ソウル裏名盤！

2005年2月8日 (火)

マーヴィンの「What's Going On」やスティーヴィーの「Innervisions」は持っているけど、次は何を買っていいのかわからないというソウル初心者はもちろん、マニアも注目！歴史に残る金字塔アルバムの陰にひっそり隠れている傑作を掘り起こします！ソウル/R&Bの主要アーティストの裏名盤を一挙ご紹介！

Marvin Gaye / Here My Dear

78年発表のマ－ヴィン最大の問題作。もし貴方がこのアルバムを聴いたことがないなら、まずは前情報や知識を入れずに素の状態でこのアルバムを聴いてみて欲しい。そこで感じたことが、このアルバムに対する本当の評価に値するような気がするから。本作のバックグラウンドはここでは敢えて書きませんが、邦題や歌詞、中ジャケからも察する通りヘヴィでドロドロ、あまりにも私的な内容。サウンド的にも即興で作られたらしく音数は少なく簡素なものではあるのだが、それでも溢れ出て止まらぬマーヴィンの才能に聴く者はひれ伏すしかない。今夜は浴びるほど呑みたいという気分のときに聴くと痛いくらい染みてくる。
必聴盤　「What's Going On」　「Let's Get It On」

Curtis Mayfield / Something To Believe In

独特のハイテナー・ヴォイス/ファルセットで愛を歌う偉大なるラヴ＆ピース・マスター、カーティス・メイフィールドが本作。全体的にソフトで甘くメロウな雰囲気の曲が多く、初めてソウルを聴くという人にもお薦めできる1枚です。フロアでけだるく踊れるミディアムなダンス・ナンバー"Love Me, Love Me Now"をはじめ、Johnny Aceの名曲をカーティス節全開でカヴァーしたスロウ・バラード"Never Let Me Go"と肩肘張らずゆったり聴ける曲が続き、そこへきて3曲目の"Tripping Out"！これが絶品！後に山下達郎が「あまく危険な香り」でも使った、メロウでグルーヴィ－なシカゴ・ソウル・サウンドに思わず昇天！
必聴盤「There's No Place Like America」「Superfly」

Stevie Wonder / My Cherie Amour

68年のシングル"I Don't Know Why"のB面に収録された"My Cherie Amour"はB面にも関わらず大ヒットを記録、その曲をタイトルにしてまとめられた69年作品で、スタンダードやヒット曲のカヴァーも多く収録されたとても聴きやすい作品です。"My Cherie Amour"は60年代を代表するラブ・バラードの傑作で、Jackson 5やQuincy Jones、Roland Kirk等多くのアーティストがカヴァーしています。また幸福感溢れる"At Last"やロン・ミラーのペンによる曲で、ソウル・チャート5位、ポップ・チャート7位を記録した"Yester-Me, Yester-You, Yesterday"などを収録。
必聴盤　「Innervisions」「Talking Book」「Fulfillingness First Finale」

Sly & The Family Stone / Small Talk

美人女優キャシー・シルヴァと結婚し愛息をもうけた喜びに満ちた幸せボケ・アルバムと呼ばれる「Small Talk」。失速状態にあった本作、実は侮れない名盤である。ソウルフルな"Say You Will"、ゴスペル風味もある"Time For Livin"、そしてBeastie Boysもネタとして使った"Loose Booty"など聴き応え十分。腐っても云々言うが、天才Slyの場合も然り。もちろん前2作の延長線上にありながらも、倦怠感や切れのなさは拭いきれないのだが、そういったダメさ加減もサウンドが集まることによってクールに聴こえてしまうのが不思議。
必聴盤　「暴動」「Stand」「Fresh」

James Brown / I'm Real

全米チャートインしたアルバムでは49枚を数えるJBのスコッティ・ブラザーズ移籍第2弾。NYで最もセンセーショナルなプロデュース/リミックス・ワークを行っていたブルックリン出身のファンク・ラップグループ、フル・フォースの全面的バックアップを得て完成された傑作。その時代の最先端の音にうまくのっかったJBもやはりJBなのだ！かっこいい！
必聴盤　「Revolution of Mind」「Sex Machine」

Aretha Franklin / Jump To It

アトランティック時代の名作の影に隠れがちな80年代アレサだが、80年代のアレサも捨てがたい魅力を持っている。この82年の「Jump To It」は、プロデュースを手がけたLuther Vandrossの持つコンテンポラリーR＆Bのセンスによって都会的な雰囲気が加わり、アレサの新たな魅力を引き出すことに成功。R＆Bチャート1位を記録したタイトル曲、ルーサーがバック・コーラスで参加した"Love Me Right"、Levi Stubbsとのデュエット曲"I Wanna Make It Up To You"、Isleyカヴァーの"It's Your Thing"と実にアレサが伸び伸びと気持ちよく歌い上げており、バックも古臭さを感じさせず安心して聴ける。
必聴盤　「I've Never Loved A Man The Way I Love You」「Live At The Fillmore West 」

Isley Brothers / Harvest For The World

Isley作品の中でも、73年にオーケリー、ルドルフ、ロナルドの3人のヴォーカルに、アーニー(g)、マーヴィン、クリスの3人が加わり6人編成となった後の「3+3」、「Live It Up」、「Heat Is On」、そしてこの「Harvest For The World」(76年)は必聴。ロナルドの歌う美メロとアコギにつきるタイトル曲、ファンキーな"People Of Today"、アーニーの自由奔放なギターが堪能できる"Who Loves You Better"、Aaliyahカヴァーでも知られる極上スウィート・ソング"At Your Best (You Are Love)"、クリスの奏でるムーグの音色に酔いしれる"Let Me Down Easy"、爽やかメロウとファンク・ロックの中庸を行く隠れた名曲"So You Wanna Stay Down"など全体的なバランスはこのアルバムがピカ一！
必聴盤　「3+3」　「Between The Sheets」

