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arsenal4 さんのレビュー一覧 

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     2009/06/26

    北欧のいちハード・ロック・バンドとしてデビューしながら、3rd『ADULT ORIENTATION』にて、その名の通り堂々たるAOR宣言をした彼ら。それは自らの持つメロディセンスに対する絶対の自信があってのことだろう。どんなにメロディアスなバンドであっても、若者に馴染みの薄いAORというジャンルを名乗るのは、誰もが避けてきた道であるにもかかわらず。結果としてあの作品は、一部のメロディ愛好家にとって十年に一枚レベルの名盤となった。



    しかし彼らに届いた評判はそうではなかったようで、その後の4th『HEAR-SAY』で、彼らはハードな音像とともに再びハード・ロック・バンドとしてのアイデンティティを取り戻す。だが結果としてメロディは犠牲となり、楽曲の質は明らかに落ちていた。ファンはこの作品で、彼らの音楽に見切りをつけたとしても不思議はないほどに。もう新作は出ないのではないかとさえ思われた。



    それにしても見事な立ち直りぶりである。その後につづく5枚目にあたる本作は、身も蓋もなく言ってしまえば、前作と前々作の中間に位置する音楽性。だが3rdに通ずるメロディの質が戻ってきているのが、なによりも嬉しい。



    彼らのメロディの本質にあるのは、1stでもカバーしていたアメリカのBOSTON譲りの、スケールの大きな哀感である。BOSTONと言えば、1stだけでも1800万枚を売り上げている怪物であるにもかかわらず、後継者がほとんど見当たらないという珍しいアーティストでもある。影響元として、JOURNEYやKANSASの名を挙げるアーティストは多いが、BOSTONを挙げる者は極端に少ない。その独特の感性が、北欧はスウェーデン出身の彼らに響き、動かしたというのが面白い。



    とはいえ本作は、もちろんあの奇跡的な3rdの出来には届いていない。あのらせん階段をぐるぐると昇りつめてゆくようなメロディは、AOR的なゆったりしたリズムの上でこそ生きていた。それに比べると本作に収められた楽曲は、よりストレートで、最後のひとひねりが足りないと感じる。



    3rdで打ち出した彼らの本領は、メロディに次ぐメロディの波状(=過剰)攻撃であり、そこにはメロディの繋ぎ部分に若干の違和感というか遊びというか、いくらかの無理があるのがむしろフックになって耳を惹いた。本作に流れている旋律のスムーズさは、楽曲構成力の向上とも取れるが、独特の臭みが減少しているという寂しさ物足りなさもある。だが根本的なメロディの力は、3rdに匹敵するレベルまで取り戻せている。



    普通に良い曲はもっと評価されていい。スタイル優先のセンセーショナリズムに対する評価もあっていいが、こういうアーティストが正当な評価を得られる音楽シーンを望む。

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     2009/06/26

    ギタリスト交代の影響か、これまでに比べ、メタル色がさらに強まっている。どの曲もイントロのギター・フレーズが強化され、グッと胸ぐらを掴んでくる。新ギタリストには、どこかHM期のゲイリー・ムーアのような、民族音楽チックな素養があるようだ。特にMETALLICA風イントロダクション@に続くタイトル曲Aの冒頭フレーズなど、『WILD FRONTIER』期のゲイリーを彷彿とさせる。同曲のギター・ソロはマイケル・シェンカー的でもある。いずれにしろ相当にギターの旋律が増量されており、まったく音楽的方向性は違うが、MEGADETHにマーティ・フリードマンが加入したときのような化学反応が生まれている。



    全体を覆うグルーヴ感は、ロックとメタルのちょうど中間に位置するもので、質感としては『METALLICA(通称ブラック・アルバム)』〜『RELOAD』期のMETALLICAに近づいている。となるとNICKELBACKあたりのヘヴィ・ロック勢も視野に入ってくるわけで、彼らが本作をもってアメリカへ乗り込むという戦略は、非常にベストなタイミングであるように思う。これを機に、一気にメイン・ストリームへと駆け上がる可能性もある。



    しかし外見的イメージや精神性も合わせて考えていくと、当面の彼らの目標地点は、MOTLEY CRUEの『DR.FEELGOOD』だろう。あの作品の音作りに衝撃を受けたMETALLICAが、そのプロデュースを担当したボブ・ロックを起用して作りあげたのがブラック・アルバムであると言われており、つまり『DR.FEELGOOD』とはまさに、ロックとメタルの架け橋となった作品であった。それは「L.A.メタル」とは言われながらも、音楽的にはメタルというよりはロックであったMOTLEY CRUEが、最もメタルに接近した作品であり、一方ではまたメタルの権化と目されていたMETALLICAが、初めてロックのグルーヴを大胆に導入したブラック・アルバムにおいて多大な影響を受けた作品でもある。



    このHARDCORE SUPERSTARが目指しているのも、まさしく「ロックとメタルの架け橋」としての役割であるというのが、本作を聴くとよくわかる。



    クオリティ的にはセルフ・タイトルを冠した前々作にこそ及ばないが、やや行き詰まりを感じさせた前作よりはメリハリが利いており、楽曲の質も向上している。ここに何曲か、北欧R&R勢お得意の爆走曲が加わればさらに全体が引き締まったような気もするが、例によって対アメリカ向けには不要かもしれない。あとはやはり、劇的なバラードが欲しい。



    アメリカでのブレイクを本格的に狙うならば、AVENGED SEVENFOLDあたりのサポートとして全米を回るプランを立てられれば、道は開けてくるかもしれない。

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     2009/06/26

    杉さまの流し目をナメてはいけない。それは単におひねり片手の女性ファンを虜にするだけの小道具などでは断じてない。それは相手を傷つける武器ではなく、鋭くはあるが常に圧倒的やさしさを内包する。
    「君は人のために死ねるか」とは、あまりにまっすぐで鋭利すぎる問いだが、その中身は殉職した同僚への思いやりに溢れた鎮魂歌。だが杉はもちろん、温かいと同時にいつも鋭い。極度に掴まえづらい語りのテンポと、悪趣味スレスレの変拍子によるスリリングな曲展開は、他の誰にも歌えぬ杉だけの歌を成立させている。カラオケで試そうものなら、あまりにプログレッシヴな展開にすぐさま自分の現在地を見失い、確実に大怪我をする地雷曲。
    しかし驚くべきことに、付属DVDに収録されたライヴ映像において、杉は苦もなく、むしろさらに流麗にこの難曲を征服してみせる。熱いメッセージを白スーツでさらりと歌い上げるその姿に、クールでありながら粘着力のある流し目の本質を見る。

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     2009/06/26

    パンク、エモ、メタル、近いようで遠い3ジャンルの配合比率が見事。
    さらにはダンス・ビートの導入など、リズム面の工夫も効いている。
    メロディにはパンク的な爽快感の奥にニュー・ウェーブ由来と思しきゴス風味もあって、UKのMUSEあたりに近い深みも。
    いわゆるごった煮からのおいしいとこ取りでありながら、各曲をほぼきっかり3分でまとめあげてきたその構成力も注目に値する。
    ともすればいやらしくなりがちなリズム面の遊びもアレンジ面の小技も、キャッチーな歌メロを軸にしているからこそ生きてくる。
    どの曲も旋律が似ているのは、同じくスクリーモ寄りのMY CHEMICAL ROMANCEあたりとも共通の問題点として残るが、曲が短く飽きる暇がないのが功を奏している。
    パンク色の強かった1stに比べメロディの質が格段に向上。メンバーの趣味の良さが光る飛躍の一枚。

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