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トップ > My ページ > u.f.o.313 さんのレビュー一覧
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0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2021/06/17
第二次世界大戦中のアウシュヴィッツ収容所は20世紀の負の遺産として、あまりにも有名である。ただ、そこで自らがユダヤ人でありながらも、ナチスの虐殺行為システムの歯車のひとつとして働かされていたゾンダーコマンドという存在について知る者は少ないと思う。実際、虐殺に加担はしなくとも、虐殺された同胞の死体処理などを感傷に暮れる暇もなく日々させられ、ちょっとでも粗相をすれば、自らの命も危うくなる。彼らはそんな毎日を送っているわけなので、ストレスで感情も消え失せてしまったに違いない。本作はそんな精神状態のゾンダーコマンドを主人公にしていて、見る側に彼らと同様のストレス状態を与えるような撮影スタイルがとられている。人は極限状態が常態化すると心理的な圧迫から、視野が狭くなるという話を聞いたことがある。本作ではそれに似た効果を作り出すために、画面のアスペクト比を通常の映画よりも狭くし、また狭い範囲にしかピントが合わないようなレンズを使って撮影をしている。そして、その「狭さ」が映画の進行と合わせてもっと深い次元へと向かっていく。空間的な「視野」は狭くなることで、個人的な「主観」へと移行し、更には「信念(思い込み)」、「願望」、「錯覚」へと狭まっていく…。 数あるナチス系映画のなかでも、その切り口がとてもおもしろく、新しいスタイルのリアリズムも感じる秀作だ。
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0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2021/06/16
今では、もう昔のことのようにとらわれがちだが、世の中でエイズ(HIV)というものが社会問題になり出したのは1980年代中ごろで、この映画のストーリーが当時投げかけた問題は大きな関心事でもあった。人間が根本的にとても大切にしている「愛」と「尊厳」について深く問う内容となっている本作は、それまでHIV患者に対して社会が持っていた偏見を減らすことに大きく寄与したと思う。本編で何度見ても涙が止まらなくなるのが、主人公でもある名優トム・ハンクスがオペラ「アンドレア・シェニエ」のマッダレーナのアリアのレコードをかけ、涙しながら、弁護士役のデンゼル・ワシントンと会話をするシーン。トム・ハンクスが出演した映画には名作が多いが、私にとってはこの映画が一番深く心に刻まれている。
あまりにも崇高で、科学的であり、スピリチュアルなので、腹筋が崩壊しまくって機能しなくなるくらいに笑います。そもそも、名優ビル・ナイが出ている段階で、どれだけシュールでブラック・ジョークが効いているか予想はつくと思います。永遠に自分の中では名作です。
坂本龍一オペラ 『LIFE』に出演したことでも知られるドイツの代表的な現代舞踏家ピナ・バウシュのドキュメンタリー映画。ドキュメンタリー映画と言っても舞踏家を扱うので、本編でもダンス場面は当然多くなる。ただ、この人の場合はただの舞踏家ではなく、いわゆるコンテンポラリーダンスの領域をも超えてしまうようなドイツ表現主義スピリットをもった人物なので、2次元的な映像では枠にはまりきらないと、監督のヴィム・ヴェンダースは考えていたのかもしれない。そういうことで、本作は元々3D映像での撮影となっている。しかしながら、当のピナ・バウシュは映画製作の初期段階で急死ししてしまったので、本作はまるで、ブルース・リーの「死亡遊戯」のような形で制作された。ただ、作中で展開されるダンス・コンポジションの躍動や空間美の中に彼女の人生や彼女が表現したかった人間の内面の肌触りが感じとれるという点において、とても貴重な作品となっていると私は思う。ヴィム・ヴェンダースをはじめ、この映画の完成に尽力したピナが生前率いてきた舞踏団のみなさんにも感謝したい。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2021/06/15
