【インタビュー】PARADISE LOST

2017年09月05日 (火) 18:00

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ローチケHMV - ヘヴィーメタル


パラダイス・ロストのニュー・アルバム『メデューサ』を聴いた者は、蛇髪の妖女メデューサに見入られるがごとく魔性のメタル・マジックに囚われるだろう。ひたすらダークでヘヴィ、そしてメランコリックなサウンドは、彼らの名を世界に知らしめた初期作品を彷彿とさせるものがある。だが、バンドのヴォーカリスト、ニック・ホルムズによると、本作の音楽性は“原点回帰”ではないという。本インタビューではニックに新作について、そして“同期”のデス/ドゥーム・バンドとの関連について訊いてみた。

──新作『メデューサ』の音楽性について、あなたは『シェイズ・オブ・ゴッド』(1992)に最も近いと語っていますが、どんな点が共通しているでしょうか?

ニック・ホルムズ:両者に共通しているのはナチュラルなヘヴィネスだな。どちらのアルバムも、決して無理してヘヴィにしようとはしていない。ヘヴィであることに必然性があるんだ。『メデューサ』では過去に戻ろうとはしなかった。ヘヴィでオーガニックなサウンドを現代のレコーディング・テクノロジーで録音するという、新しい試みなんだ。サンプリングやループは使っていない。実はこのアルバムの「ザ・ロンゲスト・ウィンター」を聴いて、リズムをループだと誤解した人がいたんだ。正直驚いたね。みんな本物のドラムサウンドを忘れてしまったんだ。このアルバムではラウド・レコーディングを極めているよ。床が抜けるほどのヘヴィネスだ。

──近作でヘヴィネスを取り戻したのは何故でしょうか?

ニック・ホルムズ:昔も今も、パラダイス・ロストはヘヴィな音楽をやるバンドだったんだ。『ホスト』(1999)や『ビリーヴ・イン・ナッシング』(2001)でヘヴィな音と距離を置いた時期もあったけど、ずっと前のことだしね。ある日突然ヘヴィに戻ったわけではない。それに音楽性というものは、自然に変化していくんだ。「さあ、ヘヴィなアルバムを作るぞ」と言って作るわけではない。現在のヘヴィなサウンドのきっかけのひとつは5、6年前、グレッグ(マッキントッシュ/ギター)がデス・メタルに再び情熱を持つようになったことだった。彼のお父さんが亡くなったことも関係しているのかも知れないけど、自分の人生を振り返って、自分に影響を与えた音楽を聴き返すようになったんだ。グレッグがヘヴィな曲を書けば、俺も曲に合ったヴォーカル・スタイルで歌うことになる。全員が呼応しあうことで『メデューサ』はヘヴィなサウンドになったんだ。

──1990年代終わりの“脱メタル”期の作品について、今はどう考えますか?

ニック・ホルムズ:どちらも誇りにしているよ。『ホスト』はパラダイス・ロストの歴代のアルバムでトップ5に入るし、『ビリーヴ・イン・ナッシング』だって良い曲が入っている。「ワールド・プリテンディング」はお気に入りのひとつだよ。当時の俺たちが作るべき必然性があったアルバムだし、あの時期があったから今の俺たちがあるんだ。メタル界からはバッシングを受けたけどね(笑)。もちろん、あの2作を過大評価するつもりもないけどね。俺たちはメタルの世界を一変させようとしてあのアルバムを作ったわけではない。元はといえばグレッグが新しいシンセを手に入れて、いろいろ実験してみたかったんだ。俺自身もヘヴィなギターのディストーションによって音の繊細なニュアンスが失われることに疑問を抱いていた。それでギターを過度に使わない、デッド・カン・ダンスのようにダークな音楽に魅力を感じていたんだ。

──『メデューサ』から先行公開されたリーダー・トラック「ザ・ロンゲスト・ウィンター」について教えて下さい。

ニック・ホルムズ:この曲は原発事故(1986年)後のチェルノブイリについての雑誌記事からインスピレーションを得たんだ。人間の干渉を受けなくなったことで、現代のチェルノブイリが野生動物の楽園になっているというのが美しいと感じた。それでも徐々に人間が戻ってきて、自然の破壊を再開しつつあるという記事だったんだ。結局のところ、地球は人類を必要としていないと実感させられたよ。ただ、それだけのテーマはたかだか5分の曲の歌詞で語り尽くせるものではない。だからイメージを描写するのに留めたんだ。

──“ウィンター”といえば、パラダイス・ロストとほぼ同時期の1988年にアメリカで結成されたデス/ドゥーム・バンドのウィンターはご存じですか?

ニック・ホルムズ:名前を知っている程度だよ。メンバーが体調を悪くしているんだよね?(注:おそらくギタリストのスティーヴン・フラムが聴覚障害を患っていることを指している)彼らの音楽は聴いたことがないし、それぐらいしか知らないんだ。「ザ・ロンゲスト・ウィンター」のヴァースは、タイプ・オー・ネガティヴっぽいかも知れない。あのバンドは好きだったんだ。彼らを除くと、アメリカのドゥーム・バンドはほとんど聴いていなかった。特にルイジアナ系のスラッジとかストーナーは好みじゃなかったんだ。

──ワーシップやモーンフル・コングレゲイションなどのフューネラル・ドゥーム勢は意識していますか?

ニック・ホルムズ:...どっちも名前すら知らない。最近のドゥーム・バンドで好きなのはポールベアラーぐらいかな。彼らはすごく最初の方から聴いていたんだ。初期トラブルみたいなサウンドで、きっと成功すると思っていた。良い音楽をやっているし、ハードに働いていると思う。


──最近はどんな音楽を聴いていますか?

ニック・ホルムズ:最近はダークウェイヴをよく聴いているよ。カーペンター・ブリュットは素晴らしいね。それから1970年代から80年代のホラー映画サウンドトラックを聴いている。ジョン・カーペンターのアルバムも買ったよ。最近のヘヴィな音楽で良かったのはネイルズかな。どうしてもヘヴィな音楽というと、デスやモービッド・エンジェルのような、14歳から22歳までに聴いて慣れ親しんだレコードに針を下ろしてしまうんだ。1982年から1989年までに出たスラッシュやデス・メタルのLPはすべて揃っているよ。いわゆるコレクターではないけどね。アナログ盤LPの大きなジャケットの方がマジックを感じる。

──『メデューサ』に伴うツアーについて教えて下さい。

ニック・ホルムズ:アルバムの発売を記念して、ドイツのシュトゥットガルトで完全再現ライヴをやるんだ。5年前に『ドラコニアン・タイムズ』(1995)再現ライヴを5回やったし、『トラジック・アイドル』(2012)と『ザ・プレイグ・ウィズイン』(2015)の完全再現もやったから、『メデューサ』もきっとうまく行くよ。アルバムの再現ライヴは数回しかやらないからプレミアム感があっていいんだ。せいぜい5回が上限だね。それからイギリスやヨーロッパ、アメリカで『メデューサ』ツアーをやるよ。俺はパラダイス・ロストと並行してオーペスやカタトニアのメンバー達との別プロジェクト、ブラッドバスでもやっていて、同じフェスティバルで同じ日にダブルヘッダーを務めることもあるんだ。少なくとも3時間はインターバルを取って喉を休めるし、何とかなっているよ。パラダイス・ロストとしては『メデューサ』ツアーでぜひ日本に行きたい。もう20年間日本でプレイしていないし、そろそろ行かないと俺たちの存在を忘れられてしまうからね!

取材・文:山崎智之
Photo by Tony Woolliscroft, Danny Payne




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発売日: 2017年09月01日

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