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Review List of micarosu 

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     2015/02/08

    キラキラした幸福感。
    一度聴いた瞬間から、そこにはそんな世界が広がる。

    その曲の名は「幸せについて私が知っている5つの方法」。

    Rasmus Faberさんによるキラキラしたサウンドとメロディ。
    岩里祐穂さんが綴る柔らかく優しく心の奥を刺激する言葉。

    そしてそれらを彼女の歌声が紡ぐことで、抱えきれないほどの幸せ感を連れてきてくれる。
    そんな世界に浸っていると聴き終えるまでが本当に一瞬で、また何度でも聴きたくなる魔力を持った一曲だ。

    そんな曲の後に待つ「色彩」もまた大きな魅力を秘めた一曲。

    息をつかせないドラマチックなメロディ展開とサウンド構成が印象的で、世界観に惹きこまれるというより、吸い込まれていく感じがある。

    その世界にどことなく漂う空気は絶望もを感じさせるが、最終的には自分が生きている現実という世界へ連れ戻してくれるような力強さも持っていて、聴き終えたときに心に静かな闘志を与えてくれる。

    「幸せについて私が知っている5つの方法」と「色彩」。
    カップリングの「君の好きな人」も含め、全く違う世界観で楽しませてくれる一枚。

    一曲ごとに聴き手の心を揺さぶる楽曲を、存分に堪能して欲しい。

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     2015/02/08

    輝きを放つロック。

    骨のあるのサウンドを聴かせてくれつつも、優しさや繊細さに透明感、さらには聴きなじみやすさや楽しさといったところまで含んでいて、聴き進めるごとにその音楽が放つ輝きに惹き込まれていく。

    中でも圧倒的に輝いていたのが「君の空」。

    流れるようなメロディに、繊細に掻き鳴らされるバンドサウンドが映す空。
    その中を駆け抜けていくsuguruさんの真っ直ぐな歌声が、とても心地よく耳に残る。

    またこの曲は歌詞の内容とサウンドの展開が何より素晴らしい。

    歌いだしのギターの音だけで歌われる”君の空”はどことなく雲がかかっているのだが、進むごとにこの雲が晴れていく。

    最後のサビで一度音を減らしてから再度音が戻ってくる演出の中で歌われる”君の空”は、まさに澄み渡る青い空。
    しかもそれは目を閉じて開いた瞬間のきらめいた空のようで、何度でも浸りたくなる愛おしい感情までも聴き手に与えてくれる。

    こんな繊細な楽曲を聴かせてくれた彼らだが、ミニアルバムの中には軽快なリズムとサウンドで聴かせる「おんがくの時間」や、疾走感溢れるロックナンバー「愛はノンフィクション」、「いくつもの夜をこえて」のような楽曲もあり、一枚を通してとにかく感情を楽しませくれる。

    このミニアルバムは是非一度手にとって聴いてみて欲しい。
    その素晴らしさがわかるはずだから。

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     2015/02/08

    冬から春へ。

    それは「You’re Not Alone」の冬の物語から「さよならと桜」の春の物語へと流れていくアルバムの進行そのもののことではあるが、心まで冬から春に変えてしまうような温かさが溢れているという意味も含んでいる。

    また単純な季節感だけでなく、一曲ごとに景色の見せ方を変えていることも聴き逃せない。

    「You’re Not Alone」の軽快なリズムに踊りだしそうな気持ちを演出しながらも、最後に残す切なさとのギャップに胸を打たれたり、「午前6時のメリークリスマス」では冬の空気感の中で静かに、でも確かに響く幸せ感に愛しさを感じさせてくれる。
    「季節がまた終わる」の流れるようなジャジーな楽曲がこれからの季節への期待感を煽りながら、「さよならと桜」の春という季節ならではの始まりと終わりを、繊細な音楽とそこに深みを与えるコーラスが優しく包み込む。

