【10-FEETのあの日あの時16】有島博志による現場目撃秘蔵ストーリー
2013年4月25日 (木)
『VANDALIZE』が発売されるジャスト1ヵ月前の2008年1月27日――。 札幌のZepp Sapporoで開催された、今や有名イベントのひとつとなり、“冬の風物詩のひとつ”ともなっているNO MATTER LIVEを観にいった。スウェーデン産のプログレッシヴ・メタル・バンド、OPETHの対面取材と写真撮影で首都ストックホルムを訪れ、帰国した、まさにその直後のことだった。言うまでもなく、スウェーデンは北欧圏に位置する。訪れた時期は極寒期ただ中にあった。が、しかし、その日の札幌の寒さはその比じゃなく、外に出ることすら尻込みしてしまうほどの極寒さで、外と会場内の熱さとの気温差が異常とも思えるくらい激しく、著しかったことを今もなお覚えてる。出演した顔ぶれはSERVICE ACE、Pay money To my Pain(以下PTP)、BRAHMAN、SOIL & “PIMP” SESSIONS(以下SAPS)、10-FEETの5組で、10-FEETがトリを務めた。このイベント・リポートをPTP、10-FEET中心で執筆し、2008年3月31日発売のGrindHouse magazine Vol.47に掲載した。その号の表紙と、記事ページが、右にあるのだ。以下、そのリポートからの抜粋だ。あえてPTPのところも掲載する。
「6時半すぎ、PTPの出番と相成った。2006年発売の3曲入りCD+DVD『Drop of INK』でデビュー、続く初フル作『Another day comes』(2007年)発売以降の彼らのバンドとしての成長、進化の振り幅には著しいものがあり、同作発売に伴う全国ツアーのファイナルとなった東京・代官山UNITでのライヴパフォーマンスも、すばらしいの一言につきる出来だった。デフトーンズの来日公演でオープニングアクトを務めたほか、イイ環境下でライヴを演る機会も増え、PUNKSPRING 08にも出演が決定するなど、頻繁に名前を見るようにもなった。ステージ上でのメンバー間の呼吸やコンビネーション、プレイもバッチリで、今PTPはいろんな意味でスゴくイイ状況にある。もはや“元GUN DOGのK(vo)の新バンド”なんて枕詞は無用だ。PTPはバンドとして立派に自立し、一歩一歩ゆっくりながらも着実に歩き始めてる。
PTPは、『Another day comes』収録曲のスピードチューン“Paralysed ocean”で勢いよくライヴを駆った。PABLO(g)、JIN(g)、TSUYOSHI(b)、ZAX(ds)とKをサポートし、ときに引っ張り、背中を押す4人のバック陣はみな活動歴も豊富で、プレイヤーとしての力量もかなりハイレベルにある連中だ。ただ、Kは基本的に在アメリカであり、ほかのメンバーもPTPと並行してそれぞれ別プロジェクトを稼働させてたりするので、普通のバンドとは異なり、5人が一緒にいてコミュニケーションを育み、行動してるわけじゃない。これはPTPのユニークさのひとつなのだけど、同時にこの体制は当然ハンデ、リスクを伴うものでもある。PTPが単に力量のある5人のミュージシャンが一堂に会しただけの存在となるか、それともときに離れ離れになることがあっても、それでも魂、絆を通い合わせ、呼吸、コンビネーションを共有し、構築でき、“バンド然としたバンド”になるかの、どちらかになるからだ。正直、『Drop of INK』ツアーのときは前者像が見え隠れしてたのだけど、上記した代官山UNITでのライヴじゃそれが完全に払拭され、後者像へと完全に成長、進化をとげていた。バンドとしての一体感、整合感を明確に放ち、メンバー個々の力量もさることながら、バンドとして勝負できる実にバンド然としたバンドへとなってた。だからこそ、冒頭から安心してライヴを観ることができた。ライヴ直前に帰国したということもあり、多少なりとも疲れが見て取れたものの、Kのフロントマンとしての、ヴォーカルとしての進化/成長ぶりも、最近とみに顕著だ。GUN DOG時代、観客となんとか向き合ってはいたものの、どこかで引けていたKだけど、今じゃ心を開き、きちんと観客と対峙し、気持ち的にも身体を前へ前へと押し出し、ときに観客のなかに没入するほどの強さを培ってる。それゆえに、Kの心のなかに宿る思いやエモーションが観客に直接届き、リアルに響くのだ」
