Don Giovanni : Carsen, Barenboim / Teatro alla Scala, Mattei, Terfel, Netrebko, etc (2011 Stereo)(2DVD)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 04/December/2015
今になってこの録画がディスク化されることになったのは、ネトレプコ人気のせいかもしれないが、残念ながらここでの彼女はあまり冴えない。彼女の体重がピークだった頃の録画で、ドンナ・アンナはすでに手の内に入った役だから、歌は大過なく歌えているけれども、演技の方はいかにも体が重そうだ。しかし、他のキャストはきわめて充実。マッテイはセックス・アピール満載の「肉食系」な男ではないが、知的で、現代の誘惑者らしく孤独の影を漂わせるところが魅力的。レポレッロに「出戻り」したターフェルは硬軟自在の演唱でデモーニッシュですらある。きわめて情の深いフリットリ(最近の彼女はこのぐらい声域の低い役の方が良いようだ)、若いプロハスカも魅惑的だ。 この演出の舞台はオペラハウスそのもの。つまりカーセン演出定番の劇中劇仕様で、ドン・ジョヴァンニは劇場の中で女漁りをするという趣向なのだが・・・『メフィストーフェレ』の「古代のワルプルギスの夜」のように、カーセンが劇中劇を使う場合、その理由がよく分かることが多いのだが、今回に限っては、最後まで「無理無理感」を払拭できなかった。第1幕なら「カタログの歌」(普通は見ているだけのドンナ・エルヴィーラが積極的にからむ)、四重唱(騎士長の葬儀という設定は秀逸)、第2幕なら「薬屋の歌」(ツェルリーナのサディストぶりは見もの)、六重唱(ドン・ジョヴァンニは舞台上の「客席」から一切を見ている)など個々の場面の作り方に関しては、見るべきものが多いのだが、全体としてはこの天才演出家らしからぬハズレ演出と言わざるをえないだろう。このように演出がコケてしまうと、バレンボイムの指揮はつまらないことが多いが、今回は例外。やはり彼にとってもスカラ座のシェフとして初めて迎える開幕公演は特別だったのだろう。もちろんピリオド・スタイルなど一顧だにしない旧世代様式のモーツァルトだが、緩急のアゴーギグを駆使した、劇的なくまどりの濃い指揮は大いに聴き応えがある。4 people agree with this review
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