    わずか4曲ではあるが、その4曲でこんなにも温かい気持ちにさせてくれる。
    これから春にかけてまた何度も聴きたくなる一枚だ。

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     2015/01/11

    華やかな明るさ。

    やなぎなぎさんというと、どちらかと言えば内向的な曲のイメージが強かったが、今作では明るさを感じる楽曲が多く見える。

    その明るさは言葉として綴られたものはもちろんだが、楽曲の音の魅せ方によるところも大きい。

    「polyomino-intro-」と浮遊感漂う楽曲でアルバムが始まったかと思えば、続く「トコハナ」の攻め立てるサウンドで聴き手を一気に惹き付ける。

    その後も「ファラウェイ・ハイウェイ」、「Sweet Tracks」という疾走感のある格好良いナンバーを聴かせつつ、「landscape」のようなキラキラのポップナンバー、「2つの月」のようなスタイリッシュな楽曲、「テトラゴン」のような電子音を心地よくかき鳴らす楽曲、「逆転スペクトラム」のようにシンプルだけど奥深い楽曲をを織り交ぜながらアルバムを彩っていく。

    この彩りがとても華やかで、聴き手の心を明るい気持ちへ誘ってくれる。

    アルバム後半はシングル曲、タイアップ曲になった落ち着いた楽曲が多めだが、前半で感じた煌きを持った聴き進めることにより、元々聴いていた楽曲とは違う印象を与えてくれるのが面白い。

    それは逆にも言えることで、これらの楽曲を聴いた後にまたアルバムを最初から聴いてみると、また印象が変わる。

    それぞれの楽曲がその他の楽曲を彩る。
    組み合わせ次第で幾通りの形にも変化する、音楽で綴ったポリオミノというパズルのような一枚。

    一曲一曲の素晴らしさを感じるだけでなく、自分なりの聴き方で楽しむとより一層好きになれることだろう。

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     2015/01/05

    ちょっと違うアプローチを見せてくれた前々作「ナユタとフカシギ」、前作「musium」とは違い、久々に初期のようなスキマスイッチらしさが見えた今作。

    シングルでもある「パラボラヴァ」のスキマスイッチワールド全開の明るくポップなナンバーから、「僕と傘と日曜日」のようなシンプルなバラード、「蝶々ノコナ」のようなクセになるメロディとサウンドの構成はまさに初期の彼らを彷彿とさせる。

    でも、ただ懐かしいというだけではない。

    一曲目の「ゲノム」の少し攻撃的で直球な歌詞で惹き込み、「life×life×life」のシンプルな音色に聴き馴染み易い言葉を乗せるセンスで誘惑しつつ、彼らの一つの到達点ともいえる「星のうつわ」の繊細で壮大な音楽で聴き惚れさせてくれる。

    「スキマスイッチ」という名の通り、彼らの今の魅力ではなく、今まで培った全ての魅力を凝縮したアルバム。
    これは良い。

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     2014/12/14

    言葉が聞こえる。
    アルバムを聴いて感じたのはそれだった。

    この”言葉が聞こえる”には2つの意味がある。
    1つは文字通り”言葉”という単語が多く出てくるということ。

    今までは女の子の主人公の感情を描くことが多かったが、今回はその姿はあまりなく、どちからといえばwowakaさん本人の感情を綴っているように見える。
    その感情を表すのに”言葉”というわかりやすい言葉が出てきていることで、その意味に自然と耳を傾けてしまう。

    これは大きな変化だ。

    そしてもう1つは、言葉が聞き取りやすくなっているということだ。
    「センスレス・ワンダー」のように高速で畳み掛けてくるような印象が今まで強かったが、今作ではキャッチーなメロディはそのままに、ポップやメロディアスな要素が追加されている楽曲が多い。

    「癖」はその典型的な一曲で、ゆったりとしたテンポに叙情的なメロディで聴かせるため、綴られた言葉が耳に残る。
    詩に”言葉”という単語も出てくることからも”言葉が聞こえる”曲で、今回の作品の象徴的な一曲になっている。

    とはいえアルバムはこういった楽曲だけではなく、「インパーフェクション」や「5カウントハロー」、「NONSENSE」のように高速で展開される楽曲も確かに存在する。
    その中に違うアプローチで魅せる楽曲を並べていることで、それぞれの良さを引き立てていることが何より印象的。

