【インタビュー】 オメル・アヴィタル
2012年10月19日 (金)
「イスラエル出身のジャズ・プレイヤー」と聞いてピンと来ない人はきっと多いと思う。それどころか、そもそもイスラエルという国に対する印象すらおぼろげという人の方がほとんどなのではないだろうか。
とはいえ、ここでその文化・風土などをイチから徹底的に紐解いていこうとするのは、あまりにも複雑で重厚長大な民族の歴史や宗教が関わるために、専門家先生方のご教授にお任せすべく足早に回避したく思うが・・・ここはあくまでオンラインのジャズ屋らしいコンセプトを持って、イスラエル出身のジャズ・プレイヤーたちにフォーカスしたいと思索した次第。
ここ十年来、ニューヨークのジャズ・シーンつまり本場の最前線で活躍するプレイヤーには、イスラエル出身者が多い。つまりそういうことだ。隣接するアラブ諸国ともまた異なる文化を持つイスラエルは、その隣国はじめ様々な国の文化が入り混じるハイブリッド性で、”文化のメルティングポット”と呼ぶにもふさわしい地。そんなブレンディでファータイルな土壌をバックボーンにして、ジャズを志し進取した男たちが今では本場のシーンを引っかき回しているというのだから実に痛快。そして、そのひとりにしてイスラエル・ジャズメン皆のアニキ的存在が、こちらに登場するオメル・アヴィタルというベース奏者なのである。
ジャズをベースにしながら、自国イスラエルの民謡、ジューイッシュ音楽、アラブ、北アフリカ〜西アフリカ、クレズマー・・・諸々の要素がミックスされていくオメルの音楽世界。「チャールズ・ミンガスの再来」とまで言われる太くズッシリとしたベースプレイはおろか、コンポージングやアレンジ、プロジェクト・コーディネイトやコンダクトにおいても比類なき才能をギラつかせ、現代ジャズの新しく逞しいオーソリティとしてイスラエルをレプリゼントし続けている。
今年6月、アーロン・ゴールドバーグ、アリ・ジャクソン Jr.との”YES!”トリオで来日を果たしたオメルに、故郷イスラエルのこと、同胞ジャズメンのこと、さらに嘗てのニューヨーク、ジャズの現状・・・色々と話を伺う機会を得ることができた。ここに来てようやくと言うべきだろうか、「イスラエル・ジャズメンの群像」というものが少しずつながら見えてきたような気がする。
インタビュー/文・構成:小浜文晶
忘れもしない 1992年1月12日のニューヨーク便。
アヴィ・レヴォビッチとはたしかに同じフライトだったよ。
しかも同じ日の別の便にはアヴィシャイが乗っていたんだ。
-- ここ何年かで、日本のジャズ・ファンの間では「イスラエル出身のジャズ・ミュージシャンの作品が面白い」といった声がよく上がっているんですが、オメルさん自身そういった声を耳にすることは結構頻繁にあります?
いやぁ、初耳だね(笑)。ニューヨークでは日本人のジャズ・プレイヤーとの交流もあるから、色々な話をするんだけど、でも特に「イスラエルのジャズが日本で話題になってる」なんてことは言ってなかったと思うよ。
-- 日本人プレイヤーとの交流もあるんですね。
彼らはみんな素晴らしいよ。ジャズのメッカは勿論ニューヨークだけど、それに続いてパリ、それから東京っていうのはジャズメンにとってすごく重要な場所でもあるんだよね。
東京には最高のジャズクラブがいくつもあって、そこでは常に一流のジャズメンが演奏している。だから、そういうところで僕らの音楽が話題に上がるっていうのはすごく嬉しいことだよ。日本のファンの動向って、ジャズ界全体にかなり大きい影響を及ぼすからさ。
-- ではまず、オメルさんのキャリアについて少しお伺いしたいのですが、ニューヨークに出てきたのはたしか1992年でしたよね?
そうだね。20年も前の話になるんだけど、まだイスラエルにいた頃、僕らの世代ってそんなにジャズが盛んじゃなかったんだよ。だから、もっとレベルが高い世界でジャズをやりたいっていうのがとにかく自分の中にはあった。僕らは、イスラエルからニューヨークにジャズを演奏するために渡った初めてのイスラエル・ジャズメン、所謂「第一世代」にあたるんだ。
-- その当時のイスラエルには、ジャズを演奏する場所や機会すらもほとんどなかったんですか?
