リヒャルト・シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ、フランク:ヴァイオリン・ソナタ 瀬ア明日香、エマニュエル・シュトロッセ
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今本 秀爾 | 大阪府 | 不明 | 2020年11月02日
シュトラウス、フランクのどちらのソナタとも、既成の演奏枠を超えて、楽曲に内在する甘美でロマンティックな要素が全面に紡ぎ出され、 奏者ならではの高い演奏技術と個性的表現に裏打ちされた珠玉の名演集である。 一般にはどちらのソナタも重厚で畳み掛けるような力演が多い中、このCDでのヴァイオリンは、自然体で力の抜けた艶のある伸びやかな音とともにどこまでも澄み切った心で、現世の喜怒哀楽の感情を超越した次元に現れる「純粋な音楽」を追究しているかのような演奏を繰り広げる。 ヴァイオリンは、曲の緩徐部分では息の切れるまでたっぷり間を持たせつつメロディーを謳わせ、楽曲の意図する表現枠のぎりぎり限界まで、息の長いスケールの大きな表現に徹しようとする。一方で激しいフォルテやクレッシェンドは、けっして音楽の気品を崩すことなく切れ味鋭い音色とともにスリリングな切迫感と高揚感を醸し出す。 その間、ピアノはどこまでも控えめで温かく優しい姿勢で、ヴァイオリンに寄り添いつづける。 それゆえ、オーソドックスな楽曲演奏を聴きなれた人にとっては、このCDでのシュトラウスやフランクの第1楽章はまるで別の曲に聴こえるかもしれない。 それぞれの緩徐楽章のゆったり過ぎるほどの落ち着いたテンポ感には耳に馴染めないかもしれない。 だがそれらの猜疑心は、やがてそれぞれの曲の終楽章にて、音楽すること自体の歓びと自由さを存分に楽しむかのような、奏者による起伏に満ちた演奏を聴くことで一気に解決するだろう。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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