    ヒトリエというバンドの進化が見えるというだけでなく、ヒトリエの魅力はここまであったのかを改めて感じさせてくれる一枚。
    素晴らしい。

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     2014/12/07

    オリジナルアルバムとしては前作「新世界」から約12年半ぶり。

    その間に活動休止、それぞれのソロ活動、そして活動再開。
    そんな紆余曲折の末にできた楽曲を詰め込んだアルバム「漂流記」。

    そのタイトルからもcannaらしさを感じるが、内容もcannaらしい楽曲が並ぶ。
    配信限定とシングル楽曲が中心だが、どれもメロディの秀逸さ、そしてそこに乗る谷中さんの歌声の優しさがあるだけでなく、聴いた瞬間にcannaだとわからせる、彼らの変わらない良さがここにはある。

    「♪あれから15年」
    と歌詞の中に出てくる新曲の「僕の上履き」はそんな彼らの今を凝縮したような一曲で、デビューから15年分の想いを噛み締めながら優しく歌い上げる姿に、不思議と虜になってしまう。

    この曲はまさにアルバムの核となるもので、「69億分の1」、「カンナの花」、そしてこの「僕の上履き」と流れるアルバムの始まりを聴けば、このアルバムの力の入れ方と良さが一発でわかるだろう。

    デビュー15周年。
    そして紆余曲折を経た漂流記にどんな彼らの想いが込められているかは、聴いて確かめてみて欲しい。

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     2014/11/30

    キラキラの始まりを予感させるイントロ。
    青春のページをめくりながら進むメロの展開。

    そして、この歩んできた青春を炸裂させるように全員で歌うサビ。

    ここで生まれる高揚感と爽快感は、メロの展開からの予想を遥かに超えるもので、聴くたびに鳥肌が立つほど素晴らしい。

    青春というと甘酸っぱさや切なさのイメージが強いが、この曲のように真っ直ぐ前へ進もうとする姿も一つの青春の形。
    それを後押しするというより、”一緒に行こう!”と言ってくれるような青春ソングは、どこか懐かしく、安心感までも与えてくれる。

    こういう形の青春ソングはいまどき珍しいが、決して古臭い感じはなく、むしろ新しい青春ソングの定番になりそうなほどの新鮮さがある。

    高揚感、懐かしさ、新鮮さ。
    これらが一曲の中に凝縮されていて、何度でも聴きたくなってしまう名曲。

    この曲を知らないのはもったいない。

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     2014/11/24

    ピアノの音色と素朴な歌声。
    それは、ふと耳を傾けているうちにずっと聴いてしまうような力を持っている。

    例えば「季節」。

    流れていく季節を感じながら、過去の自分と向き合おうと葛藤する言葉。
    それを届けるシンプルな音色とメロディはそれだけでも愛おしいが、素朴な歌声が季節感と切なさを映し出し、染みるように聴き手の心に響いてくる。

    聴いていると、不思議なほど今の時間を大事にしたいと思わせてくれる。
    それほどまでに人々を惹き付ける一曲。

    またミニアルバムの中では、「片思いランナー」や「光と陰」のような明るいポップさを見せつつ、「tiny memory」の冬の寒さを感じせせるサウンドに乗せる切なさと前向きさ、「大人になったら」や「道のり」のンプルなメロディも、「季節」とはまた違う色合いを見せてくれる。

    「少女の夢」で描く少女の物語は、表現と展開に魅せられるだけでなく、メロディとサウンドが作り出すダークな空気感に惹き込まれてしまうだろう。

    ミニアルバムという枠の中に彼女の様々な魅力を詰め込んだ一枚。
    その魅力を感じてみて欲しい。

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     2014/11/16

    混沌とした世界の中で光を見せる音楽。
    「進化の証明」を初めて聴いたとき、それを感じた。

    イントロから混沌とした世界のを示しながらも、サビで綴られた言葉の通り光を与えてくれる。
    そこで興味深いのが、その光が明るすぎるわけでもなく暗すぎるわけでもないということ。

    言うならば、等身大の光。

    届きそうで届かないけど、確かに見えるその光を信じて生きていこう。
    そう心を奮い立たせてくれる力がこの曲にはある。

    この心を奮い立たせてくれる力は、「進化の証明」だけではない。

    「DREAMER」では葛藤しながらもがき生きていこうとする姿、「心臓」ではより混沌とした音の中で、心臓に向かって自分の信念を確かめる姿を力強く歌い上げているのが胸に響く。