それ以前にシーンそのものがなかったからね。ジャズ・プレイヤー自体はたくさんいたけど、それが別にムーヴメントみたいなものを形作るっていうことには至らなかったんだ。
-- 同じイスラエル国内でも、その土地土地でジャズのスタイルが微妙に異なっていたり。
エルサレムとテルアビブとでは少し流派が違うかもね。僕がまだ小さかった頃は、その違いはもっとハッキリしていたと思うんだけど。エルサレムとテルアビブってすごく近い距離にあるんだけど、なぜかメンタリティは正反対というか(笑)。でもこれは昔の話で、最近はほとんど違いはないんじゃないかな。
僕が最もラッキーだったのは、アメリカに渡って本場のジャズを体験してきたイスラエル人プレイヤーに色々と出会えたことなんだ。テルアビブに住んでいたアミール・ラシュダンがそのひとりで、僕にニューヨークとはどんな所かっていうのを教えてくれた。彼は昔ニューヨークのジャズ・シーンでちょっとならしていたこともあったベーシスト。バリー・ハリス、トミー・フラナガン、ジミー・ラブレイスなんかと一緒にやっていたりしてさ。
アメリカには元々ユダヤ人が大勢いるだろ? だから、両国間をしょっちゅう行き来している人っていうのもいっぱいいるんだよ。イスラエル人にしろ、アメリカ人にしろ。そういう流れもあってごく自然とニューヨークに足が赴いたというか。友だちのひとりが「ニューヨークに行けば俺の親父の所に転がり込めるよ」って言うから、「いいねェ、それじゃみんなで行こうか」って(笑)。
一方で、まだイスラエルではジャズ・ミュージシャンで食っていくことは不可能だっていう現実もあったからね。まぁ、それは今もあまり変わらないと思うけど・・・プロのジャズ・ミュージシャンになるなんてまず考えられなかったから。
-- そうなんですね。オメルさんのようなミュージシャンが昔からイスラエル各地にゴロゴロいるのかと思っていました。
当時ジャズをやってる連中なんてほんの一握りだったよ。あともうひとり、オルフェオっていうサックス・プレイヤーがいてさ。ギリシャ系のユダヤ人で、みんなからマメーロって呼ばれていたんだけど、彼もニューヨークで活動歴があって僕に色々と教えてくれたんだ。要するに、大きなムーヴメントではなかったけど、三々五々あちこちにニューヨーク帰りの人がいて、彼らがイスラエルのジャズメンたちに影響を与え始めていたんだ。
それに感化されたのが、僕であり、ベーシストのアヴィシャイ・コーエンであり。アヴィ・レヴォビッチもアモス・ホフマンもみんなそう。同じタイミングでニューヨークを目指した「第一世代」になるんだ。さすがに全員同じフライトじゃなかったとは思うんだけど(笑)・・・いや、アヴィ・レヴォビッチは同じだったかな?
-- まさかの(笑)。
忘れもしない 1992年1月12日のニューヨーク便。アヴィ・レヴォビッチとはたしかに同じフライトだったよ。しかも同じ日の別の便にはアヴィシャイが乗っていたんだ。向こうでみんなで落ち合ったのを今でも憶えてるよ(笑)。
1970年イスラエル生まれ。渡米後にグリニッジ・ヴィレッジのジャズクラブやブロンクスでジャズを学ぶ。1997年から2003年までチック・コリア&オリジンのベーシストとして活躍し一躍全国区となった。その後現在に至るまで自らのインターナショナル・ヴァンプ・バンドやトリオを率いて活動。ワールドワイドなジャズ・シーンにおいて今最も才気溢れるジャズ・プレイヤーとして注目を集めている。自身のレーベル(Razdaz Recordz)から2008年にリリースした『Gently Disturbed』、2009年のBlue Note移籍第1作目『Aurora』、昨年リリースの『Seven Seas』はいずれも現代ジャズの最高峰アルバムとして高い評価を得ている。最新リーダー作は、ピアニスト、ニタイ・ハーシュコヴィッツとのデュオ・アルバム『Duende』。
1970年エルサレム生まれ。テル・アビブを拠点に活動するギタリスト。中近東音楽に対する理解も深く、ウードやネイ(尺八風の縦笛)といった民族楽器も演奏する。90年代前半ニューヨークに移住後は、ベン・ウルフ、ジェイ・コリンズ、ジェイソン・リンドナー、デュアン・ユーバンクス、さらには時を同じくしてニューヨークにやって来た同郷人のアヴィシャイ・コーエン(b)、オメルらと共演を行なった。中でもアヴィシャイ作品への参加が数多く、『Adama』、『Devotion』、『Colors』、『Continuo』、『Sensitive Hours』、『Aurora』と、10年以上に渡ってアヴィシャイ独特の音世界、その屋台骨を支えていることになる。1998年のリーダー・デビュー作『The Dreamer』、2008年の『Evolution』(RazDaz)、最近作となる2010年の『Carving』にはいずれもアヴィシャイがサイドメンとして、ベースやカラバッシュで参加している。