このとき、PTPが始動期から成長/進化期へと突入していたことを読み取ってもらえると思う。そして、10-FEETのライヴの模様はこうリポートしている。
「SAPS終演から20分のセットチェンジを経た9時過ぎ、客電が落ち場内が暗転するや、観客がどっと沸きつつ、あのおなじみの大仰なSEが流れ出し、10-FEETのメンバー3人が登場した。そして、“2%”でパフォーマンスは始まった。冒頭から観客のノリがハンパなくスゴい。開演が6時前ゆえ10-FEET登場を待ち焦がれてた人は3時間以上も待ってたことになるから、その“待ち焦がれた感”が一気に炸裂したに違いない、と思ったのだけど、それにしてもそのノリの激しさは尋常じゃない。マジで1階のスタンディングフロアは波打ち状態で、多くの観客を上へ下へ横へとトバしてた。聞くところによると、彼らはこれまで何度もこのNO MATTER LIVEに出演してて、札幌の観客にはなじみがあるどころか、非常に近しい存在だからとか。“地”を味方につけたバンドはやはり強い、ということを改めて痛感させられた光景だった。 いくらトリとは言え、イベントである以上待ち時間に限りがあるため、セットリストは1ヵ月前に観た鳥取県米子公演(前号Vol.46参照)のときのものをギュッと凝縮した感じだった。まだ新作『VANDALIZE』発売前だったこともあり、同作からはシングルとしての既発売曲である“STONE COLD BREAK”と“goes on”のみの披露に留まった。観客のノリもスゴかったけど、バンドもそれ以上に加速していて、最後まで勢いに乗っていた。TAKUMAによる「我々ELLEGARDENです」というお得意のMCもバカウケし、“4REST”と“VIBES BY VIBES”じゃ大合唱が湧き起こるなど、始終バンドと観客が押し合い引き合いし、高いテンションがクリエイトされつつ、本編を終了した。その直後、大きな10-FEETコールに導かれるように彼らはステージに再登場。“recollection”“CHERRY BLOSSOM”を演り、40分強のセットを終えた。言うまでもなく、“CHERRY BLOSSOM”じゃファンが自主的に持ち込んだ紙吹雪が舞った」
そして自分はこう、10-FEETのライヴ・パフォーマンスを書き締めくくった。
「どんな困難に直面しようとも、ただひたすら前を向いて前進するのみ――これぞ10-FEETの本質、真骨頂であり、この姿が一番彼ららしいし、もっともよく似合う。再び走り出したTAKUMA、NAOKI(b,vo)、KOUICHI(ds)なる3人は、間違いなく、さらなる“超トリオ”の域へと昇華していく。そう確信させてくれるライヴだった」
「どんな困難に直面しようとも」と当時書いたのは言うまでもない、TAKUMA(vo,g,key,blues harp)がノドを患い、2度目の手術を受けるも、もう二度と元の歌声には戻らない、というヴォーカリストにとって“致命的な出来事”を経験し、10-FEETとしての活動内容の変更なども余儀なくされたこと、そして台風襲来などの悪天候により第一回目の京都大作戦が急遽開催中止になったことだ。そうした困難を見事自力で乗り越え、そして自力で前進することもできた。だからこそ10-FEETに“今現在、そして未来”があり、この後『Life is sweet』(2009年)、『thread』(2012年)といったジャパニーズ・ロック・シーン屈指の“名作”“力作”を立て続けに放ち、より強靭かつさらにカッコよくなったライヴ・パフォーマンスをバンドへとなったのだ。
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■■■ 有島博志プロフィール ■■■
80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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