    アルバム最後の「YODACA」ではまさに飛び立って今を生きていく姿を、躍動する音で響き渡らせる。
    ここまでの流れで混沌とした音が印象的だっただけに、最後の最後に見せたこの躍動感は胸を躍らせるだけでなく、アルバムの余韻をいつまでも残すという意味でも最高の一曲。

    アルバムを通して、生きていくことへの言葉と音が強く印象に残る一枚。
    この作品は、今を生きる全ての人に聴いてもらいたい。

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     2014/11/09

    アンダーグラフの新しい時代の幕開け。
    それを感じずにはいられない。

    「手と手」の軽快なリズムに乗る民族調の音楽がアルバムの始まりを告げ、シングル曲でもある「風を呼べ」というアンダーグラフ最速の曲で聴き手を一気に惹きこんでいく。
    この展開だけでもアルバムが只者ではないことがわかる。

    その最たるはサウンドの進化。

    上記の「手と手」、「埋もれた花達へ」、「odore!!-hanero!!」では民族調の音楽で魅せたかと思えば、「パラドックス」ではダークな世界観を音とコーラスで演出しながらも力強く歌いあげる姿が印象に残る。

    特に「odore!!-hanero!!」のこれ以上ないってくらい明るい曲がアンダーグラフの楽曲で聴けるとは思わなかった。

    もちろんそんな中でも、「君に言いたいこと」のようなちょっと切ない楽曲、「快楽天国」のような独特な軽快さ、そして名曲「ツバサ」のリアレンジ「ツバサ2014 10th anniversary version」があることで、これも全てアンダーグラフなんだと認識させてくれる。

    今までの”らしさ”と新しい”らしさ”。
    それが見事に融合したアルバムになっている。

    また、アルバムの最後にはボーナストラックが2曲収録されているのだが、これが彼らの印象を更に変える楽曲になっているので、アルバム本編も含め、聴いて驚いてみて欲しい。

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     2014/11/03

    吸い込まれそうな大人の色気。

    最もそれを感じさせるのはサウンドの構成。
    ジャズミュージシャンとのセッションやトランペットの音色は色気そのもので、感情の深い部分を描く詩が印象的な「HOTEL TOKYO」はまさに大人の色気を体現した一曲。

    大人といってもそういう深さだけではなく、「ふわふわ」の感情の揺れ動きのもどかしさと浮遊感であったり、「オトナになりたい」の脆さからも色気を感じさせるのは流石の一言。

    そしてもう一つ注目すべきは「サフランの花火」だ。

    ファンの間ではおなじみの楽曲だが、アルバムとしては「FRIENDS UNPLUGGED」にラブハンドルズをフィーチャーした曲が収録されているのみで、単独音源としてアルバムに収録されるのは実はこれが初めて。

    真っ直ぐなメッセージにシンプルなメロディ。
    だけど、そこに込められたものの大きさは計り知れない。

    それは元々の楽曲が持つ力と、これまで歌い続け、愛され続けたという時間が作った力。
    それが重なり合い、最高の一曲になっている。

    また、「月の指揮者」というタイトルナンバーのすぐ後にあることも大きなポイントで、新しい楽曲であり、アルバムの中核でもあるこの曲の傍にあっても、昔の曲という感じは全く無い。

    アルバムの内容的にもここに入るしかないというくらいマッチしていて、「サフランの花火」はこのアルバムに入るために作られた楽曲なのかもしれないとも感じてしまう。

    それが「月の指揮者」というアルバムの魔力。

    それぞれの楽曲が違った個性を放っているのに、全てが集まると不思議とバラバラな感じが無い。
    言うならば、「月の指揮者」がそれらを吸い寄せ、そのタクトで全てを織り交ぜた至極の音楽という名の一枚へと昇華させているようだ。

    広沢タダシさんの一つの到達点であり、新しい始まりを予感させる一枚。
    楽曲単体も素晴らしいが、一度通して聴いてみて欲しい。

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     2014/10/25

    野生的。
    その言葉がしっくりくる。

    でも決して荒々しいというわけではなく、野生的でありながら情熱的で、でも切なさや優しさ、更には愛までも含んでいる。

    言うならば、伝えるべきことを思いのままに掻き鳴らす、エネルギーの塊のような音楽を聴かせてくれる。

    その最たるが「FANTASY」だ。
    イントロから響き渡る原始的なビートで惹きこみ、その中で響かせる皮肉めいた言葉達。

    優しい言葉は実はファンタジーではないか?
    それが本当に正しいのか?