-- 半ば勢いで行ったとしても長期滞在は難しいですよね。
だからニューヨークのニュースクール大学に入学したんだ。留学ビザを取得するためにね。ニュースクールでは、ジュニア・マンス、ジョー・チェンバース、アーニー・ローレンスって錚々たる顔ぶれが教壇に立っていたんだ。中でもアーニーはイスラエル人にとってはちょっと特別な存在というか。素晴らしいアルト・サックス・プレイヤーなのは知ってると思うけど、実はアーニーは1998年に活動拠点をイスラエルに移したんだ。エルサレム郊外のエン・カレムっていう所に住んでいたんだけど。きっとイスラエルのジャズ・シーンの発展や可能性に何かしらの閃きを憶えてそうしたんだろうね。
アーニーは、ジャズを通して中東の和平交流を試みようとした初めてのジャズ・プレイヤーで、同時にジャズにウードを取り入れたユニークなプレイヤーでもあるんだ。イスラエルのジャズメンたちにとてつもなく大きな影響をもたらした人だよ。
1938年ブルックリン生まれ。60年代モダンジャズ黄金期から活躍するアルト・サックス奏者だが、Project3というラウンジ・ジャズ系のインディペンデント・レーベルからリリースされた1966年の『You're Gonna Hear from Me』でリーダー・デビューを果たしたり、続くセカンド作『Gonna Get Some Right Now』ではラリー・コリエル(g)とジャズロック路線を押しすすめるなど、枠に収まらない極めてユニークな演奏・作品を世に送り出していた。音楽教育者としても後進の育成に人一倍熱心に取り組み、1986年にはニューヨークの名門音楽校として著名なニュースクール大学を共同創設。その高い指導力でオメルやブラッド・メルドー、ロイ・ハーグローヴら今やワールドワイドで活躍する多くのトップ・ジャズメンを育て上げた。1997年にはイスラエルはエルサレムに移住し、International Center for Creative Music(ICCM)を同地に創設。「音楽と芸術で中東に和平をもたらす」という信条の下ジャズの普及に腐心した。2005年エルサレムにて死去。
-- その頃ニューヨークでの生活というのはどんな感じだったのですか?
とにかくとんでもなく寒かったのを憶えてるよ。それがすごくショックだった(笑)。テルアビブは一年を通して暖かいからね。
-- (笑) 真冬のニューヨークは毎日ほぼ氷点下だそうですからね。生活的には、昼は学校、夜はジャズクラブで演奏みたいな。
いやいや、授業にはほとんど出てなかった(笑)。まずお金がなかったし。授業料もバカにならないからね。しかも、ジャズなんて別に机にかじりついて勉強するようなものじゃないと思うし、それこそ本場の空気を体験したいからニューヨークに来たわけだから、レッスンなんて全部受けてる場合じゃなかったというか(笑)。
でも、授業以外の部分で“人に会いに行く”っていうことは毎日してた。だって、ブラッド・メルドー、アダム・クルーズ、ピーター・バーンスタイン、ロイ・ハーグローヴっていうような人たちが学校にいて、顔を合わせれば「ちょっとセッションでもしようか」ってなるんだから。そういう交流の場であったことはたしか。勿論学校以外、ヴィレッジ・ゲイトみたいなジャズクラブに行けば本物のジャズ・シーンがあって、そこに毎日のように通っては色々な人と出会って、ものすごく刺激を受けていたよ。
-- 夜の“クラブ活動”ほど充実しているものはなさそうですね。
毎晩、聴きに行くか自分で演奏するか。これこそ本当の教育だったね。で、学校はある日を境に行かなくなったんだ(笑)。数年後ちゃんと学位だけは取ったけど。とにかく実践あるのみというか、それが何より早く成長できたポイントだったと思ってるよ。
-- アヴィシャイ・コーエンやアヴィ・レヴォビッチにしても、きっとそういう感じだったんでしょうね。
その通り(笑)。アヴィ・レヴォビッチとは一緒の部屋に住んでいたけど、まさに同じような感じだったよ。アヴィシャイも最初はちょっと離れたところに住んでいたけど、後から僕らの居るアパートに引っ越してきたんだ。たしかすぐ下の階に住んでいたと思うけど。あと、アモスも同じアパート。だけど別にそのビルがイスラエル人の溜まり場になってたわけじゃないよ(笑)。ミュージシャンは多かったけど、色々な国の人が住んでいたからね。僕らは同じところに住んではいたけど、常にベッタリっていうわけじゃなくて、みんなそれぞれ個別の活動を持っていてそれなりに忙しかったんだ。

-- ジャズクラブでギグなどを観たりして、当時90年代のニューヨークのジャズ・シーンというのはオメルさんにはどのように映りました?