Al Green / Explores Your Mind

アルの代表作といえば「Let's Stay Together」を筆頭に挙げる人が多いでしょうが、ソウル・ファンなら間違いなく74年のこちらを推すはず。全曲アルが曲作りに参加し、シンガーとしてだけでなくソングライターとしても最も脂の乗っていた時期のアルバムであり、あの超クラシック"God Bressed Our Love"を収録しているのだから。バックのハイ・リズムは前作以上にタイトになり、アル自身も優しさや雄々しさ、甘さや切なさといった感情を見事にヴォーカル･コントロールしている。喜びに満ちたポップ・チューン"Sha-La-La"、シル･ジョンソンやトーキング･ヘッズもカヴァーした"Take Me To The River"のシャウト、ソリッドな"The City"等"God Bressed～"も含め、前半部分が特に素晴らしい。
必聴盤　「Let's Stay Together」

Otis Redding / Sings Soul Ballads

オーティス最高傑作とするファンも少なくない65年作品。しっとりとしたバラードを中心に編集されています。ストーンズもカヴァーしているO.V.Wrightの名曲"That's How Strong My Love Is"、情熱的でドラマティックな"Mr. Pitiful"、スウィートな"A Woman, A Lover, A Friend"、ゴスペル風バラード"Chained And Bound"など、その強靱な喉の変幻自在ぶりに驚くばかり。Steve Cropperがギター、Mar-Keysがホーンでバックアップ。
必聴盤　「Otis Blue」

Parliament / Chocolate City

75年作3rdアルバム。パーラメント初期の大傑作！リマスターされた上、ボーナストラックも収録！ブーツィーの破壊的なベースと鋭利なバーニー・ウォーレルのキーボード・プレイ、ゲイリー・シャイダーのシンプルなギター・カッティングが繰り広げるクールなエレクトロ・ファンクのタイトル曲、ブリブリな"Ride On"以降A面(What Comes Funkyまで)はひたすらファンク一本槍。B面はクリントンの変態オペラ？"Let Me Be"ではじまり、ポップな"If It Don't Fit"とバラエティに富んだ内容。チョコレートにしては刺激的な作品！
必聴盤　「Mothership Connection」　「P-funk Earth Tour 」

Fukadlic / Hardcore Jollies

1976年リリースの通算9作目。発売当時はウエストバウンドからワーナー・ブラザースに移籍しての第1弾だったもの。ジョージ・クリントンを中心に、Pファンクを形成する凄腕ミュージシャン／ヴォーカリスト達が総結集し、あらゆるジャンルをファンクの名のもとに駆逐する一大スペクタクル・アルバム。ファンクを冠にしながらも、剥き出しギターの大傑作であるとも言える。1曲目からマイケル・ハンプトンの壮絶ソロ・プレイ炸裂、タイトル曲も痺れます。NYでのライヴの模様を収録した"Cosmic Slop"なんてさらに悶絶。ジミヘン＆マイルス＆レッチリ・ファンはマスト。
必聴盤　「Maggot Brain」　「One Nation Under A Groove」

Jacksons / Destiny

Jackson 5で聴き終えてはダメよ。子供臭さが抜けてからのJacksonsを聴いてこそ通（？）ってもの。ジャーメインが抜け、六男ランディが参加した本作は、作詞・作曲・プロデュース全て本人達で賄った重要作。リードをとるマイケルも立派な大人に成長、か細さはあるものの、ソウルフルな歌声で参加。アレンジはクインシー一派のグレッグ・フィリンゲインスとジェリー・ヘイということで、初期のマイケルのソロ作が好きな人にはかなりオススメ。ディスコ・ヒット"Blame It On Boggie"（邦題「今夜はブギー・ナイト」）収録。
必聴盤　Jackson 5 「Diana Ross Presents The Jackson 5 / Abc 」

Earth Wind & Fire / Head To The Sky

CBSに移籍してから本領を発揮しはじめてEarth Wind & Fireの73年発表の4枚目。アル・マッケイが加入。ロック、ジャズ、アフロやラテンなどさまざまなスタイルの音楽を取り入れ時代の先進性を象徴するグループとなったアースが、そのジャズ的インストの要素からヴォーカルを全面に押し出し前作より洗練させた音づくりに仕上がっている。ヒット・シングルを出すのは次のアルバムからであるがブラック・ピープルの社会的意識と向上を目指す萌芽がみられるアルバム。全米ゴールド・ディスク獲得。チャート最高位27位。
必聴盤　「Gratitude」　「That's The Way Of The World」

Prince / Dirty Mind

殿下の作品はどれも傑作なので裏名盤と甲乙をつけるのはたやすくない。なのでここでは極私見で。まず聴く順番としては「Sign Of The Times」「Parade」「Purple Rain」の3本柱をやっつけたら、「Around The World In A Day」「Love Sexy」「1999」か。ここでまずは定番ラインが一本引けるはず。後はこれらの作品以前・以降に手を伸ばして行けばいい。ここでは「Dirty Mind」がお薦め。でもある意味裏名盤は超ド級ファンクアルバム「Black Album」つーことになるんだろうな。ここではあえて「Dirty Mind」をチョイス。
必聴盤「Sign Of The Times」　「Purple Rain」

■　R&B/ソウル名盤100選

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