. 43
  • 05. Symphony no 4 in C minor, Op. 43
  • 06. Symphony no 4 in C minor, Op. 43

総合評価

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 狂気に満ちた曲に対して、逃げずにぶつか...

投稿日:2013/01/11 (金)

 狂気に満ちた曲に対して、逃げずにぶつかっていった感のある演奏。このディスクを聞くと私もノックアウトしそうになる。

remarkable さん | 新潟県 | 不明

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しかし、まあ、本当に容赦のない曲ですな。...

投稿日:2012/02/05 (日)

しかし、まあ、本当に容赦のない曲ですな。聴き手のことも演奏者のことも念頭になく、作曲者の想念がさまざまな音楽的手法を用いつつ音化された、恐るべき作品。この曲を聴くと、まずはそのことがどうしても先に立ってしまうね。さて、ゲルギエフさんのこのディスク、ま、いいんじゃありませんか。必ずしも共感豊かな演奏だとは思えないし、どこか突き抜けない部分もあるような気はしますけど、そういう姿勢がこの曲の場合には決してマイナスには働いていないような印象です。もちろん、それで親しみやすくなっているわけでもありませんし、魅力倍増というわけでもありませんが、妙な刺激やプレッシャーが希薄になったのは、聴き手の側としてはありがたいかな。オケはしっかりしているし、録音も優秀ですし、とりあえず高水準の出来栄えでしょう。

ほんず内閣総理大臣 さん | 北海道 | 不明

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これは素晴らしい超名演だ。ショスタコーヴ...

投稿日:2011/09/10 (土)

これは素晴らしい超名演だ。ショスタコーヴィチの交響曲第4番には、ラトル&バーミンガム市交響楽団による名演(1994年)、チョン・ミュンフン&フィラデルフィア管弦楽団による名演(1994年)があるが、本演奏もそれらとともに三強の一角を占める至高の超名演と高く評価したい。同曲は、ショスタコーヴィチの交響曲の中でも最も大胆極まりない書法で作曲されていると言える。冒頭の強烈な不協和音による主題の後は、多種多様な旋律が貨物列車のように連続して連なっており、終楽章の終結部において冒頭の主題が再現されるまでは殆ど脈略がないとさえ言えるほどの複雑怪奇な曲想であると言える。ショスタコーヴィチは、第5番以降の交響曲においては、表向きは旧ソヴィエト連邦政府当局の意向に従って、できるだけ分かり易い作風にするようにつとめたことから、ある意味では第4番こそは、ショスタコーヴィチが自らの才能の赴くままに自由に作曲することができた交響曲と言えるのかもしれない。耳をつんざくような不協和音やブラスセクションの咆哮、霧のような弱音による旋律の繊細さなど、目まぐるしく曲想が変化する同曲にショスタコーヴィチが込めたメッセージを汲み取ることは困難ではあるが、スターリンによる大粛清が行われ、ショスタコーヴィチの知人にも処刑の魔の手が迫っていた中で作曲されたことに鑑みれば、死と隣り合わせの粛清への恐怖や粛清された者への鎮魂、そして独裁者スターリンへの怒りなどが盛り込まれていることは十分に想像できるところだ。したがって、スコアに記された音符の表層だけをなぞっただけの演奏では、とても同曲の本質を描き出すことができないことは自明の理であると言えるだろう。本演奏も含めた前述の3強を占める演奏は、いずれも同曲の心眼に鋭く切り込んでいくような凄みがあると言えるところだ。私なりに、この3つの名演の性格の違いを述べるとすれば、畳み掛けていくような気迫や切れば血が噴き出てくるような圧倒的な生命力を有しているのはラトル盤、ラトルの表現をわずかではあるが抑制的にするとともに、演奏全体の造型をより堅固に構築したのがミュンフン盤、そして、本盤のゲルギエフによる演奏は、ミュンフン盤と同様にラトルの表現を若干抑制的にしつつ、楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くした精緻な表現が施された演奏と言えるのではないだろうか。あたかも、ゲルギエフが指揮する際のこまやかな指の動きを彷彿とさせるかのように、楽曲の細部に至るまで入念かつ精緻に表現し尽くしているとも言えるところであり、他の演奏では聴くことが困難な音型をも聴くことが可能なのも本演奏の大きなアドバンテージと言えるであろう。いずれにしても3強の演奏はいずれも同格の超名演であり、優劣を付けるのは困難であるが、本演奏が有利な点が一つだけ存在している。それは、3強の中で唯一本演奏だけは、マルチチャンネル付きのSACDハイブリッド盤で発売されているということである。マルチチャンネル付きのSACDによる臨場感溢れる高音質によって、精緻なゲルギエフの演奏の魅力をより一層深く味わうことが可能になったとも言える。もっとも当該SACD盤は入手難であるが、同曲の3強の一角を占める超名演でもあり、仮に中古CD店で入手できるのであれば、多少高額でもSACD盤の入手をおすすめしておきたいと考える。

つよしくん さん | 東京都 | 不明

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ショスタコーヴィチ(1906-1975)

「わたしの交響曲は墓碑である」という“証言”の中の言葉によって象徴されるショスタコーヴィチの音楽と生涯への価値観の変質は、今もって盛んな議論と研究、演奏解釈によって再認識過程の最中にあるとも言えますが、作品によってはすでに演奏年数も75年に及び、伝統と新たな解釈の対照がごく自然におこなわれてきているとも言えそうです。 圧政と戦争の象徴でもあったソビエト共産主義社会の中に生き、そして逝ったショスタコ

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