うん、やっぱりすごかったな。ラブだよ。まさに“聖地巡礼”をしているような気分。ヴィレッジ・ヴァンガードに行けばジョニー・グリフィンが演奏している。スウィート・ベイジルではバリー・ハリス、ミルトン・ヒントン、ジュニア・クック、クリフォード・ジョーダン・・・。また別のところに行けば、ジミー・コブ、ジョン・ヘンドリックス、トミー・フラナガン、ラシッド・アリ、ウォルター・ビショップ Jr. がいる。彼らと共演することだってできたんだから、大興奮の毎日だったよ(笑)。
90年代のニューヨークのジャズ・シーンは本当に偉大だった。言ってしまえば、僕らがその偉大さをダイレクトに味わうことができた最後の世代になるわけだから。すごくラッキーなことだよね。・・・ただ、ニューヨークは音楽の面では素晴らしかったけど、生活していくには本当にキツかった。まぁ今よりはマシだと思うけど。
-- 今よりはマシ?
今のニューヨークの状況だと、若いジャズ・プレイヤーはなかなかサヴァイヴできないんじゃないかな? 昔もそうだったけど、まず仕事があまりもらえない。そして物価が昔に比べてすごく高くなっている。つまりギャラの値段は変わらないにも関わらず、家賃はどんどん上がっているっていう現状。少し前のかなり不景気なときに比べれば、最近ちょっとは良くなっていると思うんだけど・・・それでも、色々工夫して何とか凌いでいくことはできるから、情熱さえあればうまくやっていけるはずだよ。
って、そんなこと僕が言わなくても、毎年色々な国からたくさんの若いミュージシャンがニューヨークにジャズをやりに出て来るわけだからね(笑)。ただ問題は、そこに居続けてやり抜くことができるかっていうことなんだ。
-- オメルさんは、2002年に一度ニューヨークからイスラエルに引き返していますよね。そのときに伝統的なイスラエル民謡の勉強やウードの習得に励んでいたそうですが。
実は彼女をイスラエルに残してきたから、何と言うか・・・まぁ会いたくなって(笑)。それと、ニューヨークでの生活にちょっと疲れちゃったところもあったんだよね、精神的に。レーベルとの揉め事なんかもあって。一息付きたかったんだよ。
イスラエルに帰ってからは、エルサレムにあるヘブライ大学の作曲科でヨーロッパの古典音楽について学んでいたんだ。そこでウードだとかアラブ楽器全般についても理論を勉強したりしてね。アラブ音楽に関しては、実際ニューヨークにいる頃から勉強していたんだけど、そもそも僕の両親がイエメンとモロッコの出身だったこともあって、小さい頃から馴れ親しんでいたものでもあるんだ。だからその当時は、それをさらに深く掘り下げて勉強するために大学に入ったっていう感じなんだよね。
-- ウードを習得したり、アラブ音楽の理論を学んだことというのは、のちにリーダー・アルバム以外にもサード・ワールド・ラヴやイエメン・ブルースなどでも成果として現われるようになって。
サード・ワールド・ラヴはバリバリのジャズ・コンボで、そこにウードのような楽器を使ってアラブ音楽の要素を取り入れているっていう感じになるかな。だからあくまでベースはジャズ。一方でイエメン・ブルースは完全にアラビック。イエメン出身のラビット・カハラーニがヴォーカルをとっていて、伝統的なアラブ音楽や北アフリカの音楽要素を強く出しているんだ。
オメル、アヴィシャイ・コーエン(tp)、ヨナタン・アヴィシャイ(p)、ダニエル・フリードマン(ds)からなる、2002年結成のイスラエル=ニューヨーク・カルテット。ジャズをベースに、様々な民族・文化・歴史が去来する彼の地から発せられる哀愁のメロディがブレンドされ、複合的なリズムが交わるそのサウンドは、まさに両国間を行き来しながら活動する彼らにしか作り得ないもの。これまでにSmall's Recordsから『Sketch of Tel Aviv』、Fresh Soundから『Avanim』、『Third World Love Songs』、アナット・コーエン主宰のAnzic Recordsから『New Blues』、さらには最新作となる『Songs and Portraits』、計5枚のアルバムをリリースしている。
