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Review List of うーつん 

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  • 2 people agree with this review
     2013/02/23

     たしかルチア・ポップが亡くなって追悼盤として発売された時に購入。恥ずかしながら「クライバーの薔薇の騎士が聴けるから」という理由で買ったのだった。 が、聴き続けるうちにクライバーを聴くための、という印象は薄くなり、ルチア・ポップという人柄を聴く一枚であることに気づかされた。優しく明るくそして気取らない優雅さ・・・彼女の歌をそれほど知っているわけではないが、この一枚を聴く間にそのような印象で気持ちよく聴き終わることができる。一服の温かいお茶を喫するようなCDとしておすすめ。

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     2013/02/23

     冒頭の「ジャジャジャジャーン」から中身が詰まっており惹きこまれてしまう。音の芯が鋼のような硬さでありながらビュンビュンしなっているような印象を持つ。たしかに時間的にはあっという間に終わる早さだが、せかせかした感じは持たない。むしろ「これでもか」とたたみかけてくるような緊迫感の連続。これが最終楽章まで続く。最近は5&7番でカップリングされているが、5番だけで聴いた方が良いと思う。続けて7番を聴こうという気にならない濃さなのだ。    この第5交響曲、フルトヴェングラーなら「運命」交響曲として再現するだろうし、トスカニーニなら余計なストーリーは盛り込まず「Allegro con brio」としての楽曲になるのだろう。つまり、ドラマと捉えるか、楽譜の再現と捉えるかで好みが別れてしまう曲だと思う。   しかし、クライバーの当盤は「ハ短調」の曲想や「Allegro con brio」の性格を極限まで突き詰め、結果的にそこから「ドラマ」を構築してしまったように感じる。分かりづらい表現で申し訳ないが、これが率直な感想。どの指揮者でもこの曲は力入れるのだろうが、これからも最高峰に君臨し、比較され、常に語られて聴き継がれていくCDであると思う。

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     2013/02/20

    やはりクレーメルのソロが聴きどころだと思う。バーンスタインとVPOによる万全のバックを得て、あの頃の鋭利で妖しい音をもってブラームスを攻略していく。甘ったるい音はなく、ムーディに旋律を遊ばせることもしない。すこしブラームスとしては線が細いかな?という気がしないでもないが、それでも存在感は十分。    中でもお勧めの圧巻はカデンツァ。レーガーの前奏曲を持ってくるなんて他の誰が考えつくだろう。しかもそれがぴったりハマるのだからすごい。当日の演奏会では事前に「カデンツァは○○のものを使用」なんてアナウンスはしないだろうから、居合わせた聴衆はどんなにびっくりしたことだろう・・・とついつい考えてしまう。    第2楽章はオケの中に入って一緒にあの美しい間奏曲を楽しんでいるような感じ。  また、この演奏は映像でも楽しむことができる。ソロが始まる前に、ヴァイオリンの合奏に交じって演奏し(調音しているのか?)、オケに入り込んでいる風景は他のヴァイオリニストも同じなのだろうか?  ベートーヴェンやモーツァルトでも同じだが、クレーメルの手にかかると慣れ親しんだはずの名曲が「今出来上がったばかりの曲」のように新鮮に聞こえる気がする。  いまさらながらの名曲名盤レビューではあるが、ありきたりのブラームスに食傷気味の方にぜひ聴いていただきたい。

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     2013/02/19

     ベートーヴェンのソナタの最後にふさわしい力演だと思う。多少の化粧を施してはあるだろうがライヴでこれだけの内容なのだからそこに居合わせた方々がうらやましい限り。 他のピアニストに比べると重い音、重い足取りと思うがその根底には精神的な軽みがあり、歌がある。特に32番。この世の苦悩を一身に受けたような激しい第1楽章を経てあらわれた第2楽章、あの”小さな歌”が喜怒哀楽を通過しそして祈りまで昇華する過程の美しさに脱帽。

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  • 4 people agree with this review
     2013/02/16

     何をどう考えたらこのような演奏になるのだろう。バラバラにした音の残響や合間にポゴレリチは何を聴いているのだろう。Op.118-2のIntermezzoが特に好き。グールドの耽美的、アファナシエフの冥府的な、それぞれが圧倒的に特異な演奏を行っているが、ポゴレリチのそれも負けずに特異。もしも人類が滅亡した後、何かのはずみで再生される曲があるとしたらこの演奏が合うのではないだろうか。誰も聴く者がいない中にこの演奏だけが流れているとしたら・・・。   好き嫌いが分かれるCDだが怖いもの聴きたい人は是非どうぞ。   ちなみに2010年だったかキャンセルせずに開いてくれたリサイタルで、Op.118-2がなぜか急遽プログラムに追加されたのを聴いた。ここでの演奏のさらに1.5〜2倍くらい(?)に遅く、バラバラに解体されていた。しかしそれでも、なぜかじっと聴き惚れていた。

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     2013/02/16

     グラスの協奏曲が特にくせになる。グラスの曲はこれしか持っていないが、同じような曲想が微妙な変化していく。クレーメルにかかると妖しい雰囲気、快活な雰囲気などがコロコロ現れては消えていく様子が愉しい。