これほど不可解なストーリーの海外ドラマが日本でも社会現象的にヒットしたことこそ、最大の謎だとも言える。これを見た多くの人はきっとそう思っていることだろう。いったいこれの何が我々を惹き付けたのか。 このドラマの開始より遡ること数年前に公開された自身の代表作のひとつでもある「ブルー・ベルベット」でデビッド・リンチはカルト的な人気を取り戻しつつあった。その「ブルー・ベルベット」でも顕著になっていた、彼独特の様式美がテレビ基準でお披露目されたのが「ツインピークス」でもある。特に序章にあたるパイロット版の完成度は非常に高い。アメコミに登場するようなハッキリとした、きれいな顔立ちのキャラクターが次々と登場し、1950年代のアメリカンドリームの時代をそのまま引きずったような片田舎のコミュニティの中でサスペンスタッチの青春ドラマが恥ずかしいくらいに展開される。よくよく考えると、実はこの序章と劇場版の「ローラ・パーマー最後の7日間」だけを見れば、「ツインピークス」の大筋を見たというに等しいと考えられるのだが、それでもなお本編の29章全部をくまなくマニア的に見るのが楽しいということが、この作品のヒットの答えでもあるように思う。デビッド・リンチの作品の多くは始まりと終わりを一本の線で繋げてしまえば、事は単純なのだが、大方の場合、終わりに辿り着くまでの超絶に入り組んだあみだくじのような過程に翻弄されてなんぼなので、本作も類に違わずそういう作品なのだというわけだ。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。
フランスのSF系漫画家メビウス(ジャン・ジロー)と「風の谷のナウシカ」の接点を遡ると、この「ファンタスティック・プラネット」が存在していたと感じる人は多いと思う。個人的にとても好きなのは、本編中に登場する「クリスタル季」にクリスタルが自然発生しながら、リアルなクリスタル音をキュルキュルと鳴らすシーンだ。クリスタルが砕け散る感じは「風の谷のナウシカ」の腐海の底に降り積もる砂の元となる結晶が砕けるイメージに似ている。 智慧、性、生命…そして、立場逆転のアイロニー。いかにもフランスっぽいテーマが根底に流れるが、ジブリ作品や「進撃の巨人」などが好きな人にもぜひ見ていただきたい。単にマニアックな作品として埋もれてしまうのは、あまりにももったいないので。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2021/05/21
誰もが知っている山本リンダの曲といえば「どうにもとまらない」だと思うが、この曲に代表されるような彼女のセクシーで大胆なダンスを駆使したヒット曲のほとんどは阿久悠・都倉俊一コンビによるものだ。そしてこのコンビが山本リンダから離れてからほどなくして、あのピンクレディーがこのコンビによって世に送り出された。山本リンダを作り上げたコンビの経験がピンクレディーにつながったのだと思いながら、このベスト盤を聴くと実に感慨深いものがある。
このSACDシリーズのうち「太田裕美 Singles 1974〜1978」は太田裕美のアイドル時代を網羅していて、一般的に有名な曲は、そっちの方に多く収録されている印象だが、通は断然、こちらの「太田裕美 Singles 1978〜2001」を好む。特に1979年〜80年頃の楽曲については、かなり成熟したニューミュージックとしての仕上がりをみせていて、いずれも名曲ばかりなのである。実にB面の曲も捨て曲なしという素晴らしさだ。当時はシティポップの大流行が足音を立てて駆け寄って来ていた時期でもあるので、太田裕美の曲は地味に映っていたかもしれない。でも、ぜひ、本作に収録の名曲の数々を多くの方に発見していただきたい。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2021/05/21
デビュー当初はポスト中森明菜と呼ばれ、マドンナのようなセクシー路線のアイドル、ハードロックバンド、そしてミュージカルからジャズへと、まるで音楽の川に乗って世界を巡るような人生を歩んだ本田美奈子。本作では、その流れの全てを追体験できる。個人的に一番好きな曲はハードロック時代のMinako with Wild Cats名義で出したファーストアルバム「WILD CATS」の中の「カシスの実」だ。ロックテイストながら、メロディアスでメランコリックな曲調は本田美奈子の強くて艶のある歌唱力を際立たせている。
初期のゴダイゴはミッキー吉野のセンスとシンセの力もあって、プログレからサントラへと音楽性の幅を広げていた。そんなときに当時のオリエンタル・ブームの中、彼らは大ヒットしたドラマ「西遊記」の音楽を担当することになり、日本の歌謡界でのブレイクを果たしてしまう。以降、ゴダイゴはどんどんポップな曲を歌うポップバンドになって行ってしまう。本作は確かにゴダイゴがポップ化するきっかけを作ったヒット作ではあるのだが、本来のプログレの土台に見事にポップ要素を加えた内容にまとまっていて、そのバランスが絶妙な作品だと私は思っている。自分のなかではベスト・オブ・ゴダイゴだ。
小室サウンドのすごいところは、どの曲を誰が聴いても「これは小室の曲だ」とわかるというところだ。かつて、誰かが渡辺美里の「My Revolution」が小室サウンドの最高傑作で美しさの完成形とまで言っていたのをよく覚えているが、以後、小室氏はそのスタイルを維持しながら、あらゆるジャンルの楽曲プロデュースを開始する。そして、globeという自身のグループで絶頂期と円熟期を迎えることとなる。日本の音楽業界のバブル時代ともいえた1990年代後半、小室氏は経済的にも環境的にもなんでもできたし、なにをやっても成功した。そこで生み出された音楽は、どメジャーなメガヒット曲ながら、どこか少しずつ革新性があった。そして、globeはまさにその最先端を走っていた。本作はglobeが絶頂期にあったときにリリースされたベスト盤で、そうであるがゆえのglobeの当時の評価と未来的観測を反映した曲のラインアップとなっている。20世紀末にJ-POPが何処を目指したかったのか、その願望を知るにはベストなアルバムと言える。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2021/05/18
