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0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2021/04/16
日本のミステリ史に大革命を起こした第一回メフィスト賞受賞者清涼院流水が、帯の売り文句によれば「心を入れ換え」て発表した、片割れの「ブラックオアホワイト」とほぼ同時刊行された作品。 デビュー作「コズミック 世紀末探偵神話」をもじった「コズミック・ゼロ」というタイトルに、流水’大’説の新たな伝説の幕開けを期待したが、売り上げがさほどでもなかったかネタが尽きたか、これ以降は京大出身のインテリジェンスを発揮した英語の教科書みたいなやつやら急逝して流行したマイケルジャクソンを扱った一般読者向けの作品やら、ミステリとは無関係の伝説の作家らしからぬ作品を発表し少し失望したが、文庫化されるくらいにはそこそこ売れているようなので、お金が入ったことは喜ばしく思う。 装丁とさわりの文章から、流水’大’説の濃いのだけれど何故か薄味に終わるという、壁に小説を投げつけられた作家おそらくナンバーワンという作風を和らげ、マゾヒスティックな変人読者だけでなく良い意味で広く一般向けの煮詰めた物語であろうと予想したが、流水大説らしさも確実に残しつつ、完成された堅実な物語は面白かった。 首を傾げる読者はいても焚書にされるような目に合う作品ではない。 分かってての批判はもちろんありだが、作品全否定の、本屋で知らない作家ばかりのなか帯やポップやベストセラーの宣伝に惹かれて読む本を選んでるレベルの層の人は、東浩紀「動物化するポストモダン」でまず自分の見識を深めましょう。 ちなみに清涼院流水の名は舞城王太郎の作品にもたまに登場するが、現代のメタミステリやアンチミステリの源流の一つを知りたいならコズミックは読んでみてもいいかも。 あのたいく…、もとい遠大な物語を完成させる筆体力と爆弾的トリックを書ききる力は称賛に値する。 風呂敷の大きさと広げ方は天才的。 あとは畳み方を覚えれば完璧だ。
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まず日本の本格ミステリの現在の流行を法月綸太郎の解説ばりに朗々とメタ意識をもったワトソン役に語らせ、 推理をしない名探偵をテーマに、ミステリ系のそれぞれ異なったジャンルの物語を連作短編形式で展開していくのだが、 女子高生探偵と女子高生ワトソンは常にメタ視点でいるため残念ながらどの話も緊張感は無い。 なので展開の間を埋めるのはミステリのメタネタと二人の掛け合いの笑い要素なのだが、これが少々つらい。 ラノベになれた若者の感性についていけてないだけなのかもしれないが。 「メタフィクションをやるのは簡単だが落とすのは難しい」というのは麻耶雄嵩の言で、彼の作品や舞城王太郎の作品のような強烈な個性を持ったキャラクターがいないとこういう系統は難しいのかもしれない。 推理のロジックも苦しい気がする。 ラストのトリックは確かにユニークで、これこそこの作品の核なのだと思うが、これまで誰も思い付かなかったかというと、 そうでもない気もする。 ただこれはデビュー作であって、これからの成長如何によっては楽しみな作家になるかもしれない。
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