    「よく考えよう」
    サビの突入部分で叫ぶように歌うこの言葉がとてつもない速度で胸に響く。

    そう、この曲はただ怒りや悲しみを歌うのではなく、騙されるなという警告を歌っているのだ。
    それは同時に自分を強く持てというメッセージも連れてくる。

    だから聴いていると、勇気というより闘志のようなものが沸々と湧いてくる。
    こういう熱い曲作ってくれるバンドに久々に出会えた気がする。

    もちろんアルバムは「FANTASY」だけではない。

    「I will get back your smile again」の流れるようなメロディと畳み掛けるギター、「スローモーション」、「イカロス・ソング」、「前を向いて歩こう」と真っ直ぐな言葉を耳に馴染むメロディに乗せ、「HELLS BELLS」の攻撃性ではらしさを見せつつ、「リンゴ」のようなシンプルなメロディとリズムであっても彼ららしさが滲み出てくるのも面白い。

    最後の「少年」はそれらの魅力を全て詰め込み、全身全霊で歌う一曲。
    アルバム全体の熱量が高いが、更にこんな熱量の高い曲を最後に持ってきていることで、アルバムを聴き終えたときの満足感が半端ない。

    こんな熱いアルバムにはなかなか出会えない。
    その熱さは一度聴いて確かめてみて欲しい。

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     2014/10/19

    僕らは感傷ベクトルの魅力をまだ知らなかったようだ。

    前アルバム「シアロア」も良い作品だと思っていたが、これはそれを遥かに超えてきた。

    一番に感じたのは音の構成が巧みで、洗練されていることだ。

    それはシングル曲「エンリルと13月の少年」を聴くとよくわかるが、どこか電子的で独特の浮遊感を持つサウンドは、それだけで聴き手を惹き付ける力がある。
    その中で響かせる芯のある歌声とコーラスの心地良さも素晴らしい。

    アルバムの中では「光のあと」と並んで、巧みな音構成という点において一際存在感を放っている。

    もう一つ感じたのは、楽曲の幅が広がったことだ。

    「涙のプール」のような口ずさみたくなる軽快さ、「生者の更新」では綴られた葛藤を包むようなアコギサウンドの上品さ、「終点のダンス」で魅せるピアノとギターの音色が作る陰のある疾走感。

    「その果て」のように聴いた瞬間に感じる終末感と希望が交じり合う音に、詩に込めた感情が見事に重なるのも最高だ。

    感傷ベクトルが作る音楽の可能性。
    それが垣間見える渾身のセカンドアルバムだ。

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     2014/10/13

    良い。
    とにかく良い。

    聴いた瞬間からワクワクさせるこの感じはどこから来るのだろう?
    一番に感じたのは音が躍動しているということだ。

    「銀河ステーション」の始まりを告げるギターの音色からそれは伝わり、聴いた瞬間からそこはライブのような高揚感が待っている。

    「フリーハンド」の丁寧に重ねられた音世界に惹きこみながら、「ミラクル」のクセになるメロディと力強いサウンドが気持ちを押し上げる。

    一度聞いたら忘れられないメロディと躍動感の名曲「目隠くし鬼」でこの高揚感は最高潮を向かえ、「ありがとう」のシンプルな音と言葉を乗せる歌声が最高の余韻を残してくれる。

    ミニアルバムということもあり5曲と収録曲は少ないが、その中に濃密で生きた音楽を詰め込んでいる。
    まさにタイトル「LIVE」の名の通りの一枚だ。

    キャリアも結構長いが、ここに来てこんな熱い一枚を送り出してくれる彼らに、これからも目が離せない。

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