SACD 輸入盤

交響曲第9番 ジョナサン・ノット&バンベルク交響楽団(2SACD)

マーラー(1860-1911)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
TUDOR7162
組み枚数
:
2
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
SACD
その他
:
ハイブリッド,輸入盤

商品説明

ジョナサン・ノット&バンベルク響
マーラー交響曲第9番
SACD2枚組1枚価格!


マーラー9番と同時代の傑作絵画、エゴン・シーレによる『4本の樹』をあしらったジャケットも印象的なジョナサン・ノット&バンベルク響の力作の登場。
 今回もこれまで同様、ヴァイオリン両翼型の楽器配置により各パートを明晰に響かせ、作品の情報を細大漏らさず表現しようという方針は堅持されています。
 ただし作品の性格が、後期ロマン派の終焉であり近現代音楽への入り口でもあるという複雑な内容を持ったものであることを反映してか、ノットも唸り声まであげるほどの白熱ぶりで、じっくり細部まで描き抜くために不可欠なテンポ設定と相まって、大変聴きごたえのある演奏が展開されることとなりました。
 第1楽章は実測29分38秒。冒頭、ゆったりしたテンポと透明で精妙な響きの中から萌芽する主題の美しい佇まいは、ジュリーニの名盤を想起させるほど。しかも対向配置&優秀録音のもたらす非常に立体的な各素材の交錯は、呈示部からかつてないほどの情報量を引き出していて面白いことこの上なし。展開部も同様ですが、こちらはより近現代音楽への接近をうかがわせる要素が強い分、こうした情報量重視のアプローチが功を奏しており、ふだん経過句的に聴こえてしまう部分も、ここでは意味深い存在感を主張するかのようです。クライマックス(17:53- )も十分な迫力で描かれ、劇的な起伏も申し分ありません。
 第2楽章は実測15分31秒。快活な演奏で、レントラー的な要素よりも、この交響曲のほかの部分と共有される素材とその変容に注目させられる立体感の強さが印象的。
 第3楽章は実測12分39秒。錯綜とした音楽をいっそう複雑に響かせるかのような超絶バランス構築が素晴らしく、あまりの目まぐるしさに聴いていて軽い疲労するら覚えるほどですが、エピソード・ブロックでの思い切った表情変化の妙もあり、聴き応えは最高です。
 第4楽章は実測25分11秒。過激な第3楽章コーダのあとだと、実に美しいです。ジャケットのエゴン・シーレ『4本の樹』は、透明で哀愁に満ちた美しい絵画ですが、この楽章の演奏の透明な美しさと哀愁、そして劇的なクライマックスの交錯する様子は、シーレの『4本の樹』にも一脈通じる美しさが感じられます。シーレは樹に家族への思いを込めましたが、マーラーもここで、これまでの家族とも言うべき過去の作品の徹底した引用をおこない、技法的にも集大成した上で、次代の音楽への道を切り開くかのような遠くまで見通せるパースペクティヴを作品に持ち込んだのです。ジョナサン・ノットが鍛え上げたバンベルク交響楽団のメンバーは、終始一貫して共感に満ちた演奏を精度高くおこなっていますが、そのことはこの楽章のコーダ、編成の薄い室内楽的な部分でもよくわかります。
 2003年録音の第5番に始まったノット&バンベルクのマーラー・シリーズですが、今回の第9番は、同コンビによる過去最高の水準に達した演奏&録音として、ファンには見逃せない内容となっています。

 ジョナサン・ノットは1962年生まれのイギリスの指揮者。2000年1月にバンベルク交響楽団の音楽監督に就任するまでは、ヴィースバーデンの州立歌劇場、そして市の音楽監督を務めるなど、ドイツの伝統的な指揮者の典型ともいえる“カペルマイスター”的なキャリアを積んできました。一方で彼は、現代音楽も得意としており、アンサンブル・アンテルコンタンポランの首席客演指揮者として、多くの新作初演を手がけてきたほか、あるテーマのもと、クラシックと現代音楽をカップリングしたコンサートを制作するなど、そのユニークな姿勢は幅広い聴衆から支持されています。
 レコーディングにもノットの多彩な才能は反映されており、これまでにベルリン・フィルを指揮したリゲティの2枚の作品集(Teldec)や、アンサンブル・アンテルコンタンポランとのエマヌエル・ヌネス作品集(Accord)、ヘルムート・ラッヘンマン作品集(Kairos)、ジョン・アダムズのDVD(ARTHAUS)、クセナキス、ベリオほかの作品集(BIS)、ワイル、ヴェレス、シュテファン作品集(PAN)といった現代作品や、バンベルク交響楽団とのブルックナーの交響曲第3番、シューベルト交響曲集、シューベルト・エピローグ(現代作曲家がシューベルトを題材に編曲・作曲したもの)、ヤナーチェク、ストラヴィンスキーなどがリリースされています。

 SACDながら通常のCDと同じ価格というのも嬉しいところ。しかも、通常のCDプレイヤーでも再生可能なハイブリッド・タイプです。なお、SACDレイヤーには2ch音声と5.1ch音声の2種類が収録され、オリジナル・マルチチャンネル・レコーディングされた高音質録音をそのままのクオリティで味わうことが可能です。