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     2013/02/16

     発売された時は自分もまだこのCDの意味がわからずにいたが、何回も聴いているうちにだんだん魅力が増してきた。2013年現在ではブラームスにブゾーニを加えたオリジナルの形での盤は店頭にもHMVのラインナップにも入っていないのは不思議。クレーメル+アファナシエフの化学反応実験が成功したこの名盤が全曲盤で発売されないなんて…。   このコンビだからこそだが演奏は一般的なブラームスのソナタではない。ヴァイオリンは美声で歌うという感じはなくむしろ枯れた声でボソボソ詠う感じだろうか。誤解を恐れずにいうとここでのクレーメルのヴァイオリンは尺八のような響き(雰囲気?)をもっているように思うことがある。後年、クレーメルがツィメルマンとブラームスを演奏した時、「(アファナシエフとのCDと比べ)こんなに演奏も音もが違ってくるのか!」とびっくりしたものだが、どちらもクレーメルなのだ。様々な解釈・奏法で曲の魅力を引き出してくるのが彼の凄いところと思う。   ・・・2011年、あの大地震の年は海外からの演奏家は「大使館の意向により」こぞって来日を控えてしまった。そんな中クレーメルは予定通り来てくれたし、キャンセルした女声ピアニストに代わってアファナシエフも駆けつけてくれた。その気持ちがとても嬉しく思えた。しかもそのコンサートに参加できたのだから。そのプログラム中、このCDにも入っている第3番が聴けた。とても凄かった・・・。このCDを聴くたびにあの演奏を思い出す。

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     2013/02/16

    このCDがあったからピアソラを知ることができた。ピアソラに辿り着くことができた。現在(2013年)では誰でもピアソラの音楽を知っているだろうが、これからピアソラを知りたい方に第1歩としても薦めたい。もちろん、ピアソラ本人のCDもあるし、彼のバンドネオンが出す太い芯が通った独特の深淵な空気を体感できるわけではない。「クレーメルのピアソラ」だが、他のピアソラ・ブームに乗っかったCDとは一線を画す。    この巻ではバンドネオン(アコーディオン)は登場せず、クレーメルのヴァイオリンが中心。クレーメルが考え、奏でたピアソラへの想いを込めて演奏している。選曲も親しみやすいものが中心。昼に大音量でノリノリで聴くもよし、夜に音を絞ってしんみり聴くもよしのCDだ。ピアソラ本人の演奏と比較してしまうとやはり負けてしまう気がするので★4つとした。クレーメルの演奏と割り切るなら★5つのアイディアと演奏だと思う。

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     2013/02/16

     クレーメルの盤歴でも特にクレーメルらしい一枚なのではないだろうか。もっというとクレーメルでしか作れないCDではないだろうか。 パガニーニのカプリースや協奏曲1番・第2番(協奏曲第1番の編曲版はCD化している)を演奏せずにパガニーニを表現しているのだからニクい。   「超絶技巧」な演奏である。が、その種のCDによくある「技巧だけがあって後には何も残っていない」ような軽さがない。クレーメルのヴァイオリン技巧の冴えを感じてみたい方にお勧めしたい。シュニトケの「A Paganini」は後にムーティ&ウィーン・フィルと録った協奏曲第4番でもカデンツァに使った曲なので当盤を聴かれたらそちらの方もぜひお試しあれ。

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     2013/02/14

     クレーメルとアルゲリッチがベートーヴェンを演るんだから面白くないわけがない。クレーメルの師・オイストラフの太くざらっとした味わいとは違い、幾分細い鋭利な切り口が冴えている。クレーメルとアルゲリッチ、青白い炎と真っ赤な炎が混ざり合う・・・そんな印象を私は持っている。  初めの番号のソナタ、きれいにやさしく弾こうなんて気はさらさらない。5番はクレーメルらしい柔らかい音運びとここぞというところの強音のインパクトがくせになる。6-8番もヴァイオリンとピアノの掛け合いがすばらしい。室内楽の醍醐味が味わえる。7番のピアノの怖さはアルゲリッチの真骨頂と感じた。かなり昔、このコンビでのサントリーホール公演で7番をやっていた際に「アルゲリッチはなんでこんなに怒っているんだろう?」と怖くなった記憶がある。そのくらいの迫力なのだ。  「クロイツェル・ソナタ」はこのコンビの数多い録音の中でもトップの出来ではないだろうか。クレーメルの素早い反応と技術とアイデアがあるからこそアルゲリッチも全力が出せる、アルゲリッチの燃え立つようなピアノがあるからこそクレーメルの音の冴えやテンションも上がる。この組み合わせが凄いのはお互いの相乗効果(テンション)につながるからではないだろうか。   「アルゲリッチと仲間たち」的な演奏も愉しいが、クレーメルとの「斬り合い」のようなデュオに今後もっと期待したい。

