野村あらえびす

本 音樂は愉し 黎明期音盤収集家随想

音樂は愉し 黎明期音盤収集家随想

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    ほんず内閣総理大臣  |  北海道  |  不明  |  2014年03月02日

    高年齢かよほどのマニアじゃないと知らんでしょうなあ、野村あらえびす。本書のオリジナルは昭和21年(1946年)刊でありますが、それはあくまでもまとめられた年であり、文が書かれたのはもっと前にさかのぼり、昭和7年とか9年から14年や15年もあります。そういう太古の(!)収集家の書き残した貴重な資料といえましょうか。私もそれなりの古株ですので、出てくる演奏家の名前も結構知っていますし、いろいろ見当をつけながら読み進められます。歌崎和彦氏による注と解題はありますが、それでも大概の人にはなかなか読むのはツライでしょうなあ。といふことで、すみませんが、不満を書いておきます。@今この時期に復刊することの意義をきちんと述べること。現在の音楽状況に照らしてこの本を復刻する意義は、今確かにあるのでしょうか。実演よりも《レコード芸術》の意義を高く評価する文もあり(240〜253ページ)、あらえびす氏は限りない愛着を注いだレコードの意義を強調するのですが、こうした意見は、音楽が様々なメディアで氾濫する現代においてどのように受け取られるでしょうか。海外旅行も容易になり、欧米の歌劇場にひょいっと聴きに行く人すら少なくない現代。一方、ネット配信で音楽をダウンロードし、もはやディスクやジャケットの影も形もない状況で、あらえびす氏の主張は収集家のフェチシズムに傾き過ぎではないかといっても過言ではありますまい。Aあらえびす氏と彼のコレクションに関する説明をもっと入れること。例えばコレクションは「一万枚」と称しておりますが、これはタイトル数なのか、それとも実質枚数なのか、不明ですね。例えばベートーヴェンの第9交響曲はSPでは7枚14面だそうですが(98ページ)、この場合には1なのか7なのか、どっちでしょう?なお、交響曲が全曲ではなくて部分的に販売されていたこと(同ページ)など、現代的には驚愕の状況でありますな。あと、コレクションの傾向について統計的に教えてほしいですね。ジャンルはクラシックだけではないようだし、クラシックならどういう作曲家が多いかとか、また岩手にあるという記念館の情報も知りたいなあ。といふところに不満を持ったのは事実であります。さて最後に一言。あらえびす氏の真剣に音楽に耳を傾けるその姿勢に当方のいい加減さを大いに反省させられるとともに、一方では聴くよりも収集活動に没頭するフェチシズム的姿勢に疑問もあり、ってなとこで、あらえびすさん、なかなか不思議な人物。

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