本作のオリジナル盤が発売された頃は、世良公則&ツイストがアイドル扱いをされていた頃だったが、自分はそれを横目に、このレコードを聞き倒して、路地裏の野良犬気分を楽しんでいたのをよく覚えている。アルバム全体としては、フォークと70年代和製ロックを基軸としていてノスタルジックな印象ではあるものの、実は当時の化粧品のCMに採用され大ヒットしたメジャーな曲も入っていれば、ポストパンクなダークさを秘めた曲も含まれていて、アングラとメジャーの綱引きの中でのギリギリのラインを行っていたアルバムであったようにも思えるのだ。しかも、どの楽曲も心にベットリと残る感じがあって、中毒性もかなりのものだった。自分にとっては、絶対に忘れられないアルバムのひとつでもあるので、今回のリリースは、実はとても嬉しい。
日本のアーティストが欧米の音楽に影響を受けて、それっぽい音楽を展開するということはいつの時代でもあったことで、それは仕方のないことだと思う。ただ、LOVE PSYCHEDELICOの一番すごいところは、英語と日本語をさもひとつの新しい言語のようにミックスして、かっこよく聴かせ、なおかつそれを日本のインディーではなくメジャーのチャートでヒットさせたということだ。60年代〜70年代のロックといっても、サイケ寄りのロックを耳障りのいいポップミュージックに仕上げたことも、大きかったと思う。今では秋元系アイドルの櫻坂46でさえ、サイケなポップナンバーをシングル(「BAN」内カップリング曲の「Microscope」)に入れたりしているのだから、20年以上の歳月を経て、LOVE PSYCHEDELICOが日本のポップミュージック界にもたらした影響は小さくはないはずだと信じている。
まさにY.M.O.が世の中を席巻していた時期に、テクノポップと無国籍音楽のチャンプルーがSandiiというミューズを媒介して花開いたような作品。プロデューサーである細野晴臣がこのチャンプルーをとにかく楽しんで作っていたのが目に浮かぶほど…すばらしい作品である。なお、本作収録の「Drip Dry Eyes」は当初、高橋幸宏がSandiiに提供した曲という印象だったが、翌年発売になった彼のソロアルバム「NEUROMANTIC」にも収録されたため、彼のソロ曲という印象の方が強くなった。ただ、どちらのバージョンも素晴らしい出来なのは言うまでもないが。いずれにせよ、Y.M.O.ファンならマストアイテムであるのは間違いない。
自分の人生のなかで、こんなに何度も同じ映画を映画館に見に行った経験はない。それくらい、この映画を映画館で見る価値があると思っていた。 欅坂46というグループは秋元系グループのひとつではあったのだけれども、ファンを楽しませるという従来のアイドルが持つべきベクトルをいつしかどこかへしまってしまい、代わりに誰もが持っている心の暗部に光を照らすために自己崩壊への道を選び歩んで行った、特殊なグループでもあったように思う。だからこそなのか、メンバー1人1人があまりにも繊細で、あまりにも正直であることをこの映画を通して知り、ショックさえ受けてしまった。本ドキュメンタリーでは、そんな繊細な心の糸が絡み合いながらも、圧倒的なライブパフォーマンスが容赦なく展開される様が編纂されている。どうしてあんなにもか弱い彼女たちがあんなパフォーマンスをやり遂げることができたのだろうか…。そのパワーには本当に圧倒されてしまう。 この映画はロードショー期間中、最新鋭の音響システムを持つ劇場でこぞって上映された。そこまでして彼女たちのライブ映像をこの映画で見せなくてはならなかったのは、きっと彼女たちの全てがそこに集約されていたことを観客に納得させないといけなかったからなのだと思う。そう、ライブパフォーマンスにしか、全ての真髄が存在しないということを伝えるためだったのだと思う。私はそれを実際見て、まさに彼女たちの内外で渦巻いていた全てのことが、パフォーマンスのパワーという形で爆発していたと感じた。そして映画館に何度も通い、この爆発に毎回涙した。 欅坂46がなぜ「笑わないアイドル」と呼ばれたのか、なぜ絶頂期で終わらなければならなかったのか…その答え合わせをする意味はもはやなく、ただ彼女たちのパフォーマンスを体感して納得するしかない。本作を見終えたとき、そんな陰道を渡されたような気分になった。 なお、映画館ほどの迫力とまではいかないにしても、本製品は音響的にも最大限に凝った作りになっているので、劇場でこれを見られなかった人でも多少は彼女たちのパフォーマンスの重みを体感できるかもしれない。でも、劇場での再上映を願ってやまないのは事実だ。
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