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     2013/02/13

     CD2枚に加え、歴史と文化の勉強ができる本がついてこの値段なら安い?  音楽が、文化も国境も時間も超えられるものである証左となりうることがよく理解できる。日本の伝統楽器でグレゴリオ聖歌(?)を聴くのも愉しい。日本人でも教科書でのあの例の肖像つきで紹介されるF.ザビエルという人物そのものやザビエルというプリズムを通してみた当時のアジアの文化日本について学び、親しむには格好のセットだ。   こうしたCD企画が「キワモノ」として発売されるのは少し残念。作曲当時の風土や文化などあるテーマに絞った論文とまで言わなくても読み物がついたCDがもう少し出てくれてもいいな、と感じる。

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     2013/02/13

     聴くたびに新しい発見がある。聴くたびに新鮮な気持ちになる、そんな演奏だ。白と黒の鍵盤から、「前奏曲」と「フーガ」というシンプルな構成からこれほど多彩なパレットのような音楽が生まれるのだから不思議。     今回のシフによる演奏は「虚心坦懐」という表現がぴったりくると思う。バッハの手による平均律はピアニストをそういう気持ちにさせる曲集なのであろう。その中でもシフによるこの新録音はピアニストのそんな気持ちを聴いている私にもごく自然に、スーッとわけてくれるような気がする。まるで開けた窓からとてもさわやかな風がそよ吹いてくるように・・・。そんな気持ちになれるCDとしてお勧めします。

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     2013/02/12

    ブラームスの若き日の意欲作は、重量感と推進力、たたみかけるような迫力がポイントなのではないだろうか。「協奏曲」と書こうが「競争曲」と揶揄されようが、この曲には両方の「キョウソウ曲」の要素が必要と思う。当盤には、この二つの要素がうまく含まれていると感じる。  ラトル&ベルリン・フィルの最初の音からやる気十分な「勢い」があり、ツィマーマンのピアノもさらに気迫十分。東西の横綱が真っ向からがっぷり四つに組み合った感がある。    両端楽章では、乱暴とまではいわなくても荒々しさもありオケとピアノが拮抗した組み合いを見せる。タイム的にもどっしり構えているのでせかせかしていない。オケもピアノも雑という感じは全く感じない。相当細かい部分まで弾きこんで練習を重ねておいて、それを本番で(細かいことは忘れて)一気に開放したといった感じがする。 第2楽章のAdagioでは深呼吸するかのように、静かにのびのびと歌うのが気持ちいい。聴いていてワクワクするブラ1だ。   私だけなのだろうが、EMIによる録音には「ズドン!」というような重心の落ち着きや、引き締まった音をあまり感じないため、今回のDGでのラトルの録音は正解だったのではないだろうか。   中庸のまろやかなブレンドで聴きたい時はブレンデルとアバド&ベルリン・フィル(PHILIPS)をかけるが、気分的に何か弾みをつけたい気分な時はこちらをよく聴いている。   威勢のいい、気合がかった(でも雑でない)ブラームスのピアコンを聴いてみたい方にお勧め。

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     2013/02/11

     ワルター&VPOもよいが、私にはこちらの方がしっくりくる。ディースカウ(男声)が偶数楽章を担当しているから。女声よりバリトンが歌う方が私の持つイメージにあうから。特に最後の「告別」にいつも泣かされる。あの内容の詩を選んだマーラーに想いを馳せながら聴くといつも胸が熱くなる。バーンスタインの濃い味付けがやはりいい。もしも彼がDGでの再録音でこれも録音できていたらどうなっていたのだろう。それが叶わない今、このCDで渇きをいやすしかない。   仕事で疲れた帰り(←なにかいつもこればっかり・・・)に最終楽章だけ聴きながら帰ることもある。出張の帰りなど時間があれば全曲聴くが、聴いてどうしようもなく癒される。どっぷりマーラーの世界にひたれるのがこの盤だ。  マーラーを頭で聴くならブーレーズがいいが、「マーラーの世界にひたる」ならバーンスタインしかない、と私は思う。ベトゲ訳による孟浩然&王維の詩の後に作曲者みずからつけたフレーズにたどり着いた時の、何か(生への執着? 死への恐怖?)をふっ切ったような高揚感ときたら・・・。

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     2013/02/11

    細川俊夫の作品に興味を持って購入。ドビュッシーの海とは違った視点で海の変容を表現している。2011年のベルリン・フィルで世界初演された「開花の時」(CD&DVD化をつよく希望)を聴くまではどちらかというと室内楽中心で細川俊夫作品を聴いていたが、「開花の時」以降はもっとオケ作品もしっかり聴きこんでいこうと買ったのがことの次第。   他のCDレビューでも書いたが、この「循環する海」をi-Podで聴く時はプレイリストで「牧神」(ドビュッシー)→「夢の引用」(武満徹)→「循環する海」→「海」(ドビュッシー)のプログラムで流している。こんなプログラムでコンサートがあったらぜひ行ってみたい。   それにしても「開花の時」をベルリン・フィルののDCHを観て、現代音楽こそ映像とともに聴くともっと人口に膾炙するのではと思った。様々な楽器のブレンドや演奏効果をいろいろ考慮して作っているのだから耳だけですべて理解するのは大変。「頭で考えるゲンダイオンガク」を脱皮して「体験するゲンダイオンガク」も大事なんだと思った。

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