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Mozart (1756-1791)

CD Comp.piano Sonatas: Fazil Say

Comp.piano Sonatas: Fazil Say

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    村井 翔  |  愛知県  |  不明  |  04/January/2017

    近年のモーツァルト・ピアノソナタ全集ではメジューエワの手堅いなかに細やかな気配りを盛り込んだ演奏、アムランの洒脱で明晰な演奏などが印象的だったが(後者はまだ未完結)、これは独創的な創意、周到さの両面で断然光る素晴らしい全集。政権そのものは世俗主義をとるものの民衆レベルではイスラム原理主義の圧力が強いトルコでクラシック音楽の作曲家・演奏家として暮らしてゆくのはなかなか大変なようだが、サイ自身にとってもこれまでの活動の集大成となるような録音だろう。1997年に世に出た彼の事実上のデビュー録音で弾かれていた3曲を比べてみると、前のように無闇に装飾音を入れることはなくなり、旋律装飾も穏健でセンスのよいものになったが、解釈の骨格は全く変わっていないとも言える。たとえばイ長調K.331の第1楽章では短調変奏(第3変奏)で突然速い、アクセントの強い演奏になると次の第4変奏では遅くなるという独特の譜読みを見せるが(譜面上ではテンポ変化の指示なし)、前回録音と同じだ。彼自身の代名詞とも言える「トルコ行進曲」も前回同様、打楽器的な表情を持つ快速演奏。 調別に6枚のCDに分け、すべての曲に演奏者自身がコメントとニックネームを付けているのもユニーク。安易なニックネーム付けは御免被りたいところだが、サイの場合は演奏もコメントも面白いので、許せてしまう。イ短調K.310はかなりテンポが速いが(終楽章はさほどでもない)、激烈というよりは静かな悲しみをたたえた音楽になっていて、サイのつけたニックネームは「シューベルト」。冒頭のアポジャトゥーラを重く扱わないのは近年の解釈通り。もちろんピリオド・スタイルは十分に参照されていて、各曲とも緩徐楽章はテンポ速めだが、ハ短調K.457は速めの緩徐楽章の両端が遅いアレグロで、すこぶる濃密な表情を見せる。ニックネームは「魔王」。ゲーテの詩の三人の登場人物、子供、父親、魔王がこのソナタの楽想で表現されているのだという。なお、このセットでは演奏者の鼻唄、あるいは唸り声がそれなりの音量で(グレン・グールド程度)録音されている。演奏雑音を気にされる方は注意されたい。

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