『オルフェオの嘆き』　アクテン＆スケルツィ・ムジカーリ、Ｄ．ヨーク

オルフェオの嘆き
アクテン＆スケルツィ・ムジカーリ

みずから竪琴を弾きながら歌う吟遊詩人オルフェウスの伝説は、昔からさまざまな作曲家の創作意欲を刺激し、多くの作品が生み出されてきました。
　現代のオルフェウスさながらに、ハープやテオルボを弾きながら歌うこともあるニコラ・アクテンは、バリトン歌手でチェンバロ奏者、ハープ奏者、リュート奏者、そして指揮者でもあるというベルギーのマルチ古楽ミュージシャン。
　今回のアルバムでは、手兵の古楽器アンサンブル「スケルツィ・ムジカーリ」を指揮して、初期イタリア・バロックの数々の作品をとりあげており、オルフェウスをめぐるさまざまな楽想を、まとめて楽しめるのが非常に興味深いところでもあります。ソプラノにバロック・オペラのスペシャリスト、デボラ・ヨークを迎えているのも豪華です。
　ちなみに「スケルツィ・ムジカーリ」という名称は、モンテヴェルディの器楽の曲集と声楽の曲集として知られるものでもあり、アクテンのこの時代の作品への情熱を象徴するかのようなアンサンブル名ともいえると思います。
　アクテンは1985年ブリュッセル生まれ。ブリュッセルととハーグの音楽院でチェンバロ、ハープ、リュートを学び、バリトン歌手としては2006年のシメイ国際バロック声楽コンクールで優勝、クイケン指揮のバッハ『マタイ受難曲』やクリスティーナ・プルハール＆ラルペッジャータなどの録音にも参加、その他、ミンコフスキ、ルセ、ヤーコプスなどとも共演し、またブリュッセル王立音楽院ではリュート科の教授を務めるなどキャリアも豊富です。
　演奏に際しては入念な研究を怠らないという彼らは、レコーディングについても熱心な取り組みをみせており、これまで制作したアルバムもパーセル、カッチーニなど力作揃いだったので、今回のアルバムも期待できるところです。（ＨＭＶ）

【収録情報】
● ルイージ・ロッシ[1597-1653]：歌劇『オルフェオとエウリディーチェの結婚』〜シンフォニア
● タルクィニオ・メールラ[1594-1665]：『それを信じる愚か者』
● エミリオ・デ・カヴァリエーリ[1550-1602]：幕間劇『ラ・ペッレグリーナ』〜フィレンツェのアリア
● ジュリオ・カッチーニ[1545-1618]：歌劇『エウリディーチェ』〜Antri ch'a miei lamenti
● ルイージ・ロッシ：歌劇『オルフェオとエウリディーチェの結婚』〜愛の住処
● クラウディオ・モンテヴェルディ[1567-1643]：歌劇『オルフェオ』〜天上のバラ
● ルイージ・ロッシ：歌劇『オルフェオとエウリディーチェの結婚』〜あなたの苦しみと
● クラウディオ・モンテヴェルディ：歌劇『オルフェオ』〜碧に茂る森よ、覚えているだろうか
● アレッサンドロ・ピッチニーニ[1566-1638]：トッカータ第8番
● クラウディオ・モンテヴェルディ：歌劇『オルフェオ』〜あなたは死んでしまったのか
● ジュリオ・カッチーニ：『新音楽集』〜ロマネスカのアリア
● ジュリオ・カッチーニ：歌劇『エウリディーチェ』〜ため息も出ず、涙も出ない
● ヤコポ・ペーリ[1561-1633]：歌劇『エウリディーチェ』〜ため息も出ず、涙も出ない
● ジュリオ・カッチーニ：『新音楽集』〜ロマネスカのアリア (Ver.2)
● ジュリオ・カッチーニ：『新音楽集』〜私の苦脳に憐れみを
● ジュリオ・カッチーニ：歌劇『エウリディーチェ』〜Funeste piagge
● アンドレア・ファルコニエーリ[1585-1656]：『調和の庭園』〜第1巻より
● ヤコポ・ペーリ：歌劇『エウリディーチェ』〜Funeste piagge
● アントニオ・サルトリオ[1630-1680]：歌劇『オルフェオ』〜Orfeo, tu dormi?
● アントニオ・サルトリオ：歌劇『オルフェオ』〜慈悲を与えて
● クラウディオ・モンテヴェルディ：歌劇『オルフェオ』〜力強い霊、恐るべき神よ
● クラウディオ・モンテヴェルディ：歌劇『オルフェオ』〜シンフォニア
● 作者不詳：歌劇『オルフェオ』〜あまりに強い愛ゆえに私を失うのか
● ルイージ・ロッシ：Les pleurs d'Orphee aillant perdu sa femme
● ステーファノ・ランディ[1614-1639]：Muove Orfeo l'empia Dite
● ルイージ・ロッシ：歌劇『オルフェオとエウリディーチェの結婚』〜アヴェルヌスを離れよ

　デボラ・ヨーク（ソプラノ）
　アンサンブル・スケルツィ・ムジカーリ（ピリオド楽器アンサンブル）
　ニコラ・アクテン（チェンバロ、ハープ、リュート、バリトン、ディレクター）

　録音時期：2013年11月
　録音場所：ベルギー、ブルージュ・ベギン会修道院博物館
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）