【収録情報】
マーラー:交響曲第9番ニ長調 [82:59]
 第1楽章 アンダンテ・コモド [29:38]
 第2楽章 ゆっくりとしたレントラーのテンポで [15:31]
 第3楽章 ロンド ブレルスケ [12:39]
 第4楽章 アダージョ [25:11]
 バンベルク交響楽団
 ジョナサン・ノット(指揮)

 録音時期:2008年9月15-19日
 録音場所:バンベルク、ヨゼフ・カイルベルト・ザール
 録音方式:デジタル(セッション)
 SACD Hybrid
 CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.1 SURROUND

収録曲   

ディスク   1

  • 01. Mahler: Symphonie No. 9: I. Andante comodo [29:46]
  • 02. II. Im Tempo eines gemachlichen Landlers [15:38]

ディスク   2

  • 01. III. Rondo-Burleske [12:47]
  • 02. IV. Adagio [25:18]

総合評価

★
★
★
★
★

4.5

★
★
★
★
★
 
7
★
★
★
★
☆
 
1
★
★
★
☆
☆
 
3
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
ステキな演奏です。弓からあがる松脂の粉、...

投稿日:2015/01/10 (土)

ステキな演奏です。弓からあがる松脂の粉、管楽器奏者の息遣い、スティックの動き、それらが感じ取れ、さらに細部にまでこだわって、感情に訴えかける素晴らしい演奏です。 アジアなどエスニック料理を毎日食べ続けて、久々に和食を食べた人には、その味はわからないですよね。

nob さん | 海外 | 不明

4
★
★
★
☆
☆
繰り返し聞いてみましたが、どうにも心に訴...

投稿日:2010/10/31 (日)

繰り返し聞いてみましたが、どうにも心に訴えかけてくるもののない、残念な結果に終わったディスクかなあ、と思いました。オーケストラも頑張っていますし、指揮者もよく研究してアプローチしているとは思われるのですけれど、やっぱり、それ以上に、この曲への想い・この曲から生まれてくる情感、そういうものが乏しい気がするのですよね。美しいというだけではダメで、深さかないしは激しさを表現してほしかったなあ。

ほんず内閣総理大臣 さん | 北海道 | 不明

1
★
★
★
★
★
ノットの音楽はとにかく細かい。徹底して細...

投稿日:2010/07/28 (水)

ノットの音楽はとにかく細かい。徹底して細部に向かっている。マーラーの交響曲は、世界で鳴り響くあらゆる音風景から成り立っている要素があって、かなり騒がしい。外部から圧力がかかり、様式が歪む。交響曲というよりは詩篇的で動的な音楽のようにも思える(そういう演奏が多いけど)。そういったものから一旦音楽を隔離し、ゆったりとしたテンポでひたすら精密にクールに展開する。そこには交響曲のロジックが浮かび上がっている。誤解の無いように断っておくが、私はノットの演奏で「マーラーを聴きたい」とは思っていない。「マーラーをどう演奏するか」を聴きたい。私見で申し訳ないが、ノットのマーラーは精密描写によるロジックと形の世界だ。このチクルスは骨格だけの交響曲である5番から始まり、これまで、交響曲のカテゴリーで分析可能で理解できるものから進行していると思う。この9番も歴代の演奏と比較すると相当に変だ。物語としての間、とか広がりとか、は排除され、音が主張してこない。ただ音同士が関係しながら進行する。まるでハイドンのようなコテコテの交響曲。この演奏で聴くと純粋な交響曲として9番は凄いなあと思うし、形式感を重視する聴き手だったら最もシックリ来る演奏ではないだろうか?さて、様式マニア(こんな人いるのかなあ(笑))にとって、いよいよこれからが本当の楽しみ。ノットは明らかに交響曲の形にこだわっていると思う。果たして、解決が失敗する反則の交響曲6番の、最後の音をどう鳴らすのか?交響曲の死亡通知書とも言われている7番はどう診断するのか?大地の歌が何故交響曲なのか、これも明らかにしてくれるのだろうか?誰が演奏しても交響的組曲になってしまう3番の構成に論理的な解答を出してくれすのだろうか?マーラーの交響曲に交響曲の論理と手法を徹底的に押し付けて、果たして何が聴こえてくるのか、ノットのマーラーは今後が楽しみ、その手法が半端でなくしっかりしているので期待大です。初めてノットを聴いてみたい人にもこの9番はお薦めです。

蝉の抜殻 さん | 神奈川県 | 不明

9

人物・団体紹介

人物・団体ページへ

マーラー(1860-1911)

1860年:オーストリア領ボヘミア、イーグラウ近郊のカリシュト村で、グスタフ・マーラー誕生。 1875年:ウィーン楽友協会音楽院に入学。 1877年:ウィーン大学にてアントン・ブルックナーの対位法の講義を受講。 1883年:カッセル王立劇場の副指揮者に就任。 1885年:『さすらう若人の歌』を完成。プラハのドイツ劇場の

プロフィール詳細へ

マーラー(1860-1911)に関連するトピックス

交響曲 に関連する商品情報

おすすめの商品