-クラブ・プレイでジャズをかける際に、注意している点や工夫している点はありますか?
「昔はよくネタをかけていたんですけど。ネタふりして、次の(ネタを使用した)曲に繋げる感じで。ネタ→ヒップホップ、ヒップホップ→ネタみたいなことをずっとやっていたんですが、そういうのはやめるようにしました。盛り上がらないから(笑)。これは、自己満足だけだなぁ、みたいな。だから、今はかけるとしたら、ちゃんとビートが立ってて、1つの曲としてかけれるジャズじゃないとかけないようにしてますね。それか、皆が本当に好きな曲のネタで、たとえビートが入ってなくても、反応できる曲だったらかけます」
「最近、2004年か2005年ぐらいのBlast誌をたまたま見る機会があって、そこに自分が選んだ「ジャズの15選」みたいな企画が載っていたんですよ。盤選は、まぁまぁいいんですけど、喋ってる内容とかが、全然ダメなんですよ(笑)。もう全然知識ないなぁ、みたいな。若いな、っていう。今は、その時の「分かってない」度が「分かる」っていうか。自分で今どのくらいの知識があるのかなぁ、みたいなところは分かるようになりましたね」
-単純に、その頃と今では主体として聴いているものが違う感じでしょうか?
「違いますねぇ。でも、今でも全然かけるものとかも入っていたし、ブレイクは今でも好きなんですけど。もっと広がってますね。その頃は、ジャズの中だけからブレイクを探して、一部グルーヴィーなロックもありましたけど、かけていたんですよ。でも今は、7インチも混ぜるし、ファンクもソウルもレゲエも全部かけるんで。しかも、それがバラバラになるんじゃなくて、自分の好きな感じで統一されて。だから、DJプレイに関しては、前よりは良くなっているなという感じはします」
-そういった部分を含めて、やはりJazzy Sportクルーとの交流は大きかったのでしょうか?
「それは絶対ありますね。あとは、Jazzy Sportを中心としたつながりでもあるんですけど、色々な(レコード屋の)バイヤーさんとすごい仲良くなったというのがありますね。例えば、沖縄のSuper Slickの山下さんだったり、新宿のUniversoundsだったり。今一番、自分にいい音楽を教えてくれるのが、福島のLittle Birdっていうレコード屋さんで。そこは、ほんっとにスゴイですよ。相場より全然安く売ってくれるし、滅多に入らないものをちゃんと入れてくれるんですよ。そのおかげで、相当自分の周りにも(レコードが)集まってきたっていうのはありますね。」
「2〜3年前よりは、人とのつながりが確実に増えて。あと、Jazzy Sportの中に、Dubby Sportっていうレゲエがすごいやつがいて、そいつから直接レコードを仕入れてもらって、売ってもらったりとか。そういう意味で、環境が良くなったっていうのが大きいですね」
「いい音楽を「卸し」てくれるという点で、失敗を生まないというか、チョイスが広くなりすぎなくなるというか。結構、枝分かれはしてるけど、一個一個が太いんで。ボクが好きそうなやつ、例えばローズ(フェンダー・ローズ・ピアノ)の音が入ってたら、「これローズ入ってるよ」ってすぐ持ってきてくれたりとか。そういうのは、以前とは違うかなっていう感じですね」
-作品やDJプレイで、そういったつながりや広がりの成果を還元できると。
「そうですね。前は、DJプレイとサンプリングする曲って、完全に分かれてたんですよ。でも、今は結構混ざってますね。6〜7割ぐらいは一緒だと思います。曲自体がものすごくいいっていうものは、当然かけれるし、そういうのをサンプリングにも使ってます」