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Mick H. さんのレビュー一覧 

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     2014/01/29

    79年11月に発表された彼らの4枚目のスタジオアルバム。
    初めて聴いたのは高校1年生の時だから81年。
    通学電車の中で友人が輸入盤を貸してくれた。
    当時の輸入盤LPは中袋が歌詞カードになっており、盤のAB面がどちらなのかよくわからず、間違えてBurning Skyから聴いてしまった…。
    これがWellerとの出会いで、かれこれ既に33年。
    永いもんだ…。

    当時の彼らの活動を振り返ると、79年3月のStrange Town、8月のWhen Your’re Young、そしてこのアルバムに1週間の先行発売となったThe Eaton Riflesと意欲的でかつ秀逸なシングルを続々と発表している時期になる。
    恐らくWellerは前作All Mod Consで掴んだ何かを、自らのアイデンティティに昇華する術を身に付けたのであろう。
    このアルバムにも一連の流れを組んだ優れた曲が並んでいる。

    有名な話ではあるが、当初、Wellerはこのアルバムをコンセプトアルバム化しようとしていたそうだ。
    その名残は、Thick As Thieves、Little Boy Soldiers、Wasteland、そしてBurning Skyといった曲の歌詞に見て取ることができる。
    しかし、結局そのアイディアを成就させることができず、計画はとん挫。
    その他の曲を加えてフルアルバムとなるわけだが、残念なことに楽曲が足りない。
    結果として、When Your’re YoungのB面としてリリース済みだったFoxtonのSmithers-Jonesのアレンジを変えて録音し、さらには今さらながらのHeat Waveを慌てて突っ込むこととなったという流れらしい。
    それでもアルバムとしての完成度は非常に高く、様々なメディアから高評価を得ており、UKアルバムチャートでも彼らのそれまでの最高位である4位につけている。

    演奏面ではFoxtonが自分のベーススタイルを完全に確立したアルバムと言ってもいいのではないか。
    また、コンセプトアルバムを目指していただけに、ドラマティックな曲展開も多いことから、Wellerのギターアレンジも前作に比して緻密かつ独創性が高くなっている。難しいことはしていないのだが、Little Boy Soldiersのギターは賞賛に値する。
    加えて、Wastelandでのリコーダーや随所で聴くことのできるアコギ、そして極めつけはSmithers-Jonesのストリングスと楽器に関してもかなり意欲的な取組の跡が見受けられる(でも、Smithers-Jonesはシングルアレンジの方が好き!)。

    転換点となった前作から1年余りで、さらにこれだけの進化を見せたわけだが、ほぼ同時期にThe ClashもLondon Callingという名盤を発表していることは興味深い。
    77年前後に活躍したパンクバンドがどんどん消えていった70年代末期のポストパンク時代には、一皮むけたオリジナリティを掴んだ者たちだけが生き残った。
    The Jam、Wellerのみならず、UKロックの歴史を振り返るうえでも非常に意義深い1枚と考える。

    DAKSのCMを見て、「誰や、このおっさん…?」と思った若者たちにも、ぜひお試しいただきたい。

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