他にも同じように、モロッコ音楽のマスター、ラビ・ハイム・ルークと一緒にやったり、宗教的なジューイッシュ音楽を取り入れたプロジェクトなんかもやっているんだけど、でもそれは伝統的な音楽とジャズの融合ではあっても厳密にジャズとは言えない。ただ、演奏していてすごく気持ちがいいことはたしかだよ。
-- 2001年のアルバム『Think With Your Heart』に収録されていた「Marrakesh」や「Andaluz」のような曲にしてもそうですよね。
あの辺の曲は、勿論マグレブだとか色々な要素がミクスチャされている感じではあるんだけれど、最終的にはモロッコ音楽を基点としたものになっているんだ。
(Omer Avital)
同地の名門ニュースクール大学に入学後、ブラッド・メルドー、アダム・クルーズ、ピーター・バーンスタイン、ロイ・ハーグローヴらと交流。また、ヴィレッジ・ゲイトなど各有名ジャズクラブにも頻繁に出入りしていた。98年にはImpulse! レーベルと初めてのレコード契約を果たすが、このときの録音はリリースされず今も眠ったままとなっている。その後、ウィントン・マルサリス、ケニー・ギャレット、ブライアン・ブレイド、ジョシュア・レッドマン、ロイ・ヘインズらとのレコーディング及びツアーサポートを経験した。
初リーダー作『Think With Your Heart』を発表した2001年に一時故郷イスラエルに戻ったオメルは、ウードの習得やイスラエルの伝統音楽、アラビア音楽などを学ぶために、エルサレムにあるヘブライ大学作曲科に入学。また後進の指導など母国のジャズの発展に尽力。2005年にふたたびニューヨークにやって来たのちも、イスラエルとニューヨークを行き来しながら活動している。
これ以降活動やリリースが一気に活発化。マンハッタンのSmalls ジャズクラブを拠点に、2006年には『Asking No Permission』、『The Ancient Art of Giving』、『Arrival』という3枚のアルバムをリリース。ほか、『Room To Grow』(2007年)、『Free Forever』(2011年)、『Live At Smalls』(2011年)、『Suite of The East』(2011年)といったリーダー・アルバムを残している。その重く分厚いサウンドと類稀なコンポジション・スキルで「ミンガスの再来」とも言われる現代ジャズ・シーン最高のベーシストとして”イスラエル・ジャズ”をレプリゼントしている。
リーダーグループのほか、アヴィシャイ・コーエン(tp)らとのサード・ワールド・ラヴ、アーロン・ゴールドバーグ(p)、アリ・ジャクソン Jr.(ds)との通称”Yes!”トリオ、アーロン、マーク・ミラルタ(ds)とのOAMトリオ、ラビット・カハラーニ(vo)を中心としたイエメン・ブルース、モロッコ音楽の宗家ラビ・ハイム・ルーク率いるニュー・エルサレム・オーケストラといった様々な別働プロジェクトでも活動。また、サイドメンとしては、アヴィシャイ・コーエン、3コーエンズ、ダニエル・フリードマンなど同郷あるいは周辺アクトの作品に数多く参加。いずれにおいても、比類なき演奏力と作曲能力、そしてバンドリーダーとしての絶対的な存在感をみせている。
[関連リンク]
オメル・アヴィタル ジャパンツアー
[メンバー]オメル・アヴィタル (b)
ジェイソン・リンドナー (p)
ダニエル・フリードマン (ds)
10月26日(金) ピットイン新宿 20:00〜
10月27日(土) 武蔵野市スイングホール 17:00〜
10月29日(月) ル・クラブジャズ(京都市) 19:30〜
10月30日(火) ル・クラブジャズ/ワークショップ(京都市)
11月1日(木) ライフタイム/ワークショップ(静岡市)
11月2日(金) ライフタイム(静岡市)
11月3日(土・祝) ボディ&ソウル (南青山) 1st 20:00〜 / 2nd 21:45〜
11月4日(日) Bセカンド(水戸市)
[問い] 有限会社 オフィス・ズー 03-3418-1996
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